

※下記は自治体通信 Vol.58(2024年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
自治体職員の日常業務のなかには、納税案内の催告など住民に対して架電を行うものが少なくない。自治体の規模によってはその数が膨大になり、それが職員の業務負担につながるケースは多い。そうしたなか、行政支援サービスを提供しているグラファーの松本氏は、「まずは、架電する母数を減らすことが重要だ」と指摘する。同氏に、具体的な対策方法を含めて詳細を聞いた。

業務負担だけでなく、精神的な負担もかかる
―住民への架電業務に苦慮する自治体職員は多いのですか。
実際に現場で話を聞くと、多いと感じます。たとえば、納税案内などにおいて、架電で催告を行う際、自治体の規模によっては、何百件、何千件といった数の架電が必要になります。たとえ架電しても、必ずしも住民につながるわけではないので業務効率的にも課題がある。日常業務としては、かなりの負担になります。また、催告の架電は住民から苦情を言われることもあり、それが職員の精神的な負担につながってしまう場合もあります。臨時職員を採用したり、BPOを活用したりして対応する方法も考えられますが、毎日発生する業務ではないので、費用対効果で考えると判断が難しいケースもあります。
―良い解決法はありますか。
職員が手動で架電する前に、その母数を減らす方法があります。当社が提供している、自動音声案内システム『Graffer Call』の「オートコール機能」を活用すれば、それが可能です。これは、案内が必要な住民に対して、一斉に自動発信ができ、職員が対象者すべてに1件1件手動で架電する必要がなくなります。住民が電話に出られずにかけ直した場合も、音声案内で対応することができるため職員の負担軽減や、より確実に情報を届けることによる収納率の向上につながるほか、督促状を送る前に活用すれば、郵送する手間や費用の削減も期待できます。
特徴は、LGWANに対応しているクラウドサービスであることです。住民の電話番号をセキュアに扱えるほか、大がかりなシステムの構築が不要で、最短1週間で導入できます。
また、『Graffer Call』には別の機能もあります。
電話対応に苦慮することなく、コア業務に集中できる
―どのような機能でしょう。
自治体からの架電だけでなく、住民からの各種問い合わせにも対応できる機能です。問い合わせの内容に応じて自動音声ガイダンスが適切な番号を誘導し、それを住民が選択すると該当する担当課につながります。自治体のHPで調べれば解決できるような問い合わせについては、携帯電話のショートメッセージサービスで適切なページのURLを送信することが可能です。そうすることで、職員が該当する担当課に取り次ぐ手間を削減できるほか、受電数自体を減らすこともできるのです。住民も知りたい情報をいち早く得られるため、住民サービスの向上につなげられます。「自動音声にとまどう住民がいるのでは」と懸念する自治体職員の声もありますが、実際に導入している自治体には、住民から不満の声は、現在のところは届いていません。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
『Graffer Call』を普及させることで、自治体職員の電話対応における業務効率化を支援していきたいと考えています。当社では、これまで自治体支援を行ってきた実績から、住民が音声案内で迷うことがないようなシナリオ構築を提案することができます。また、ログデータをもとにしてシナリオを改善したり、架電の場合はつながりやすい時間帯を提案したりしています。また、一斉発信によって直接自治体への問い合わせが一気に増えないような発信数の提案などの伴走支援を行っています。さらに納税案内の催告だけでなく、図書館における本の返却忘れや特定検診の受診勧奨などに活用している自治体の事例もあります。
このシステムはもともと、電話対応に苦慮されている自治体職員を目の当たりにして生まれたサービスです。『Graffer Call』があれば、職員はコア業務に集中することができます。電話対応で悩んでいる自治体のみなさんは、ぜひ活用いただきたいですね。

当市では、納付期限内に水道料金の支払いがなかった住民に対し、『Graffer Call』の「オートコール機能」を活用しています。自動架電は、督促状を送付する前のタイミングで行っています。支払いを「うっかり忘れた」住民に対し、督促状を送る前に案内したほうが効率的だと考えたからです。実際、自動架電を行った住民のうち、約30%から数日中に納付書で料金の支払いがあり、そのぶん督促状を送る手間が省けました。これにより、督促状の郵送コストも約30%削減されました。人の手を介さず、早期に回収できるようになり、大きな変化を感じています。導入前は機械的な音声アナウンスが住民に受け入れられるか正直不安でしたが、実際に住民から不満の声は届いていないので安心しました。
今後は、事故や災害で水漏れが発生した際、特定の地域の対象者にだけ水道の使用を控えるように促す自動架電の活用なども検討していきます。

設立 | 平成29年7月 |
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資本金 | 15億4,497万7,927円(資本準備金を含む※令和6年5月時点) |
従業員数 | 58人(※社員のみ) |
事業内容 | 行政インターフェース事業、行政ソリューション事業、データプラットフォーム事業、マーケティングソリューション事業 |
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