【人手不足・業務改善】郵便物発送業務の集計を自動化し、総務課の作業負担が実質「ゼロ」に
(集計の自動化 / ピツニーボウズジャパン)

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※下記は自治体通信 Vol.66(2025年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
全国の自治体は日々、多くの文書や帳票を住民などに向けて発送している。この発送業務をめぐっては、郵便局に差し出す前の膨大で煩雑な集計作業に、職員が頭を悩ませているケースが少なくない。北竜町(北海道)もそうした課題を抱える自治体の一つだったが、令和6年度には集計作業を機械で自動化。業務効率化に大きな成果を実感しているという。その取り組みについて、同町総合政策室の2人に聞いた。


煩雑な集計作業に追われ、残業時間が長引いていた
―北竜町では、どのように郵便物の発送業務を行っていましたか。
長谷 各部署の職員が発送物を総務課に持ち込み、それを総務課の会計年度任用職員が後納郵便として差し出すための集計作業を行っていました。具体的には、発送物の重さを1通ずつ量り、通数と料金をまとめた「差出票」を作成する作業です。この作業は、各部署からの発送物の持ち込みを締め切ってから、郵便局員による集荷までの限られた時間内にすませる必要があります。ふるさと納税の繁忙期など、1日の発送物の数が1,000通規模におよぶときは、職員の大きな心理的負担になるだけでなく、まわりの職員の応援がなければ集荷に間に合わなくなってしまうこともありました。
高橋 令和5年度からは、この集計作業を担当していた会計年度任用職員が退職したため、総務課の職員が代わりに行うことになりましたが、それがこの作業を見直す契機となりました。
―どういうことでしょう。
高橋 人口減少が進む当町では役場の職員も人手不足で、総務課では実質わずか2人の職員が、庶務や人事・給与、防災、庁舎・公用車管理など複数の業務を兼務していました。もともと多忙で残業続きだったのですが、発送物の集計作業でさらに残業が長引いてしまう状況に陥ったのです。それから1年が経っても新しい会計年度任用職員を雇用できる見込みが立たず頭を悩ませていたのですが、そうした折にピツニーボウズ社から「郵便料金計器」という機械の提案を受け、すぐさま導入の検討を始めました。
―郵便料金計器とはどのような機械なのですか。
高橋 郵便物の通数や重さを自動で計測し、郵便局から承認を得た印影で郵便料金を印字する機械です。この機械に通した郵便物を発送する場合は、差出票の作成そのものも不要になります。デモンストレーションでは、何通もの発送物を一瞬で処理するところを目の当たりにして、業務効率化に直結すると確信しました。そこで北竜町では令和6年夏にこの郵便料金計器を導入し、同年9月から利用を始めました。
発送部署が各自で機械を活用。利用方法もすぐにマスター
―導入効果はいかがですか。
長谷 発送物の集計作業にかかる職員の負担を大幅に軽減できました。郵便料金計器の処理スピードは1分当たり最高180通と非常に速いため、仮に1人で2,000通の発送物を機械に通しても、十数分程度で完了できる計算です。現在は、各部署の職員が各自に発送したい郵便物を機械に通すという運用をしているため、発送業務にかかる総務課職員の負担は実質「ゼロ」になっています。
高橋 各部署の職員には、従来なかった作業を行ってもらう形にはなりましたが、かつてのように時間に追われながら複雑な郵便料金体系を意識する必要はないため、特に負担だと感じている職員はいないようです。郵便料金計器は複雑な操作が不要なため、みなさんにはすぐ利用に慣れてもらえました。
―郵便物発送業務に関する今後の方針を聞かせてください。
高橋 今後は、同じピツニーボウズ社が提供する「封入・封かん機」という機械の導入を検討中です。これにより、税務係や住民課などで発生している、大量の発送物の封入・封かん作業を自動化したいと考えています。郵便料金計器の導入で大きな成果を得られたように、機械が行える作業はすべて機械に任せることで、職員は職員にしか行えないコア業務に専念できる環境を整えていきたいと考えています。



