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北海道函館市の取り組み
先進事例2025.06.02
子育て支援事業へのLINEの活用①

【スマホ市役所・子育て】「抱っこ」していても片手で行政手続き、子育て世帯の負担をLINEで軽減
スマホ市役所 / Bot Express

[提供] 株式会社Bot Express
【スマホ市役所・子育て】「抱っこ」していても片手で行政手続き、子育て世帯の負担をLINEで軽減(スマホ市役所 / Bot Express)
この記事の配信元
株式会社Bot Express
株式会社Bot Express

※下記は自治体通信 Vol.66(2025年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

全国でDXの機運が高まるなか、多くの人々が普段使いするSNSの「LINE」を活用し、住民サービスの向上を図る自治体は多い。函館市(北海道)でも現在、子育て支援に関する手続きのオンライン化に力を入れ、LINE活用による子育て世帯の負担軽減に確かな手応えを得ているという。取り組みを始めた経緯や、具体的な成果について、同市の担当者2人に聞いた。

[函館市] ■人口:23万4,659人(令和7年4月末現在) ■世帯数:13万8,218世帯(令和7年4月末現在) ■予算規模:3,082億8,400万円(令和7年度当初) ■面積:677.87km² ■概要:渡島半島の南東部に位置し、東・南・北の三方を太平洋・津軽海峡に囲まれ、西は北斗市・七飯町・鹿部町と接する。室町時代の享徳3年(1454年)、津軽の豪族、河野政通が宇須岸(ウスケシ:アイヌ語で湾の端の意)と呼ばれていた漁村に築いた館が箱に似ているところから、「箱館」と呼ばれることになった。明治2年(1869年)、函館と改められた。
インタビュー
松林 静輝
函館市
企画部地域デジタル課 主任主事
松林 静輝まつばやし よしき
インタビュー
渡邉 拓也
函館市
子ども未来部 母子保健課 主査
渡邉 拓也わたなべ たくや

情報発信だけでなく、DXの手段としてLINEを活用

―函館市がLINEの活用を始めた経緯を教えてください。

松林 当市では、SNSの中でも利用率の高いLINEのさまざまな機能を活用することで、市政情報の効果的・効率的な提供や、市民が市政情報にアクセスしやすい環境の整備につなげようと、令和4年9月に「LINE公式アカウント」を開設しました。その後、市民に実施したアンケートでは、「申請や予約などの行政手続きをLINE上で行えるようにしてほしい」といった声が多く寄せられたため、LINEを住民サービスの向上に向けた、DXの推進手段としても積極的に活用していく方針を固めたのです。すでに、LINEに追加機能を実装できる「拡張ツール」を活用していたのですが、改めて、より本格的に手続きのオンライン化を目指せるツールの検討を始めました。

―具体的に、どういった点を重視しましたか。

松林 「本人確認」や「決済」など、手続きのプロセスをすべてLINEで完結できるような、利便性の高い住民サービスを目指せることです。そのため、運用開始後でも機能の向上や構成の変更を行えるような「柔軟性」と、システムの「拡張性」を重視しました。それらを踏まえて令和5年度にプロポーザル型公募を実施した結果、『GovTech Express』の導入が決まりました。数の制限なく新機能を開発でき、ほかの導入自治体が開発した機能もコピー・改良できる点などを評価しました。導入後は、令和6年1月にLINE公式アカウントをリニューアルする形で、税や子育てなどに関する11のオンライン手続きの提供を始めました。

子育て支援関連の手続きを、幅広くカバーできている

―導入後の成果はいかがですか。

渡邉 「LINEの活用が住民サービスの向上につながっている」という確かな手応えを、リニューアルからわずか数ヵ月で実感できました。特に、子育て支援関連の手続きは利用率が高く、産後ケアはほぼ100%、出産子育て応援給付金は約80%、LINEを通じた申請が占めています。子育て支援に関する行政サービスは非常に多いですが、小さなお子さんをもつ家庭にとっては、必要な手続きを調べるのも、市役所へ赴いて手続きを行うのも大変です。そこで我々は、「子どもを抱えながら、片手で簡単に手続きをすませられる」ことをコンセプトに、機能の大幅な拡充を図り、この3月から公式アカウント上へ新たに実装しました。

―具体的に、どういった機能を拡充したのですか。

渡邉 「マザサポ+」という目玉機能を新たに実装しました。これは、家族の住所や氏名、生年月日などを事前に登録することで、子どもの月齢や発達に合った情報を受け取れたり、登録内容が自動入力されてオンライン手続きがより簡単になったりする仕組みです。たとえば子育て応援給付金申請の場合、従来のオンライン手続きでは氏名や住所など多くの情報の入力が必要で、3分30秒ほどかかっていました。これが「マザサポ+」では、1分30秒ほどで完結できるようになりました。スマホ操作も、文字入力はほとんどなく、一問一答形式のタップ操作だけですみます。

