スマートシティサービス 自治体事例|観光業の振興、商業・サービス業の振興、疾病の予防や健康づくり、防犯体制の確立

札幌市、新居浜市、柏市、加古川市のスマートシティサービス 自治体事例
各地でさまざまな取り組みが行われているスマートシティ。政府の施策におけるスマートシティは、グローバルな諸課題や都市や地域の抱えるローカルな諸課題の解決、また新たな価値の創出を目指して、ICT等の新技術や官民各種のデータを有効に活用した各種分野におけるマネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、社会、経済、環境の側面から、現在および将来にわたって、人々(住民、企業、訪問者)により良いサービスや生活の質を提供する都市または地域、と定義されています。
総務省では、都市が抱える多様な課題をデジタル技術やデータの活用によって解決し、地域活性化につなげるため、スマートシティを推進しており、その基盤となる「都市OS(データ連携基盤)」を活用したスマートシティの実装に取り組む地方自治体等を支援する「地域課題解決のためのスマートシティ推進事業」を関係府省と連携して実施しています。
ここでは総務省が作成した「地域課題を解決するためのスマートシティサービス事例集」より、スマートシティの自治体事例を抜粋して紹介します。
今回は、札幌市(ビッグデータ解析を用いた観光客の誘致促進)、新居浜市(地域ポイントの活用で地元商店等の賑わい創出)、柏市(PHRを利用した健康アプリで健康に対する行動変容を促進)、加古川市(ICT活用の「見守りサービス」で子どもの安全確保)のスマートシティ自治体事例です。
ビッグデータ解析を用いた観光客の誘致促進|札幌市
北海道 札幌市では、ビッグデータ解析を用いた観光客の誘致促進に取り組んでいます。
人流データや決済情報等の様々なデータを収集し、「誰がどこにいるのか」「どこから来て次にどこへ行くのか」「何をしているのか」等を把握し、データ分析によって判明した動向に基づき、新たな誘客プロモーションを構築しているものです。
例えば、 韓国人観光客向けに化粧品を充実させていた店舗が他店舗ではお菓子が好評だというデータを見てお菓子の品ぞろえを拡充。売り上げアップにつなげました。
ほかにも、市内のある公園に台湾人観光客が多く滞在していることがわかり、調べたところクロスカントリースキー体験を目当てに訪れていることが判明。隠れた観光資源として重点的にプロモーションする等の事例があります。
同市では、「外国人観光客は国籍によってニーズも行動パターンも消費動向も違う」「国内観光客の傾向と異なり、これまでの経験や勘による運営が通用しない」等、観光客、特に近年急増する外国人観光客に対する観光促進策の打ち手がわからないといった課題がありました。
導入にあたって工夫した点
地元企業やさっぽろ産業振興財団、札幌市などが参画して、「データの地産地消」を目指した一般社団法人を設立し、データ利用の高度化のため、行政がもつ官民データの積極的なオープン化を推進しました。
その際、「札幌市オープンデータ推進方針」を定め、オープンデータ化推進のための基本原則や二次利用の原則等を明文化。職員向けの手引きとして「札幌市オープンデータ推進ガイドライン」を作成し、各部署の積極的なオープンデータ公開を促しました。
また、デジタルデータは携帯電話の位置情報や市内小売店等の購買データ、SNSツイート等から取得し、収集するデータに個人情報は含めないこととしました。
行政データ公開にあたっては庁内各部署の理解が必要不可欠であるため、取り組みの趣旨と目的を丁寧に説明し、全庁体制で取組を行えるようにしました。

