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先進事例2026.07.15

防犯まちづくり 自治体事例|防犯と景観を両立した公園整備、防犯設計タウン認定制度、防犯まちづくり活動計画、低未利用地活用による見守り活動

防犯まちづくり 自治体事例|防犯と景観を両立した公園整備、防犯設計タウン認定制度、防犯まちづくり活動計画、低未利用地活用による見守り活動

福岡市、足立区、習志野市、柏市の防犯まちづくり 自治体事例

国土交通省では、警察庁、文部科学省、その他関係機関と連携し、防犯まちづくりの推進に取り組んでおり、公共施設、住宅(空き家対策含む)、防犯設備等の整備やスクールバスやドライブレコーダー等の交通施策における見守り環境の確保、さらには、相談窓口の設置などの対策等を通じて、総合的に防犯まちづくりを展開してきました。

一方、近年の登下校中の子どもを対象とした犯罪発生や、通学路沿道の土地利用の変化、地域社会における少子高齢化および共働き世帯の増加等による子どもの見守り体制の変化等、社会環境に対応した防犯まちづくりの取組展開が必要とされています。

そこで「防犯まちづくり取組事例集」(令和2年)より、防犯まちづくりの自治体事例の概要を抜粋して紹介します。

今回は、福岡市(多くの関係機関による協議・合意形成で防犯と景観を両立した公園整備)、足立区(防犯設計タウン認定制度に適合した宅地開発事業)、習志野市(「防犯まちづくり活動計画」に基づき開発の各段階に応じた防犯活動)、柏市(民地などの低未利用地の活用による見守り活動)の防犯まちづくりの自治体事例です。

多くの関係機関による協議・合意形成で防犯と景観を両立した公園整備|福岡市

福岡県 福岡市の警固公園では、治安対策に関わる警察、市、地区住民、防犯ボランティア(ガーディアンエンジェルス)のほか、当時「福岡県警察犯罪予防研究アドバイザー」として携わっていた柴田久教授を中心とした福岡大学等が、公園再整備の方針について協議し、公園内の見通しと動線を確保する防犯効果の向上と、周囲に広がる街の景観とにぎわいを警固公園の魅力として取り込むことの両立を実現しています。

警固公園はかつて園内の死角の多さから、若い女性を狙った性犯罪や夜間の騒音被害等が相次ぎ、犯罪の防止と迷惑行為の抑制が急務の課題となっていました。

取り組み内容

防犯と景観を両立したデザイン

公園内の見通しの確保と、利用者の動線の確保を両立させたデザインとしました。

整備前後の警固公園

検討会議の実施

公園が再整備される過程においては、関係者間による多くの検討会議や協議を実施。警固公園対策会議においては福岡県警察生活安全部、福岡市役所公園緑地部(現花とみどりのまち推進部)、中央区役所地域整備部、天神・大名地区住民、防犯ボランティア(ガーディアンエンジェルス福岡支部)代表、福岡大学景観まちづくり研究室他が一堂に会し、警固公園の治安対策に関わる現状の報告や再整備の方針について協議・合意形成を図りました。

公園デザインに向けた実態調査

公園のデザインを検討するために、ヒアリング及び昼間・夜間時の動線、利用実態調査を実施。ヒアリングでは、防犯活動に従事する方、及び公園利用者の約200名を対象とし現状の把握、及び整備計画に対する要望を抽出しました。

利用実態調査では、深夜における動線や滞留場所のプロット図の作成等を行い、公園利用に対する動向や問題点等の把握をしました。

防犯設計タウン認定制度に適合した宅地開発事業|足立区

東京都 足立区の防犯設計タウン第1号に認定されたパレットコート六町は、住戸の見通しの確保や「灯かりのいえなみ協定」に基づく夜間点灯が行われ、道路では緩やかなカーブやクルドサックによる住宅地の領域性の確保、公園は街の中心に配置することにより、周辺の住宅からの見通しの確保等を実現しています。

