防災・減災 自治体事例|防波堤等の整備で越波と漁船転覆被害を回避、土地区画整理事業で都市防災機能を向上、旧松尾銅山坑内水流出による水質汚染を恒久的に防止
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宮崎県、鹿児島市、岩手県の防災・減災自治体事例
近年、気候変動の影響により気象災害が激甚化・頻発化し、南海トラフ地震等の大規模地震は切迫しています。また、高度成長期以降に集中的に整備されたインフラは老朽化しており、適切な対応をしなければ負担の増大のみならず、社会経済システムが機能不全に陥るおそれがあります。
このような危機に打ち勝ち、国民の生命・財産を守り、社会の重要な機能を維持するため、防災・減災、国土強靭化の取組の加速化・深化を図る必要があります。
そこで、内閣官房 国土強靭化推進室が5か年加速化対策全123項目について、災害時に効果を発揮した事例等を幅広く調査し、関係府省庁より報告があったものを取りまとめた「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策による取組事例集」より、自治体が実施した事業を抜粋して紹介します。
今回は、宮崎県、鹿児島市、岩手県の防災・減災自治体事例です。
防波堤等の整備で越波と漁船転覆被害を回避|宮崎県
宮崎県は食料等の安定的供給の停滞に伴う国民生活・社会経済活動への甚大な影響を軽減・回避することを目的とした漁港施設の耐震・耐津波・対波浪化等の対策として、水産基盤整備事業を実施しました。
過去に越波・高波による漁船被害を受けた漁港(川南漁港)において、防波堤の新設や防波護岸の嵩上げ等の改良を実施したもので、漁港内及び漁港後背地の被害軽減に寄与することが期待されています。
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地域の概要・課題
川南漁港は、宮崎県の中央部に位置する日向灘に面した地域の拠点漁港であり、近年はまぐろ延縄漁業への転業が進み、漁船の大型化が進んでいる地域です。
当該漁港は、平成30年の台風24号の際に越波により多くの漁船が被害を受けました。また、南海トラフ地震の際には津波による被害を受けることが予測される地域であり、これら災害リスクへの対応力の強化が課題となっていました。
事業の概要
激甚化する台風・低気圧等による越波・高波から漁港内及び漁港後背地の被害を軽減するため、防波堤や防波護岸の天端高を5.5mから7.0mまで嵩上げする整備を実施しました。
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効果
防波堤や防波護岸の整備により、台風時の越波が軽減でき、港内への波浪侵入が抑えられます。
令和4年台風14号(最大瞬間風速36.8m/s)では、平成30年台風24号(同37.9m/s)と比較し、漁船避難係留時の港内の静穏性が向上し、漁船被害が大幅に軽減しました。
平成30年台風24号では漁船被害11隻(うち小型船8隻、中型船3隻)でしたが、令和4年台風14号では漁船被害は小型船2隻に減少しました。
土地区画整理事業で都市防災機能を向上|鹿児島市
鹿児島県 鹿児島市は、突発的または広域的な洪水に伴う長期的な市街地等の浸水による多数の死傷者の発生を防ぐため、災害に強い市街地形成に関する対策として「谷山第三地区土地区画整理事業」を実施しました。
緊急車両の侵入が困難な狭あい道路を改良して安全な市街地を形成したほか、宅地の嵩上げにより永田川の氾濫等による浸水被害軽減が見込まれています。
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地域の概要・課題
本地区は、鹿児島市の南部に位置し、地区の北東側には永田川が隣接しています。
地区内は基盤整備が進まないまま建物が密集し住宅地が形成された既成市街地で、近年では建物の老朽化も進んできており、防災上危険な状況となっていました。
加えて、地区内は永田川の堤防との高低差があり、水災害に対する安全性の向上が必要となっていました。
事業の概要
事業区域34.9haのうち、0.5haにおいて、老朽建物の建替を推進する街区の再編により密集市街地解消が完了しました。
また、宅地の嵩上げについては、31.8haのうち、10haにおいて移転が完了し、1.2haの嵩上げが完了しました。
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見込まれる効果
街区の再編、道路の幅員が4mに満たない狭あい道路や密集住宅の解消に併せて、宅地の嵩上げを行うことで、緊急車両が円滑に侵入できる安全な市街地を形成するとともに、永田川の堤防決壊による浸水の防止や永田川の氾濫等による浸水深さの軽減が見込まれます。
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事業後の街区配置
旧松尾銅山坑内水流出による水質汚染を恒久的に防止|岩手県
岩手県は、旧松尾銅山からの有害物質等の大規模拡散・流出を防止するため、休廃止鉱山鉱害等の工事に関する対策として、休廃止鉱山鉱害等工事費補助事業を実施しました。
老朽化した旧松尾銅山の坑道を整備、埋戻しを実施することで大規模地震等による坑道崩落・坑内水流出を阻止し、重金属漏出による水質汚染、農用地の汚染等による健康被害、漁業被害等を未然に防止することを図ります。
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地域の概要・課題
旧松尾銅山では、昭和45年に3坑道内に閉塞プラグを設置していましたが、設置後50年以上が経過し、坑道内の盤膨れによる断面形状の変化等の経年変化が進行し、坑道崩落による坑内水の流出防止のための安全対策が急務となっていました。
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事業の概要
坑道崩落による坑内水の流出を防止するため、旧松尾銅山の坑内埋戻しによる恒久的な安全対策工事を実施しています。
見込まれる効果
大規模地震等の発生時に、坑道が崩落し、350万立方メートルにおよぶ鉄分、硫黄、砒素を含んだ好酸性(pH1.5)の坑内水が流出することを防ぎ、生活・農業・工業用水等への汚染を防ぐことが可能になります。

廃墟マニアからも人気が高い松尾銅山跡地


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