【条例公布の電子化】「条例公布時の首長署名」を電子化し、災害時の業務継続性を高める
(GMOサイン行革DX 電子公印 / GMOグローバルサイン・ホールディングス)

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※下記は自治体通信 Vol.75(2026年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
業務効率化や住民サービス向上の手段として、行政手続きの電子化に取り組む自治体が増えるなか、令和7年の地方自治法の改正により、「条例公布時における首長署名」の電子化が認められた。この法改正に向けた国への要望を行い、いち早く電子署名での条例公布を実現したのが茨城県だ。電子化に着目した経緯や具体的な成果について、取り組みを支援したGMOグローバルサイン・ホールディングス(以下、GMO社)の牛島氏も交え、同県の介川氏と久保田氏に詳しく聞いた。



災害時に条例が公布できず、県民生活に影響を与える懸念
―茨城県では、どのような電子化の取り組みを進めてきましたか。
久保田 本県では、民間出身の大井川知事の方針のもと、決裁や契約、処分通知などの電子化に段階的に取り組んできました。具体的には、平成30年に電子決裁率100%を達成し、令和3年には都道府県で初めて立会人型の電子契約を導入しています。職員が本質的な業務に注力できる環境づくりを推進するなかで、次なる着眼点となったのが「条例公布時における首長署名の電子化」でした。当時は、地方自治法上、自署に限られ電子署名は認められていませんでした。年4回の定例会などに伴うもので頻度こそ多くないものの、知事はこの手続きが紙のまま残っていることに着目したのです。
―紙で残っていることに、どのような課題意識があったのですか。
介川 災害時などの緊急対応です。本県では、県報登載など条例公布に関する手続きのうち、署名だけが紙の手続きとして残っており、電子的に完結することができませんでした。これにより、大規模災害などで登庁が困難となった場合、条例が公布できない事態を懸念したのです。条例が税制改正など県民の権利義務に直結する重要なものである場合、期限内に公布できなければ県民生活に多大な支障をきたしかねません。そこで法改正を求め、令和5年12月に知事自らが総務大臣に要望を行いました。知事は「署名という伝統を守ることも重要だが、行政事務の電子化は県民サービスの観点でそれを上回る価値がある」と強く訴えかけ、電子署名の利用容認に向けた、法改正の動きが始まったのです。
牛島 当時、当社では多くの自治体から処分通知の電子化に関する相談を受けていましたが、茨城県は早くから条例公布時の首長署名に着目しており、DXが進む先進自治体ならではの課題認識や取り組みには「さすが」という納得感がありました。

電子署名とタイムスタンプで、従来の署名の機能は代替可能
―技術面では実現できるという確信はあったのでしょうか。
介川 当初、総務省からは、現行の署名が持つ「原本の真正性の証明」と「長期にわたる真正性の確保」という機能が、電子で代替できるか検討が必要という見解が示されました。これに対して本県は、電子署名とタイムスタンプ*の組み合わせで代替できると考えました。電子署名は電子文書の真正性を証明し、タイムスタンプについては、有効期限を迎える前に更新していけば長期にわたる有効性を永続的に確保できるからです。我々は、当時すでに、法令に基づく処分通知などについて、電子署名とタイムスタンプの技術を活用した電子公印を導入し、運用していた実績もありました。こうした総務省とのやりとりを経て地方自治法が改正され、条例公布時における電子署名の利用が認められました。