クルドサックとは、住宅地の行き止まり道路の先端をロータリー状に広げ、車がスムーズに方向転換してUターンできる構造を指します。住宅地内に住民以外の車が通り抜けるのを防ぐ目的があり、通過交通の減少による安全性向上や静かな住環境の維持に役立つほか、この道路に面した区画は、部外者の侵入が少なく子どもも安心して遊べることから、欧米の郊外住宅地で広く採用されています。

取り組み内容

防犯設計タウン認定制度

防犯設計タウンの認定審査は計画段階の書類審査と竣工後審査の2段階で、都市建設部長を会長とする認定委員会で行われます。書類や図面などの審査に合格した段階で「認定取得予定」であることを広告に記載するなど、販促に使うことができるほか、竣工後、計画通り整備されていることが確認されると区長から認定書が交付され、事業者及び居住者は防犯設計タウン認定制度に適合した宅地開発事業である旨の表記及び認定マークを使用することができます。

複数の建物を含む宅地開発事業の防犯性を認定する制度は国内にほとんどなく、先進的な制度と言えます。

また、足立区防犯設計タウン認定制度に指定された箇所のソフト活動については、足立区から助成金の案内が行われます。

足立区は平成18年から4年連続して刑法犯認知件数が都内自治体でワーストを記録。そこで平成23年4月、防犯環境設計の考え方や場所別の配慮事項などを記載した「足立区防犯設計ガイドライン」を策定し、このガイドラインを踏まえた事業者側へのインセンティブとして、一定の防犯性を有すると認められる宅地開発事業について、認定委員会での審査を経て「防犯設計タウン」として認定されます。

防犯設計タウン認定の流れ

パレットコート六町東京ココロシティ

防犯設計タウンの認定第1号である「パレットコート六町東京ココロシティ」は、事業所跡地に開発された214戸の戸建て住宅地(約3ha)で、各住戸においては低いフェンスや生垣による見通しの確保、CP部品(警察庁などで構成される「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」によって防犯性能が高いと認定された建物部品のこと)の一部使用、撮影機能付きインターホンや警備システムの採用といった対策が行われています。

各戸のLED外灯については、「灯かりのいえなみ協定」に基づき全世帯が夜間点灯を行っているほか、通りは緩やかにカーブを描き、またクルドサックを設けることで住宅地の領域性を高めているほか、公園は街の中心に配置して見通しを確保することで、周囲の住宅から見守られるように配慮しています。

パレットコート六町における「灯りのいえなみ協定」によるLED外灯の全戸点灯(左)と自然監視性の高い公園

「防犯まちづくり活動計画」に基づき開発の各段階に応じた防犯活動|習志野市

千葉県習志野市の宅地開発事業「奏の杜」では、街づくり検討部会に市や警察も参加し「防犯まちづくり活動計画」を策定。この計画に基づき、工事期間中、住民の入居時、エリアマネジメント実施等の各段階に応じて、通学路の安全点検、遊休地の適切な維持管理、防犯パトロール、一戸一灯運動等の防犯活動を実施しています。

JR津田沼駅南口から約300m~1kmの範囲の地区にある習志野市の奏の杜地区は、都心まで鉄道で約30分という交通利便性の高さから駅北口には商業施設が集積し繁華街が形成される一方で、この地区は駅前にも関わらず大半が人参畑として残されていたため、防犯がまちづくりの重要なテーマに挙がり、3つの柱から成る防犯まちづくりが進められることとなりました。

取り組み内容

犯罪や事故の起こりづらい基盤の整備

・歩行者専用道路の配置:津田沼駅側から地区公園までをつなぐ全長160m、幅員16mの歩行者専用道路を配置。計画地の中央に位置するため、周囲の住宅と互いに見守りあう関係を構築し、「まちの顔」としてイベントなどに活用されることでコミュニティの醸成に寄与しています。

・景観と両立する照明計画:道路上には、十分な街路灯・防犯灯を設置して夜間の視認性を確保しています。

・イメージハンプ(視覚効果によって立体的な障害物に見せかける立体路面標示)、防犯カメラの設置:住宅地の領域性を高めるため、幹線道路と区画道路の交差点にはイメージハンプと防犯カメラを設置しました。防犯カメラについては、住民同士が顔見知りの関係を築き、地域の防犯性が高まるまでの補完措置としました。

