【公会計・業務効率化】公会計化後の膨大な食材費請求書を、「支払代行×一括請求」で1枚に集約


※下記は自治体通信 Vol.76(2026年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
学校給食費の公会計化が全国で広がるなか、食材事業者に対する支払い業務が教育委員会に集中し、事務負担が増大している。そうしたなか、北区(東京都)では令和8年度の公会計化に合わせて、食材事業者への支払いを民間に委託し、膨大な請求書の管理負担軽減と、事業者への迅速な支払いを実現したという。この取り組みの経緯と民間委託の仕組みについて、同区担当者の二人に話を聞いた。


事業者への支払いに、時間を要する可能性があった
―令和8年度から給食費の公会計化を実現したそうですね。
白山 はい。当区では、令和4年度から給食費の公会計化に向けて取り組みを始め、先進自治体への視察や区内各校との意見交換を重ねました。そのなかで、各学校の「私会計」で処理していた請求・支払い業務をどう教育委員会で担うかという難題が浮かびました。当区は区内全44校が自校調理方式で、各学校が約10の食材事業者と契約しています。つまり、毎月約440枚にもなる膨大な請求書を、区の規則に則った会計審査に通さねばならず、その数は年約5,000件にも上ると予測されました。
吉田 また当区では、地域活性化や食育の観点から食材の調達を地元事業者に依頼しています。しかし、なかには小規模な店舗や高齢の事業主も多く、ルールや仕様の変更は難しい面もありました。さらに膨大な請求書の審査に時間を要して、事業者に遅滞なく当月に支払うことが困難だとわかり、システムや外部委託による解決策を模索したのです。
―どのような方法で解決したのでしょう。
吉田 NTTファイナンスから提案を受けた業務委託のスキームが解決の糸口になりました。その内容は、食材事業者から届いた請求書の金額を各学校で『HARMONY』というツールに入力し、そのデータに基づいてNTTファイナンスが複数事業者に一括して「支払」を代行するものです。
これにより、当課に届く請求書は、同社が代行して支払った食材事業者への総額が記された「1枚」に集約されます。当区の会計規則などに即して、このスキームを導入できるよう会計課や契約管財課と確認・調整を重ね、令和8年4月の給食費の公会計化と同時に運用しています。

教職員の負担軽減にも手応え
―成果はいかがですか。
白山 請求書が「1枚」に集約されたことで、会計審査もわずか月1回となり、当課での業務は、各学校が『HARMONY』に入力した金額と、各事業者の請求書の金額をチェックするだけで済んでいます。事業者への支払いもNTTファイナンスによって遅滞なく行われており、事業者側は従来通り学校に請求書を送るだけなので、大きな混乱も起きていません。学校においても、同社による二度にわたる説明会や、事業者を選んで金額を入力するだけという『HARMONY』の容易な操作感にも助けられ、業務が円滑に進んでいます。
吉田 また、作業手順やスケジュール、チェック体制を明確化、共通化することができ、正確性や透明性が向上して、支払い事故の抑止につながっています。さらに、学校現場で給食費を現金で扱うことがなくなり、その管理負担も軽減されました。これにより、教職員が教育という本来の目的に注力できる学校環境の整備にも手応えを感じています。

―給食費の公会計化をめぐる現状をどうとらえていますか。
徴収業務については業務委託やシステムなど多様な手法がある一方、食材事業者に対する支払い業務については、有効な解決策が少なく、いまも多くの自治体で膨大な請求書管理や煩雑な支払い処理の手作業が残されています。これまで行われてきた学校の「私会計」とは会計規則や請求書の様式も異なるため、公会計への移行後に事業者や学校などに混乱をきたし、支払いまでに時間を要する例もあるようです。そこで当社では、複数事業者からの請求書を『HARMONY』というツールで一元化し、事業者に対して当社が支払いを代行する『食材調達費支払業務委託スキーム』を提案しています。
―特徴を教えてください。
事業者からの請求を個別に支払う必要がなくなり、庁内の会計処理を当社が発行する請求書1枚に一本化できる点です。このスキームは北区の要望を受けて改良してきたため、ほかの自治体でも会計規則に則った運用が可能だと考えています。また学校現場に対しては、『HARMONY』に関するハンズオン形式の説明会や動画マニュアルを提供し、システムに慣れない学校の職員でもすぐに利用できるよう支援します。
―自治体への今後の支援方針を聞かせてください。
同じ悩みを抱える自治体は多いと聞いています。こうした自治体に対し、当社では各自治体の規則に則った運用ルールの策定から包括的に支援し、公会計化後の効率的な運用を後押ししていきます。

| 創立 | 昭和60年4月 |
|---|---|
| 資本金 | 167億7,096万円 |
| 売上高 | 3,568億円(令和8年3月期) |
| 従業員数 | 3,445人(令和8年3月期) |
| 事業内容 | 通信サービス等料金の請求・回収業務、集金代行・支払代行および企業の計算事務代行、経理にかかる事務・制度の調査・コンサルティングなど |
| URL |

.png)

260805%20(1).png)
