【契約DX】法務・運用面の不安払拭で描けた、電子署名活用による効率化への道筋
(GMOサイン行革DX 電子契約 / GMOグローバルサイン・ホールディングス)

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※下記は自治体通信 Vol.77(2026年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
DX推進や法整備を背景に、自治体業務における電子署名の活用シーンが拡大している。そうしたなか、岩手県では複数部署によるワーキンググループを立ち上げ、電子契約システムの導入を推進。丁寧な準備プロセスを経て現場の不安を解消し、今後の全庁的な電子署名活用に向けた手応えを得ているという。その詳細について、取り組みを支援したGMOグローバルサイン・ホールディングス(以下、GMO社)の牛島氏も交え、同県の藤田氏と後藤氏に聞いた。



現場の心理的障壁が大きく、導入に踏み出せなかった
―電子契約導入の検討にいたった背景を聞かせてください。
藤田 本県では働き方改革の取り組みの一環として、電子入札や電子決裁・文書管理システムの導入など、庁内手続きの電子化を進めてきました。その次のステップとして検討課題に浮上したのが契約業務の電子化でした。電子契約をめぐっては、地方自治法施行規則の改正で立会人型電子署名が認められ、周辺自治体でも活用が広がりつつありました。
しかし、従来の紙と押印による実務が定着していたことから、運用面での変更やシステムの操作に対する現場の心理的な障壁が大きく、導入へ一歩を踏み出せずにいたのです。そうした現場の懸念や課題を洗い出し、全庁的な導入可能性を検証するため、令和5年度にワーキンググループを立ち上げました。
―ワーキンググループではどういった取り組みを行ったのですか。
藤田 令和5年度は、働き方改革を担当する行政経営推進課と、会計事務指導を担当する出納局会計課を中心に、基礎的な情報収集を行いました。令和6年度は会計システムの再構築を優先し一時中断しましたが、令和7年度に検討を本格化させました。この段階で、物品購入を所管する出納局総務課と法務を所管する総務室が参画。加えて、自治体への電子契約サービスの導入で豊富な支援実績のあるGMO社にもオブザーバーとして入ってもらいました。
牛島 ワーキンググループに参加させていただけたことは当社にとっても大きな意義がありました。自治体における電子契約導入の肝は、システムや機能そのものよりも、既存の規則や実務に即した「運用体制の構築」にあります。その点、岩手県のワーキンググループは実務と法務の担当者が揃って参加していたため、課題が非常に明確化されていました。だからこそ当社としても、他自治体の事例などに基づいた実効性の高い提案ができました。
―ワーキンググループでは具体的に、どのような課題が洗い出されたのですか。
藤田 まずは、法務面における「契約の遡及」に関するものです。電子契約は、実際の署名日時が「タイムスタンプ」の仕組みによって明確に記録されます。そのため、実際の契約開始日とのズレが「不正なバックデート」とみなされないかという点が懸念事項となっていたのです。
後藤 運用面においては、署名権限の整理が壁となりました。紙での知事印に置き換わった場合、システム上において誰のアカウントを用いて誰が署名処理を行うべきか、明確なルールが存在しなかったため、現場の運用での混乱が予想されました。

事業者も参画する実証実験で、本番同様のやり取りを検証
―それらの課題に対して、GMO社はどういったサポートを行ったのですか。
牛島 「契約の遡及」に関する法務面の懸念に対しては、当社の弁護士による見解を共有しました。「契約書内に契約の有効期間を明記して合意・締結されれば、開始日から有効とされること」を説明することで、懸念を払拭していただけました。
運用面の署名権限については、全国の自治体でおもに採用されている署名フローのパターンを提示したうえで、岩手県の実務にもっとも適したルールの構築をサポートしました。
藤田 GMO社からはそうしたアドバイスだけにとどまらず、実際の検証環境を提供してもらい、本番さながらの実証実験を行えたことも大きかったです。