松林 また、子どもが生まれてから小学校に入るまでに必要な多くの手続きを、LINEから簡単にオンラインで行えることを目指し、ほかのシステムで申請する手続きも、迷わずアクセスできるようメニュー上に入口を集約しました。今後も、『GovTech Express』を活用しながら利便性の高いオンライン手続きを充実させ、函館市のLINE公式アカウントを「日本一便利なオンライン市役所」にしていきたいです。

支援企業の視点
子育て支援事業へのLINEの活用②
自治体のLINE活用のカギは、「情報発信」×「手続きのオンライン化」

ここまでは、子育て支援関連の手続きをLINE公式アカウント上に実装し、住民サービスの向上を図る函館市の取り組みを紹介した。ここでは、その取り組みを支援しているBot Expressに取材。自治体がDX推進にLINEを活用する際の要諦を、同社の秋葉氏に聞いた

インタビュー
秋葉 直人
株式会社Bot Express
シニアパートナー サクセスマネージャー
秋葉 直人あきば なおと
昭和55年、北海道生まれ。自治体職員として税務、財政、公立病院の財務などを経験し、令和4年9月に株式会社Bot Expressへ転職。現在はカスタマーサクセス担当として、『GovTech Express』を活用し、地方自治体の住民サービス向上と業務効率化を支援している。

子育て世帯の負担感を高める、情報量の多さと手続きの手間

―子育て支援のDXをめぐる自治体の動きをどう見ていますか。

 子育て支援は、母親の妊娠期から子どもが小学校に入るまでに住民が行う行政手続きの数が非常に多いため、子育て世帯の負担感を軽減しようと「DXを進めたい」と考える自治体が多いです。住民からすれば、「どの時期にどういった手続きが必要になり、どんなサービスを受けられるか」がわかりにくく、役所で手続きを行うことも負担が非常に大きいのです。

―どのように解決すればよいでしょう。

 多くの子育て世帯が普段使いする、LINEの活用は有効な解決策になります。スマホに新たなアプリを別途インストールする必要がない点や、直感的に使えるUIの高さは、ほかのデジタルツールに対するLINEの大きな強みです。すでに約8割の自治体が開設しているLINE公式アカウント*に「拡張ツール」をあわせて活用すれば、より便利な機能をLINEに実装できます。これによって、「情報発信」と「手続きのオンライン化」の両面で、子育て世帯の負担軽減を図れるでしょう。当社でも『GovTech Express』というツールの提供を通じ、自治体のLINE活用を支援しています。

―どういった特徴がありますか。

 豊富な「機能パーツ」を用い、新機能の実装や既存機能のカスタマイズを定額で、かつ数の制限なく行えることです。そのため自治体は、開発コストを気にせず、「妊娠週数、子どもの月齢に応じた手続きを案内する」といった、きめ細かな情報発信も可能になります。「マイナンバーカードを使った本人確認」や「オンライン決済」なども機能パーツとして用意されているので、子育て支援に限らず、多様な手続きにおいて利便性の高いオンライン化を追求し、LINE上に「スマホ市役所」の構築を目指すことができます。また当社では、業務のニーズに応じたDXを推進できるようスタッフが伴走する体制も整えています。

*令和7年4月現在、約1,500の自治体がLINE公式アカウントを開設。LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント 地方公共団体プラン 媒体資料」より

手続きや業務にフィットする、最適なオンライン化を支援

―詳しく聞かせてください。

 『GovTech Express』は約300の自治体が導入し、つねに新たなLINE機能の開発・改良が進んでいます。導入自治体は、これらの機能をコピーして使うこともできますが、手続きや業務をめぐる事情は自治体ごとに異なります。そこで当社のスタッフが自治体の状況に応じた機能の開発やカスタマイズを支援することで、最適なオンライン化を図れるのです。私を含め、支援にあたる当社の「パートナーサクセスマネージャー」は、多くが元自治体職員です。職員のみなさんと同じ目線で、住民サービスの向上や業務効率化に向けたDXを支援できる点は、我々の大きな強みだと自負しています。

―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。

 ツールの提供にとどまらず、LINE活用に関する情報発信も通じて、自治体のDXを支援していきます。たとえば当社では、導入自治体の職員が登壇するオンラインセミナーやリアルイベントを開催し、LINE活用の成功事例などを共有しています。これらのイベントは、『GovTech Express』の導入の有無にかかわらず、多くの志の高い職員たちの交流の場にもなっています。当社のLINE公式アカウントでは、これらのイベント情報も受け取れるほか、機能デモも体験できますので、ぜひご確認ください。

株式会社Bot Express
株式会社Bot Express
設立

平成31年2月

資本金

1億円

従業員数

22人(令和7年4月現在)

事業内容

官公庁専用対話型アプリケーション『GovTech Express』の開発・提供

URL

https://www.bot-express.com/

お問い合わせ先
050-1791-9464
sales@bot-express.com


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