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栃木県栃木市の取り組み
先進事例2023.06.13
郵便物発送業務の効率化①

郵便物の封入作業を自動化し、より多くの人手と時間をコア業務に

[提供] ピツニーボウズジャパン株式会社
郵便物の封入作業を自動化し、より多くの人手と時間をコア業務に
この記事の配信元
ピツニーボウズジャパン株式会社
ピツニーボウズジャパン株式会社

※下記は自治体通信 Vol.50(2023年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

年間を通じてさまざまな通知や帳票を住民に発送している自治体においては、手作業による郵便物の封入・封かんに、多くの人手や時間を割いているケースが少なくない。そうしたなか、栃木市(栃木県)では、この封入・封かん作業を自動化し、業務効率化で大きな成果を得ているという。同市総合政策課の大塚氏と総務人事課の阿部氏に、取り組みの詳細や具体的な成果について聞いた。

[栃木市] ■人口:15万5,092人(令和5年4月末日現在) ■世帯数:6万6,953世帯(令和5年4月末日現在) ■予算規模:1,231億7,066万5,000円(令和5年度当初) ■面積:331.50km² ■概要:栃木県の南部に位置する。茨城、栃木、群馬、埼玉の4県の県境が接する稀有な地域でもある。江戸時代には日光例幣使街道の宿場町として栄え、市内を流れる巴波川の舟運を活用した商人町として発展を遂げた。現在も蔵造りの建物を中心とする歴史的な街並みが残っている。市がすすめる名産品や農畜産物、工芸品は「とちぎ小江戸ブランド」に認定し、アピールしている。
インタビュー
大塚 知幸
栃木市
総合政策部 総合政策課 ふるさと納税推進係 副主幹 兼 ふるさと納税推進係長
大塚 知幸おおつか ともゆき
インタビュー
阿部 正暉
栃木市
経営管理部 総務人事課 主任
阿部 正暉あべ まさき

正確さとスピード感が、同時に求められる封入作業

―郵便物の発送に伴い、どのような業務を行っていますか。

大塚 年間を通じ、ふるさと応援寄附金の「受領証明書」を発送しており、関連する各種帳票や文書を封入・封かんする作業を行っています。以前はこれを職員が手作業で行っており、封入物が多い場合、100通当たり約1時間がかかっていました。当市ではふるさと応援寄附金額が年々2倍近くのペースで増えており、職員の数が変わらないなか、この作業にかかる負担は増大していきました。

―具体的に、どういったところに負担を感じていたのでしょう。

大塚 誤封入を起こさないよう神経を尖らせながら、同じ作業を長時間続けることです。特に12月には、年間総額の半分近くの寄附が集中するため、1万通以上の封入・封かん作業に6~7人がかりで対応する状態が発生していました。しかも、この作業にはスピード感も求められます。「ワンストップ特例」の適用を希望する寄附者は1月10日必着で申請書を市役所に返信する必要があるため、我々も受領証明書と申請書の発送を急がなくてはならず、職員の心理的負担を強めていたのです。

阿部 そうした状況をなんとか改善したいと考えていたとき、ピツニーボウズジャパン社から「封入・封かん機」という機械の提案を受けました。それは、文書や封筒をセットしてボタンを押すと、紙折りから封入、のりづけまでを自動で行えるというものです。実際に、書式が異なる複数の書類が高速で封入されるようすを見て、総合政策課の業務負担は確実に軽減できると確信。封入・封かん作業が発生するあらゆる部署で業務効率化を図れると期待し、令和4年5月に導入しました。

正確な紙折りによって、割引料金の適用も容易に

―導入効果を教えてください。

大塚 かつて100通で約1時間かかっていた作業は15分程度で終わるようになり、大きく省力化できました。これにより、当係の職員は、ワンストップ特例申請書に記載されたマイナンバーの突合を行うなど、より正確性が求められる作業に専念できるようになっています。年末年始の場合、6~7人もの職員がコア業務の質向上につなげられた形となるため、導入効果は非常に大きいと感じました。

