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先進事例2020.06.29

教室の空調時間をコントロールし、電力の集中利用を防ぐ【八女市、東京都の取組事例】

教室の空調時間をコントロールし、電力の集中利用を防ぐ【八女市、東京都の取組事例】

福岡県八女市 /東京都 の取り組み

教室の空調時間をコントロールし、電力の集中利用を防ぐ【八女市、東京都の取組事例】

八女市 教育委員会 教育部 学校教育課 施設係 柿添 宏暢
東京都 教育庁 都立学校教育部 施設調整担当課長 鈴木 友幸
[提供] 日立グローバルライフソリューションズ株式会社

近年の猛暑により、学校教室への空調設備の導入が話題になっている。しかし、コストなどの問題も影響し、導入に踏み切れない自治体も多い。そのような状況のなか、八女市(福岡県)は5年前に市内小中学校の全普通教室に空調設備の設置を終えた。同市施設担当の柿添氏に、導入のプロセスなどを聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.17(2019年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

福岡県八女市データ

人口: 6万3,659人(平成31年2月28日現在) 世帯数: 2万4,875世帯(平成31年2月28日現在) 予算規模: 555億9,006万6,000円(平成30年度当初) 面積: 482.44km² 概要: 福岡県の南西部に位置し、豊かな大地に育まれ、八女丘陵には岩戸山古墳をはじめ多くの古墳がある。また、手すき和紙、仏壇、提灯など伝統工芸品や茶、電照菊、シイタケなどの農産物もさかん。

東京都データ

人口: 1,385万8,725人(平成31年2月1日現在) 世帯数: 702万1,163世帯(平成31年2月1日現在) 予算規模: 14兆8,638億円(平成31年度当初) 面積: 2,193.96km² 概要: 慶長8年(1603年)に徳川家康がこの地に幕府を開いた江戸時代から日本の中心として発展し続け、全国でもっとも多い約1,300万人が暮らす世界有数の大都市にまで発展。政治、経済、文化などさまざまな分野において日本の中心であり、行政区域は特別区である23区と、26市5町8村から成り立つ。

―空調設備の設置状況について教えてください。

平成25年度に、市内すべての公立小・中学校で全普通教室への空調設備設置は完了しています。当初、平成25年から3年計画で設計と施工を検討していましたが、平成24年1月に国が出した臨時交付金を活用して、1年間で市内24校の空調設備の設置を終えました。学習環境改善のため、計画を前倒しできたことは喜ばしいことでしたが、一方で課題もありました。

―それはなんでしょう。

電気料金の問題です。空調設備の導入は交付金の活用でまかなうことができましたが、毎月のランニングコストは、市が負担していくことになります。近年の猛暑の影響もあり、ある程度電気使用量が増加することは想定していたので、対策を練る必要がありました。そんなときに、民間企業から提案を受けたのです。

―どのような提案でしたか。

毎月の電気料金を抑制する空調管理システムの導入提案です。電気料金高騰のおもな理由に、集中的な電力使用があります。このシステムを活用し、学校内の空調を一括管理することで、たとえば各教室の空調をフロアごとに時間差で起動させ、デマンド値(※)の上昇を抑えることができます。基本料金の算出基準となるデマンド値の一時的な上昇を抑えられれば、基本料金は下がっていきます。

※デマンド値:需要電力(30分間の平均使用電力)のこと。基本料金は1ヵ月の最大デマンド値と過去11ヵ月の最大デマンド値の大きい値をもとに算出される

―今後の方針を教えてください。

現在、同社の協力をえて、適宜デマンド値を確認しながら集中的な電気使用の抑制を図っています。近年の猛暑による使用時間の増加で電気料金が上昇することは仕方ありませんが、せっかく、子どもたちの学習環境を整備することができたのですから、われわれがしっかりとした対策を取り、最良の環境づくりにつなげていかなければなりません。

これからの空調設備

―空調設備の設置状況について教えてください。

当課は都立学校の施設整備を行っており、特別支援学校については平成30年度に、体育館を含め、児童、生徒が使用するすべての教室で空調設備の設置はほぼ完了しています。高等学校について、普通教室の設置は平成19年度に完了。平成31年度からは体育館への設置をめざし、準備をしているところです。

―体育館への設置を決めた理由はなんでしょう。 

昨今の猛暑により、体育館での授業や行事、部活動中に熱中症にかかる生徒が急増したからです。また、災害が発生した際の避難所利用も考慮しています。体育館への設置にあたり、今後は、施設の広さに適した空調設備のスペックと光熱費増加に対する検討が必要と考えています。スペックについて平成31年度は、異なる方式で整備を行い、光熱費については電気やガスの使用量がわかるメーターを設置し、検証を進める予定です。

―学校の環境整備に対して今後の方針を聞かせてください。

生徒たちの学びやすい環境を保ち続けていきます。都立高等学校と特別支援学校は250校ほどあります。これまで設置した空調設備は老朽化も進んでいるため、その更新も計画的に行っていく必要があります。今後も体育館の空調設備の設置を含め、施設設備において最適な環境を維持していくことが、私たちが果たしていく役目だと思っています。

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