住宅地の領域性を高めるイメージハンプの事例

「防犯環境設計マニュアル」の作成

建築物を計画する際に、防犯の観点から配慮すべき事項を示す「防犯環境設計マニュアル」を作成しました。

マニュアルの内容は「いえのためにできること」と「まちのためにできること」に分かれ、前者の例には開口部におけるCP部品の使用が挙げられ、後者は公共空間を見守ることができるような窓の配置、外構の見通し確保、夜間の街路を明るくするための門灯や玄関灯の設置、環境緑地の適切な維持管理など、建築物を建てる際に地域の防犯性向上にも寄与できるよう配慮を促す内容となっており、各事項について期待される防犯効果を記すとともに、図や写真を用いることで分かりやすさに配慮しています。

なお、マニュアルに示した事項の一部は重点事項として法定の地区計画で義務化したり、建築確認申請前に土地区画整理法第76条に基づき組合が意見できるようにしました。

図や写真を使ってポイントをわかりやすくまとめた「防犯環境設計マニュアル」

「防犯まちづくり活動計画」の作成

街づくり検討部会の下に市や警察も参加する「防犯まちづくり推進部会」を設置して「防犯まちづくり活動計画」を策定。計画に掲載した活動は、活動開始時期によって、①住民の入居やエリアマネジメント組織の設立に合わせて活動を開始するもの、②当面は取り組み方針のみ示し、新住民の入居が進んだ段階で活動内容を具体化するもの―に区分されています。活動内容には、犬の散歩や買い物をしながら地域を見守る「ながら防犯パトロール」の推進、住宅や店舗の灯りの夜間点灯を推進する「一戸一灯運動」が挙げられています。

また、遊休地の適切な維持管理や、工事期間中の通学路の安全点検なども明記。その後、新住民も含む約30名のワークショップで計画内の活動を具体化し、平成24年春には約50世帯を中心に「見守りガーデニング大作戦」が実践されました。

民地などの低未利用地の活用による見守り活動|柏市

千葉県 柏市では「カシニワ制度」のもとで、未利用地の所有者と屋外活動をしたい市民等を行政が仲介し、コミュニティガーデンや子どもの遊び場等の「地域の庭」を創出し、「地域の庭」が整備された地域では、荒廃し、住民に不安を与えていた土地が蘇り、活動の過程を通じた自然な見守りが生まれています。

柏市では既成市街地内において存在する未利用地を暫定的に様々な利用ができるコミュニティガーデンとして活用していくための手法として、平成22年から「カシニワ制度」の運用を開始しています。導入時は都市公園を含む緑のオープンスペースの一定割合を確保する手段として掲げられた施策でしたが、現在は立地適正化計画を推進する施策のひとつとしても本制度を活用しています。

取り組み内容

市が情報を集約し橋渡しを行う「カシニワ情報バンク」

土地・市民団体等・支援情報を登録したい方が申請し、市による審査の後、登録内容の一部をホームページで公開。土地所有者と活動団体等とのマッチングが図れ、交渉が成立すれば協定等の所定の手続きを行い、使用期間等の土地の利用に係る取り決めを定めます。

空いている土地を対象に、使いたい方の責任のもと自由な取り組みを行える場として、公園に代わる新しい共用空間を作ることをねらいのひとつとしています。

一般公開可能な個人の庭・地域の庭を市に登録する「カシニワ公開」

個人の庭、樹林地や空き地を、オープンガーデンや誰でも利用できる地域の庭として、一般公開できるよう市に登録。市内のカシニワを一斉に公開する「カシニワフェスタ」も毎年開催されており、地域の庭の見学や利用を通じ、市民等の人々が楽しみながら交流を深める機会を創出し、地域の魅力向上に寄与することを目的としています。

カシニワ制度によるねらい

人口減少や少子高齢化等、社会構造の変化に伴い発生する適切に管理されない樹林地や空き地などの未利用地を活用することにより「都市のスポンジ化」を抑制し、持続可能なまちづくりを推進することを目的としています。

カシニワによる効果のイメージ

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