発送物の数や重量が合わず、郵便局からの指摘が頻繁に
―郵便物の発送に伴い、どういった作業が発生していましたか。
4つの町の合併によって誕生した経緯を持つ当市では、大矢野庁舎にある総務課の職員が、松島庁舎と残り2支所の発送物をまとめて郵便局に差し出しています。そのため総務課の職員は、各庁舎・支所から発送物がすべて届くのを待ってから、まとめて集計する作業を行っていました。しかし、集荷までの時間は非常に短いため、発送物の数と重さの確認はそれぞれの各部署にほぼ任せきりになっていました。その結果、各部署から報告された内容と実際の発送物に相違が多発し、それが発送コストの面でも課題になっていました。
―詳しく聞かせてください。
当市ではほぼ毎日、「郵便区内特別郵便物*」として割引料金で差し出せる発送物があるのですが、集計違いにより数や重量が適用条件を満たさず、集荷後に郵便局から指摘を受けることが頻繁にありました。そうした場合、たいていは適用を諦め、そのまま郵送してもらっていたのです。我々はそうした課題を抱えながらも発送業務を行っていたのですが、解決のきっかけとなったのはコロナ禍でした。感染の拡大によって発送業務が停滞するリスクを痛感したのです。そこで、以前に情報誌で見た郵便料金計器の存在を思い出し、検討を進めた結果、ピツニーボウズ製の機械の導入を決めました。
―導入の決め手になったのはどういったポイントでしたか。
郵便区内特別郵便物の集計に役立つ、「重量制限機能」が実装されている点が大きかったです。それは、あらかじめ設定した重量を超えた郵便物には料金を印字せず、自動停止する機能です。この機能を活用すれば、割引料金を適用させたい郵便物を機械に通すだけで、規定の重量以内の郵便物だけに「郵便区内特別」と表示したスタンプと料金の両方を一度に印字できるのです。郵便料金計器は令和4年2月に導入し、我々総務課の職員が発送物を機械に通す形で運用しています。
*郵便区内特別郵便物: 郵便物の宛先や数、重量などの一定条件を満たした場合に料金が割り引かれる制度
集計の自動化による効果は、各発送部署の職員にも波及
―導入効果を聞かせてください。
機械で正確な集計を行えるようになったため、発送物の数や重量の相違について、郵便局から指摘を受けることがなくなりました。また、集計は機械が高速で処理してくれるので、各庁舎・支所の職員に事前に行ってもらっていた発送物の数の確認や重量の計測が不要になりました。そのため、総務課以外の職員も業務効率化の効果を感じているようです。郵便料金計器の導入で割引料金の適用が増えただけでなく、業務時間の短縮による間接的な人件費削減にもつながり、二重のコスト削減効果が生まれたと考えています。


―郵便物の発送業務をめぐる自治体の課題はなんですか。
発送物を郵便局に差し出す前の集計作業には、大きく2つの課題があります。1つ目は、集荷までの限られた時間で大量の発送物の集計をすませることに、職員が心理的な負担を抱えてしまうこと。2つ目は、郵便局による「適正収納の厳格化」で、より高い精度での集計が求められるようになっていることです。
―よい解決策はありますか。
迅速かつ正確な集計を行える「郵便料金計器」の活用は、どちらの課題にも有効な解決策になります。特に当社の郵便料金計器では、「郵便区内特別郵便物」の発送を効率化するための重量制限機能がある点も特徴です。郵便局のなかには、「1通あたりの重量が同じ発送物の数をグラム単位で分けて記載」するよう報告を求めるケースもありますが、郵便料金計器を用いて集計されたものについては、郵便局が機械の信頼性を考慮し、報告が免除される事例が数多くあります。万一、報告を求められても、当社の郵便料金計器にはそうしたリポートを自動作成する機能も実装しており、自治体職員の負担を軽減できます。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
集計作業にとどまらず、発送物の封入作業を自動化する「封入・封かん機」の提供もあわせ、自治体の発送業務を幅広く支援していきます。たとえば最近では、令和7年度末から標準仕様化される帳票の効率的な封入を実現するため、帳票自体の設計支援も提案しています。ぜひ、お気軽にご連絡ください。
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設立 | 昭和56年1月 |
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資本金 | 4億円 |
従業員数 | 125人(令和7年1月1日現在) |
事業内容 | 郵便と小包の発送業務の効率化およびデジタル・トランザクションの分野における製品とソリューション、サービス |
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