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先進事例2025.07.22

SDGs 自治体事例|国籍に関わらず誰もが活躍できる環境づくり、自走・自律支援型、魅力向上型で進める多彩なまちづくり、大人からこどもへ受け継ぐパートナーシップのまちづくり

SDGs 自治体事例|国籍に関わらず誰もが活躍できる環境づくり、自走・自律支援型、魅力向上型で進める多彩なまちづくり、大人からこどもへ受け継ぐパートナーシップのまちづくり

伊勢崎市、川口市、草加市のSDGsの事業・取り組み

内閣府では、SDGsの理念に沿った取り組みを推進しようとする都市・地域の中から、特に、経済・社会・環境の三側面における新しい価値の創出を通して、持続可能な開発に取り組む地方自治体を「SDGs未来都市」として選定しています。

また、選定された都市のうち、特に先導的な事業を「自治体SDGsモデル事業」として支援し、成功事例の普及を促進しています。

ここでは、2024年度に「自治体SDGsモデル事業」、「広域連携SDGs未来都市」、「地方創生SDGs課題解決モデル都市」として選定された自治体の取り組みを紹介する冊子「2024年度自治体SDGsモデル事業/広域連携SDGs未来都市/地方創生SDGs課題解決モデル都市 事例集」(内閣府地方創生推進事務局)より抜粋してSDGs事業・取り組みの自治体事例を紹介します。

今回は群馬県 伊勢崎市、埼玉県 川口市、埼玉県 草加市のSDGs自治体事例です。

国籍に関わらず誰もが活躍できる環境づくり|群馬県 伊勢崎市

伊勢崎市は外国人人口が多く、市の人口の約6.8%にあたる約14,000人が外国人であり、現在も増加し続けています(令和5年4月)。一方で、日本語や日本の生活ルールを知らないことで地域のトラブルや離職の原因になる例があるため、伊勢崎市では外国人がそれらを学ぶ環境を整えています。

また、日本人も多国籍の文化を理解することで、お互いを認め合う多文化共生社会の実現を目指しています。

同市の一連の事業・取り組みはSDGs17のゴールのうち「質の高い教育をみんなに」(SDGs4)、「働きがいも経済成長も」(同8)、「人や国の不平等をなくそう」(同10)、「気候変動に具体的な対策を」(同13)に沿ったものです。

次に同市が課題解決のために推進している主なSDGs事業と取り組みを紹介します。

日本語教室の拡充事業~出張日本語教室の開催~

技能実習などの外国人に対する日本語教育は、外国人労働者を受け入れる企業が行っていく必要があるものの、教師の確保が難しいという課題があります。

そこで、伊勢崎市では日本語教室を拡充し、市と企業、個人事業主とが連携し、各企業等において出張日本語教室を新たに開催しています。

また、出張日本語教室では、日本語だけでなく生活のルールも教えていくことで、外国人労働者の生活の不安を取り除くことができています。

出張日本語教室のノウハウを活かし、将来的には各企業が外国人従業員に日本語や生活のルールを教えられるようになることを目指しています。

生活オリエンテーションの拡充事業~生活のルールに関する動画作成~

転入時は、日本のルールや地域のルールがあることを知らず、外国人が文化の違いをわからないまま母国のルールで過ごしてしまうことで、地域でのトラブルとなるケースがあります。

そこで、伊勢崎市では生活オリエンテーションの一環として、新たに生活のルールに関する動画を複数言語で作成しています。また、転入時の手続きとして、生活ガイドブック(5言語対応)の配布に加えて、手続きの待ち時間を利用して生活ルールの動画を視聴する形式での生活オリエンテーションを実施しています。本動画は、転入手続きの窓口のほか、外国人が集まるイベントなどで放映し、広く周知しています。

母国語で説明することで、理解を容易にし、転入時の不安解消につながっています。

そのほかの取り組み

・多文化共生イベント等の開催
国籍を問わずお互いの文化や食文化に触れることで、お互いに理解し共存する社会を目指し推進することを目的としたイベントや講座を開催しています。

・外国人向け就労セミナー等の開催
ハローワーク、商工会議所、農業協同組合等と連携を図り、新たに企業向けセミナー等を開催し就労の支援を行っています。

・災害時外国人支援ボランティアの充実
大規模災害が発生した際に外国人への相談・情報の提供・必要な支援について多言語でカバーできるよう、ボランティアの勧誘・研修の充実を図っています。

自走・自律支援型、魅力向上型で進める多彩なまちづくり|埼玉県 川口市

川口市では、市民、市内企業、国、県、各種団体等と連携し、「選ばれるまち川口」を実現するために、市の課題の解決に焦点を当てた「魅力向上型」、各ステークホルダーのポテンシャルを高めていく「自走・自律支援型」の施策を展開し、「オール川口」で取り組みを推進しています。

同市の一連の事業・取り組みはSDGs17のゴールのうち「質の高い教育をみんなに」(SDGs4)、「ジェンダー平等を実現しよう」(同5)、「働きがいも経済成長も」(同8)、「人や国の不平等をなくそう」(同10)、「つくる責任つかう責任」(同12)、「パートナーシップで目標を達成しよう」(同17)に沿ったものです。