阿部 ピツニーボウズジャパンには、封入・封かん機の仕様に合う封筒の調達も支援してもらったことで、自動化の成果はさまざまな部署や業務に広がりつつあります。たとえば税部門では、2日かかっていた税金の通知の封入・封かん作業を4時間程度で完結でき、新たに捻出した数時間をコア業務に充てられるようになったそうです。

 このほか、「バーコード割引*」を適用したい郵便物の封入作業でも成果を実感しています。機械が行う正確な紙折りによって、バーコードが封筒の窓枠内にきちんと収まるようになったので、割引料金の適用が容易になったのです。
*バーコード割引 : 一定の条件を満たす定形郵便物およびはがきに、所定のバーコードを記載した場合に料金を割り引く制度の通称

―今後はどのような方針で活用していきますか。

阿部 当市ではこれまでも、「郵便料金計器」という機械で、郵便物集計の正確性を担保していましたが、今回、封入・封かん作業も自動化したことで、より正確かつ迅速に郵便物を発送できる体制が整いました。今後も、封入・封かん機の認知を広め、庁内全体で業務効率化を実現していきたいです。

大塚 自動化によって職員に時間的・精神的な余力が生まれるという効果は我々の部署で実証済みです。さまざまな部署の職員がより多くの時間と労力をコア業務に割けるよう、当係の活用事例を庁内で広めていきます。

富山県魚津市の取り組み
郵便物発送業務の効率化②
郵便物発送に伴う多様な作業を、1台の機械でまとめて効率化

郵便物の発送をめぐって自治体職員の頭を悩ませているのは、封入・封かん作業だけにとどまらない。郵便物を郵便局員に手渡す前の煩雑な集計作業に、職員が日々負担を感じている自治体も多い。魚津市(富山県)もそうした自治体のひとつだったが、昨年からはこの集計作業を自動化し、職員の業務負担を大幅に軽減させている。取り組みの詳細を、同市総務課の濱田氏に聞いた。

[魚津市] ■人口:3万9,597人(令和5年4月末現在) ■世帯数:1万6,957世帯(令和5年4月末現在) ■予算規模:334億7,062万1,000円(令和5年度当初) ■面積:200.61km² ■概要:富山県の東部に位置する。市域の約70%を標高200m以上の急勾配な山地が占める。北西には富山湾が広がり、「蜃気楼」「埋没林」「ほたるいか」が市の三大奇観として知られる。海底が急傾斜となり深層まで落ち込んでいるため、魚津の港は昔から良港として船の出入りが多い。海底の湧水に育まれ、魚の種類も量も豊富で、「魚津」の名のごとく県下屈指の漁場として知られている。
インタビュー
濱田 勇輝
魚津市
総務課 行政行革係 主任
濱田 勇輝はまだ ゆうき

適正収納の厳格化により、さらなる負担増大の懸念も

―郵便物の発送に伴い、どのような作業が発生していましたか。

 総務課の会計年度任用職員が毎日、郵便物を郵便局員に手渡すまでの集計を手作業で行っていました。具体的には、各課から随時集まってくる郵便物の重さを1通ずつ量り、その数と料金をまとめた「差出票」を作成していました。郵便物の数は多い日で1,000通近くにのぼるうえ、集計は郵便局員が集荷に来る午後3時頃までに必ず終える必要があるため、非常に心理的負担が大きな作業でした。また、今後はさらに、この集計にかかる職員の作業負担が増大していく懸念を感じていました。

―それはなぜでしょう。

 今後、郵便局による適正収納の厳格化がより一層進んでいくという話をしばしば耳にしていたからです。たとえば、当市も頻繁に活用する「郵便区内特別郵便物*」については、郵便物の数を1グラム単位で記載した差出票の添付が求められるケースが自治体で増えていると聞きました。日々、大量の郵便物を集計するなか、より仔細な作業が求められるようになれば、職員の作業負担が増大するのは必至だと考えたのです。そうしたなか、事務機器の導入で付き合いのあったデュプロ北陸販売社から「郵便料金計器」という機械の提案を受けました。