―地方自治法改正のポイントを教えてください。
牛島 首長の署名に代わる措置として、電子署名法が規定する電子署名等が利用可能であることが明文化されました。そのうえで、これまで知事自らが自署していたのと同様に、「長自らが電子署名の措置を講ずるものであること」という留意点が技術的助言として示されました。「長本人自らが確かにその措置を講じた」という厳格な本人確認が求められたのです。これらのポイントは、当社が展開している「電子公印サービス」でいずれも押さえているものでした。
―詳しく聞かせてください。
牛島 当社が発行する電子署名は、デジタル庁、法務省、財務省により、電子署名法第2条第1項に適合すると認められています。国が求める首長自らによる措置に対しては、システムへのログイン認証に加え、実際に署名を実行する段階で、知事本人しか知り得ないPINコードの入力を求める仕様にしています。この二要素認証により、知事自らが署名したという証跡をシステム上で担保できるのです。
介川 本県ではすでに処分通知の電子化でGMO社のシステムを使用していた実績があったため、法改正後すぐに同社と連携し、首長署名の電子化の実現に向けてさらに実証・検証を進めました。
*タイムスタンプ : 電子データがある時刻に確実に存在していたことを証明する電子的な時刻証明書

「当事者型のリモート署名」で、厳格性と機動性を確保
―具体的に、どのような検証を進めたのですか。
牛島 まず、立会人型や当事者型、ローカル型、リモート型といった署名方式についてお話ししましたが、メール認証を用いる「立会人型」については、署名文書に認証情報として知事のメールアドレスが記録されることから、一般への露出や悪用、迷惑メール受信などのリスクが生じる懸念もあり、「当事者型」を採用することになりました。さらに、LGPKI*のように、電子証明書が格納されたUSBメモリやカードを用いる「ローカル型」では、物理的なメモリなどをつねに持ち歩く必要があり、災害時の機動的な対応が難しくなります。そこで当社は、首長個人を厳格に証明でき、かつ、クラウド上の安全なサーバに格納された電子証明書(秘密鍵)を用いる、「当事者型のリモート署名」を提案しました。タイムスタンプについても10年の自動延長機能を実装しており、永続的な真正性担保の課題も解消しました。
久保田 こうした検証を経て、本県は公告式条例を改正し、令和7年12月の県議会定例会で成立した条例から、GMO社の電子公印サービスを用いた電子署名を開始しました。
*LGPKI : 地方公共団体組織認証基盤

端末と通信環境さえあれば、即時に電子署名できる
―電子化により、首長署名の手続きはどのように変わりましたか。
久保田 それまでは、職員が紙に印刷した条例原本を秘書課に預け、知事の署名完了の連絡を受けて引き取りに行くという、物理的な移動や待機の手間が発生していました。現在は、知事が業務で使用しているタブレット端末にGMOサインのアプリをインストールしています。これにより、職員がシステムから署名を依頼すると、知事のタブレット端末に即座に通知が届きます。知事は通知を確認し、専用のPINコードを入力することで、タブレット上で簡単に手続きを完了できるようになりました。いつも知事が持ち歩いているタブレットと、通信環境さえあれば即時対応が可能となり、出張先や移動中、あるいは災害時でも遅滞なく適法に条例を公布できる体制へと変わったのです。

―電子化に関する今後の方針を聞かせてください。
介川 首長署名の電子化が実現したことで、条例公布の手続きを電子的に完結することができるようになりました。今後は同様に、県民や事業者が行う各種申請手続きについても、オンライン化や簡素化を推進し、県民の利便性向上を図っていきたいと考えています。GMO社には、現場に寄り添った利用者目線のサービス提供を今後も期待しています。
牛島 当社としても、茨城県との共同検証を通じて行政実務の厳格さを確保するニーズや法解釈の知見を共有でき、非常に貴重な経験となりました。今後も、DXに積極的な茨城県と知見をお互いに提供し合い、その成果を全国の自治体に広げていきたいと考えています。行政の効率化は、住民が安心してデジタルの恩恵を享受できる社会の実現に直結します。これからも全国の自治体に向けて、業務効率化と確かな安全性を両立する強力な支援を続けていきます。

ここまでは、電子署名の仕組みを用い、条例公布時の首長署名の電子化に取り組む茨城県の取り組みを紹介した。ここでは、同県の取り組みを支援するGMOグローバルサイン・ホールディングスを取材。行政文書に求められる厳格な真正性を担保しながら、電子署名の活用を業務効率化や住民サービス向上につなげるためのポイントを聞いた。