次に川口市が推進している主なSDGs事業と取り組みを紹介します。

夜間中学での学び直しによる教育機会の提供

川口市では2019年4月に埼玉県内で草分けとなる公立夜間中学を開設。義務教育未修了者や、形式卒業者、本国で義務教育を修了していない外国籍の方など、年齢や国籍の異なる様々な生徒へ日本の中学校の学び直しの支援を行っています。

2024年度からは夜間中学専用校舎の使用を開始し、生徒が相互交流できる共有スペースの設置、多様な学級編成に対応できる可動間仕切りの採用、エレベーターや多目的トイレを設置したバリアフリー対応など、誰一人取り残さない学びの場の充実を図っています。

有志の地域住民による協議会との連携

川口市は、2011年から開始した地域貢献活動が評価され、2023年度には農山漁村の振興に尽力した団体に贈られる「豊かなむらづくり全国表彰事業」において、農林水産大臣賞を受賞した「新井宿駅と地域まちづくり協議会」を中心に、様々なステークホルダーと協働しながら、季節の野菜や野菜苗、花苗の直売や、収穫体験などの定期的なイベント開催を行い、地域の魅力を伝えています。

また、農業従事者の高齢化などで農地の減少が進み、資材置き場や駐車場等の緑を伴わない土地利用への転換が進んでいるという問題に対して、農地放棄をさせないための取り組み(6次産業化商品の開発、SNSでの情報発信、栽培の手間が少ない柑橘等の栽培促進)を行っています。

そのほかの取り組み

・女性の活躍や創業の支援
川口市で活躍・起業したい女性と市内の起業家を繋げる「AFEKT」を活用し、セミナー等の開催、交流の場の提供などを行っています。

・重層的支援体制整備事業にかかわる取り組み
利用者の属性を問わないサロンや、移動販売車を活用したオンライン健康相談など、社会的孤立の解消に向けた取り組みを推進しています。

・生物多様性の保全
夜のグリーンセンターやイイナパーク川口等において「夜のいきもの観察会」を開催するなど、親子で参加できる自然学習の機会を設けています。

大人からこどもへ受け継ぐパートナーシップのまちづくり|埼玉県 草加市

草加市は東京都への通勤者が多い住宅都市で、地域経済循環率が低いことや、身近な自然環境が減少していることを課題として考えています。そこで、こどもから大人まで多様な主体でまちづくりを行い、地域課題の解決を図る事業等を推進し、こどもにもまちづくりの場に関わることを促すことで、まちへの愛着心や地域への誇りを育むことに取り組んでいます。

同市の一連の事業・取り組みはSDGs17のゴールのうち「質の高い教育をみんなに」(SDGs4)、「働きがいも経済成長も」(同8)、「人や国の不平等をなくそう」(同10)、「陸の豊かさも守ろう」(同15)、「パートナーシップで目標を達成しよう」(同17)に沿ったものです。

次に草加市が推進している主なSDGs事業と取り組みを紹介します。

まちのヒーローアカデミー(アントレプレナーシップ教室)

草加市では、こどもたちが、まちの持続発展に取り組む「輝く大人」や地域と関わりながら、力強く未来を生き抜くための創造力を育む教室を開催しています。

この教室では、座学だけでなくフィールドワークや参加するこども同士の話し合う場を設け、「経済」・「社会」・「環境」の3つの側面を軸にまちの課題解決に向けたアイデアを発表し、実践します。このプロセスを経て自己肯定感や自己有用感を高め、地域が直面する課題の解決に失敗をおそれず取り組む「まちのヒーロー」へ成長することを目指します。

未来への森モデル事業

この事業は身近なみどりを次世代に継承する試みで、土地所有者と市民緑地契約を取り交わし、木道やベンチなどを整備し、自然環境について学ぶ場など、みどりを身近に感じることができる環境を創出しています。

地域に残る身近なみどりを市民共有の財産として、こどもたちをはじめとする、市民の自然環境学習の場とすることで、身近な場所で自然環境が有する多様な機能の学びの実現を目指します。

草加国際村一番地 国際交流フェスティバル

外国籍市民が増加傾向にある草加市では、国際理解の推進は市民同士のパートナーシップ構築のために重要だと考えています。

本取り組みは、草加市国際交流協会と市内に位置する獨協大学が共同で開催しており、平成16年から続いています。外国の料理や民芸品の販売、音楽やダンス等のプログラムによって日本国籍の市民と外国籍市民が触れ合う機会となっており、国際理解を深め、地域の中に国際的なパートナーシップを築く土台となっています。

そのほかの取り組み

・こどもまんなか そうか
すべてのこどもが、草加市の未来を創る大切な主人公という考えの下、地域全体が連携し、積極的にこどもの声に耳を傾け政策に反映させていく取り組み。

・福祉プラスのまちづくり
福祉制度の枠組みにとらわれず、まちづくりの視点を加味し、「だれもが幸せな」あしたの暮らしとフクシのカタチを目指す取り組み。

・そうか生きもの調査
市民が「生きもの調査員」となって、市内に生息・生育する動植物について、学びながら守る生物多様性保全の取り組み。

〈参照〉
内閣府 地方創生推進事務局「2024年度自治体SDGsモデル事業/広域連携SDGs未来都市/地方創生SDGs課題解決モデル都市 事例集」
https://www.chisou.go.jp/tiiki/kankyo/jirei/pdf/00_2024_all.pdf


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