鏡野町電子申請・届出システムの操作画面官民データを協調利活用するためのデータ連携基盤である「札幌市ICT活用プラットフォーム DATA-SMART CITY SAPPORO」のサイト
地域ポイントの活用で地元商店等の賑わい創出|新居浜市
愛媛県 新居浜市では、地域ポイント「新居浜あかがねポイント」の活用で地元商店等の賑わいを創出する取り組みを推進しています。
加盟店での買い物等の際に、1ポイント=1円として利用できるもので、利用媒体はカード (QRコード付) とスマホアプリのいずれかから選択でき、ポイントを貯める方法は、①市加盟店での買い物 (金額100 円ごとに1ポイント)、②健康づくりや環境保護等市の事業への参加、③プレミアム付きポイントの購入 (不定期販売)―これらの3種類があります。
応援加盟店や応援企業からのポイント手数料のほか、ユーザーからの寄付が行える仕組みを構築し、得た収益を子供向けの教育環境整備費に活用する構想があり、令和7年8月末時点でのユーザー数は約3万3,281人、加盟店数は300店舗以上となっています。
同市では、従来、環境や健康づくり、シルバーボランティア等事業ごとに別々のポイントを発行し、それらのポイントは指定の物品や施設利用券等特定の商品や用途にしか利用できませんでした。そこで、地元商店等、地域経済の賑わい創出のため、利用者にとって利便性が良く、事務効率も良い地域ポイント「新居浜あかがねポイント」の取り組みをスタートさせました。
導入にあたって工夫した点
スマートシティ構築にあたり、官民連携の新居浜地域スマートシティ推進協議会を設立。市は課題の設定を行い、それに対して各分科会で企業が提案を行う形式を採用。サービス事業化の観点から事業者が活動しやすい環境にすることを重視し、分科会の運営は民間企業にリードしてもらいました。
サービス本格展開前に、利用者モニターを募集し実証実験を実施し、実験の様子を地域情報サイトやSNSで発信して市民認知度を上げたり、アプリのダウンロード方法や使い方が分からない利用者向けに、市内の携帯ショップでサポートする体制も構築しました。

「新居浜あかがねポイント」のサイト
PHRを利用した健康アプリで健康に対する行動変容を促進|柏市
千葉県 柏市では、PHR(Personal Health Record=個人が自らの健康、医療、介護に関する情報を生涯にわたって収集・一元管理し、活用する仕組みやその記録。「個人健康記録」や「生涯型電子カルテ」とも呼ばれる)を利用した健康アプリで運動・社会参加・栄養を重視したライフスタイルにつながる健康サービスやアドバイス等を実施し、市民の健康に対する行動変容を促進する取り組みを推進しています。
より良い健康づくりの実現に向けて、かしわ健康アプリ「ワニFit」を配信しているもので、従来からあった「かしわフレイル予防ポイント」「柏ウォーキングパスポート」に加え、毎日の記録データをもとにAIが体の変化を予測して健康づくりをサポートする等の機能も追加されています。
特徴や工夫した点
毎日の歩数を簡単にチェックできるほか、目標歩数の達成、ゲーム感覚で楽しめるさまざまな機能の使用、登録のある団体活動やサロン・通いの場へ参加、体重・血圧・食事の記録等でポイントが貯まります。
毎日の通勤や買い物などにスマートフォンを持ち歩くだけなので継続しやすく、ウォーキングなどの日常生活に取り入れやすいことから始められるので、健康づくりの初心者でも無理なく健康習慣を身につけられます。
貯まったポイントは電子マネーやデジタルギフトに交換できます。

かしわ健康アプリ「ワニFit」のサイト
ICT活用の「見守りサービス」で子どもの安全確保|加古川市
兵庫県 加古川市では、ICTを活用した「見守りサービス」を推進し、市民の安全・安心や、特に登下校中の子どもの安全確保を促進しています。
市は小学校の通学路や学校周辺を中心にビーコンタグ(BLEタグ) 検知器を設置し、各民間事業者はビーコンタグとスマートフォンアプリを提供 (有償)しているもので、ビーコンタグを持った子どもや、認知症のため行方不明となる恐れのある高齢者等の見守り対象者が見守りカメラ付近を通過すると、見守りカメラに内蔵する検知器が情報を取得し、保護者や家族に見守り対象者の位置情報履歴を通知する仕組みです。

導入にあたって工夫した点
加古川市では、前提としてスマートシティは目的ではなく地域課題を解決するための手段であり、「スマートシティサービスで地域課題をどう解決するか」ということに主眼を置き、取組開始時にサービス提供事業者と「見守りサービスの運営に関する協定書」を締結。事業内容や個人情報保護を明文化しました。
そのうえで、導入促進のため、高齢者の見守りタグ初期費用と月額利用料を無料とし(市が費用負担)、地域包括支援センター等で周知したほか、新小学1年生の見守りタグ初期費用と月額利用料を無料とし(市と市業者が費用負担)、入学説明会等で周知しています。
また、市が所有する公用車や日本郵便株式会社の郵便配達用バイクにもビーコンタグ検知器を設置するなど、ビーコンタグ検知ポイントを順次拡大しています。加古川市公式アプリ「かこがわアプリ」や「見守りタグ検知アプリ」をインストールしたスマートフォンも検知器になるため、市民の積極的なインストールも呼びかけています。
さらに、複数事業者による事業提供により、市場競争も期待されています。
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