―どういった実証実験を行ったのですか。
藤田 実証実験は段階を踏んで実施しました。第1段階として職員同士で操作感を確認し、第2段階ではGMO社を事業者に見立てて検証しました。最終の第3段階では、実際の取引事業者数社にもご協力いただき、本番同様のやり取りを行いました。結果として、参加者からはいずれも否定的な意見はなく、手間の削減や、「未入力防止機能」によるミス防止、災害時のリスク回避といったメリットを確認することができました。
こうした検証を経て、令和8年度には公募型プロポーザルを実施しました。その結果、『GMOサイン』の導入を決定し、8月からの運用開始にいたりました。
―具体的に、どのように運用を行っていくのですか。
藤田 まずはスモールスタートとして、本庁と盛岡広域振興局が取り扱う物品購入分野に対象を絞って運用を始めます。物品購入は、契約件数が多く、電子化による効果を早期に得られやすいと見込んだためです。ここで運用のノウハウや成功体験を蓄積し、利用に対する現場職員の心理的ハードルを下げたうえで、段階的に対象業務や活用部署を広げていく計画です。
遠方の事業者との契約も、数時間で完結できるように
―電子契約の活用にどのような効果を期待していますか。
後藤 特に期待しているのは、契約事務の時間短縮と作業負担の軽減です。紙の契約書で発生していた製本や郵送などの物理的な作業がなくなるため、1週間以上かかることもあった遠方の事業者との契約も、早ければ数時間で完結できるようになります。
また、郵送費や紙代などの経費削減効果も大きく、全庁展開された場合には、一定程度のコスト削減を見込んでいます。契約の相手方となる事業者にとっても、印紙税がかからなくなるほか、書類を庁舎に持参するための交通費、郵送の手間が削減できるという大きなメリットが想定されています。
決裁システムとの連携で、事務のデジタル完結にも期待
―電子化に関する今後の方針を聞かせてください。
藤田 物品購入業務から工事や委託業務へと電子契約の対象を広げ、全庁的な活用を加速させていきます。また、『GMOサイン』と既存の電子決裁・文書管理システムを連携させる構想も描いています。起案から決裁、契約締結、保管までが一気通貫でデジタルで完結できるようになれば、業務効率化の相乗効果はさらに高まると確信しています。その実現に向けて、豊富な知見を持つGMO社には今後とも変わらぬ伴走支援を期待しています。
牛島 当社は岩手県のプロポーザルにおいては、単にシステムを提案するだけでなく、「もっとも現場で使われる電子契約システムを目指す」とお約束しました。その約束を果たすため、今後も説明会の開催や毎年の人事異動時のフォローなど、現場に寄り添ったサポートを徹底していきます。
当社はこれまで手探りの状態から全国300以上の自治体を支援し、現場からのさまざまな要望に応えることでサービスを磨き続けてきました。そこで得たノウハウを還元しながら、電子署名の導入や運用の定着に悩む自治体のDXを支えていきます。

ここまでは、ワーキンググループの立ち上げを経て、電子契約システムを導入した岩手県の取り組みを紹介した。ここでは、同県の取り組みを支援するGMOグローバルサイン・ホールディングスに取材。電子署名の導入に関して自治体が抱える課題や、その解決方法について、同社の本田氏に詳しく聞いた。

例規改正や運用フロー構築が、導入前の心理的ハードルに
―自治体における電子署名の活用状況をどのように見ていますか。
地方自治法施行規則の改正をはじめとする法制度の整備が進み、電子署名を活用した業務効率化への自治体の関心は高まり続けています。契約締結業務にとどまらず、処分通知や条例の交付など、幅広い自治体業務において電子署名の導入を検討する動きが広がりつつあります。バックオフィス業務の負担軽減や、住民・事業者の利便性向上に直結するため非常に有意義な取り組みです。しかしその一方で、導入に際して運用面などでの心理的ハードルを感じ、検討段階で足踏みをしてしまう自治体が少なくないのも実情です。
―具体的に、どういった導入ハードルがあるのでしょう。
1つ目は、「例規の改正」で、紙と押印を前提とした既存の規則を、電子化に伴い改正する必要が生じることです。2つ目は「運用フローの構築」です。従来の業務フローからの変更や、紙と電子の混在に対して職員の心理的抵抗が生じ、庁内の合意形成に時間を要してしまう懸念も指摘されます。そして3つ目は「利用の周知と定着」で、職員や事業者への説明会開催や毎年の人事異動に伴うノウハウの途絶などがあげられます。そのため、電子署名の活用に向けては、ただシステムを導入するだけではなく、現場の懸念を一つずつ解消する継続的な「人的サポート」が不可欠です。そこで当社では、導入前から運用時まで一貫した伴走支援を通じ、自治体の電子署名活用を後押しします。
―どういった支援を提供しているのですか。
例規の改正に対しては、各自治体の例規を事前に確認し、他自治体の事例や弁護士と連携した条文案の提示を通じて調整の負担を軽減します。運用フローの構築については、導入自治体との情報交換の場やトライアルを通じて、現場の合意形成や最適なルールの提案を行います。システムの周知・定着に向けては、説明会を回数無制限で開催し、人事異動後も継続的にフォローしています。こうした手厚い人的サポートを通じていただく現場の生の声や要望をシステムへ還元し、機能を充実させている点も当社サービスの特徴です。

自治体の運用実態に合った、使いやすい機能を実装
―具体的に聞かせてください。
たとえば、「締結済みの契約書と証明書をまとめて保存したい」という現場の声から、複数文書の一括ダウンロード機能を実装した事例があります。また、既存の文書決裁システムなど外部システムとの連携に関する相談も非常に多く寄せられています。単にツールを提供するだけでなく、自治体ごとの運用実態に合わせた機能改善やシステム連携を重ねていくことが、現場での使いやすさにつながっています。
―今後、どういった方針で自治体を支援していきますか。
電子署名の活用シーンが広がるにつれて関連部署も増え、合意形成や運用定着には多くの労力がかかります。しかし、業務効率化や住民サービスの向上といった成果を得るためには、この最初の土台づくりこそが極めて重要です。私たちはこれからも自治体が抱える現場の課題や不安に寄り添い、制度面の調整からシステムの定着にいたるまで手厚く伴走し続け、自治体のDX推進をお手伝いします。関心のある自治体のみなさんはぜひ、お気軽にご連絡ください。

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| 設立 | 平成5年12月 |
|---|---|
| 資本金 | 9億1,690万円(令和7年12月31日現在) |
| 売上高 | 206億7,000万円(令和7年12月期) |
| 従業員数 | 962人(令和7年12月31日現在) |
| 事業内容 | 電子認証・印鑑事業、クラウドインフラ事業、DX事業 |
| URL |

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