―郵便料金計器とはどのような機械なのですか。

 郵便局から承認を得た「印影」と料金を郵便物に印字する機械です。この機械に通した郵便物は差出票の添付が不要になるうえ、ピツニーボウズ製の機械の場合はさらに、郵便物の形状や重量を自動で計測できるとのことでした。この機械を使えば、集計作業にかかる職員の作業負担は確実に軽減できると期待し、令和4年10月に導入しました。

*郵便区内特別郵便物 : 郵便物の宛先や数、重量などの一定条件を満たした場合に料金が割り引かれる制度

「区内特別」を適用する際の、重量オーバーを簡単に防げる

―導入効果を聞かせてください。

 大量の郵便物の形状や重さを1通ずつ確認することなく高速に処理できるため、職員は心理的負担を大きく軽減できました。郵便区内特別郵便物を適用した郵便物の集計に当たっては、1通の重量が事前に設定した数値を超えると集計を自動停止する機能を活用しており、「重量オーバー」を簡単に防ぐことができています。

 ほかにも、設定した郵便料金と印影を無地のシールに印字し、切手代わりに使うといった活用も行っています。着払い郵便物の料金を支払う際などに便利で、煩雑な切手の管理が不要になるのです。郵便料金計器を導入したことで、郵便物を扱うさまざまな業務がまとめて効率化されたと実感しています。

支援企業の視点
郵便物発送業務の大部分は、機械に任せることができる
インタビュー
田口 繁
ピツニーボウズジャパン株式会社
Sending Technology ソリューションズ 営業本部 西日本営業部 課長
田口 繁たぐち しげる
昭和52年、大阪府生まれ。平成11年に大学を卒業後、平成17年にピツニーボウズジャパン株式会社に入社。大阪支店勤務を経て令和3年より名古屋支店勤務。おもに上場企業や官公庁に対する郵便発送ソリューションの提案を担う。

―郵便物の発送業務を自動化する自治体は増えていますか。

 ここ数年で急速に増えています。働き方改革やDXの機運が高まるなか、郵便物を1通ずつ計測する煩雑な集計や、単純ながらも多くの手間がかかる封入・封かんを、なんとか効率化したいと考えている自治体は大変多いです。実際、郵便物発送に関連する単純作業の大部分は、機械に任せられると言えます。

―具体的に聞かせてください。

 たとえば、当社の郵便料金計器の場合。集計を自動化して印影を印字するだけでなく、郵便物の数だけを数えたり、重さだけを量ったり、封筒ののりづけだけを行ったりと、日々のちょっとした作業も機械が高速かつ正確に行えます。いずれも本来、極めて単純な作業ですが、郵便物の数が大量になるほど、職員の労力や時間を多く奪う要因となるため、機械を活用して一気に省力化することをおすすめします。郵便局が土曜日の配達を廃止し、週末をはさむ配達の時間がかかるようになったいま、郵便料金計器を用いたスピーディな郵便物発送は、住民サービスの向上にもつながるでしょう。

―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。

 当社は東北から九州まで6ヵ所に拠点をもつほか、代理店との連携により全国で訪問保守を行える体制も構築しています。これに伴い、全国の自治体における郵便関連業務の専門知識やトレンドも蓄積しています。こうした知見を活かし、自治体職員が郵便物発送に伴う作業から解放され、コア業務に専念できるようにお手伝いしていきます。

ピツニーボウズジャパン株式会社
ピツニーボウズジャパン株式会社
設立

昭和56年1月

資本金

4億円

従業員数

132人(令和4年3月現在)

事業内容

郵便と小包の発送業務の効率化およびデジタル・トランザクションの分野における、製品・ソリューション、サービスの提供

URL

https://www.pitneybowes.com/jp/

お問い合わせ先
0120-00-9537(平日 9:00~17:00)
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