行政処分への電子署名活用は、厳格な仕組みが求められる
―自治体における電子署名の活用状況をどのように見ていますか。
全国の自治体で電子署名の活用は急速に広がっています。すでに「契約の電子化」が普及しているのに加え、令和5年度に処分通知の電子化に関するガイドライン*がデジタル庁から発表されたことで、電子化の機運は高まっています。特に処分通知の電子化は、自治体にとって非常に大きなインパクトがあります。年間で数千件にとどまる契約業務に比べ、処分通知は基礎自治体でも10万件以上、県庁クラスになれば数十万件という膨大な発行件数があるため、業務効率化やコスト削減の効果が極めて大きいからです。現在は、自治体の決裁のみで行える補助金の決定通知や、受け取る親世代がスマートフォンなどのデジタル機器に親しんでいる保育園の入園決定通知などから、スモールスタートで始める自治体が増えています。
―電子化にあたり、留意すべきことはありますか。
デジタル庁のガイドラインにおいては、「真正性の担保」「情報セキュリティ対策」「処分通知の到達確認」の3つのポイントが示されています。行政処分は契約と異なり、双方の合意ではなく行政側が一方的な責任のもとで発行・証明するため、より厳格な仕組みが求められるからです。これらに留意し、自治体のみなさんに安心して使っていただけるよう、当社では『GMOサイン行革DX 電子公印』を提案しています。
―どのような特徴がありますか。
最大の特徴は、デジタル庁のガイドラインの3つのポイントを押さえた行政特化型の電子公印サービスである点です。真正性の担保には証拠力の高い「当事者型」の電子署名を採用し、セキュリティ対策としては「ISMAP」や「SOC2 Type2」といった自治体が重視する認証を網羅的に取得しています。到達確認にはSMSによる二要素認証などを実装しています。また、PINコードを使った二要素認証などの仕組みにより、地方自治法改正で認められた「条例公布時の首長署名の電子化」にも対応しています。さらに、利用者にとって使い勝手がいいのも特徴です。
*ガイドライン : デジタル庁「処分通知等のデジタル化に係る基本的な考え方」

既存システムと連携し、手続きの「デジタル完結」を
―詳しく聞かせてください。
当社の電子公印サービスは「リモート型」のため、USBメモリやカードを用いることなく、ブラウザやアプリ上の操作だけで完全にデジタルで署名を行えます。また「AATL*」に対応しているため、受取人も署名を検証する専用ソフトが不要で、一般的なPDFビューアーで簡単に真正性を確認できます。加えて、文書管理や電子決裁などのシステムと連携できることで、申請の受け付けから処分通知の交付までを一気通貫で行う、手続きの「デジタル完結」もシームレスに目指せます。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
私たちは、単にシステムを提供するだけでなく、自治体の課題や要望に寄り添い、一緒に良いサービスをつくっていきたいと考えています。また、これからの時代は情報セキュリティ対策が極めて重要になります。GMOグループ全体として、近年はセキュリティ事業に力を入れています。インターネット上の信頼性を守る強力な体制を整えていますので、ますます自治体に安心してもらえる土台が固まっています。ぜひ、お気軽に問い合わせください。
*AATL : 「Adobe Approved Trust List」の略。電子署名済み文書を「Adobe Acrobat」などで開くときに、あらかじめ信頼される電子署名を自動検証可能とする仕組み

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| 設立 | 平成5年12月 |
|---|---|
| 資本金 | 9億1,690万円(令和7年12月31日現在) |
| 売上高 | 206億7,000万円(令和7年12月期) |
| 従業員数 | 962人(令和7年12月31日現在) |
| 事業内容 | 電子認証・印鑑事業、クラウドインフラ事業、DX事業 |
| URL |

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