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先進事例2026.07.13

主権者教育 自治体事例|市立中学校との協働事業「議会を知り・未来を語る」、請願書の作成を念頭にした高校等への出前講座

主権者教育 自治体事例|市立中学校との協働事業「議会を知り・未来を語る」、請願書の作成を念頭にした高校等への出前講座

取手市議会、沖縄県議会の主権者教育 自治体事例 

主権者教育は、国や社会の問題を自分の問題として捉え、自ら考え、自ら判断し、行動していく主権者を育成していくものとして、子どもたちが地域の課題について議論する中で民主主義や地方自治について学ぶ機会にもなっています。

こうした中、議会や議員の重要性が改めて認識されるよう令和5年4月に地方自治法が改正され、地方議会の役割及び議員の職務等が明確化されました。

この改正を踏まえ、全国都道府県議会議長会・全国市議会議長会・全国町村議会議長会では、議会への関心・理解を高め、多様な人材の参画を促すために、主権者教育を国民運動として進めており、そのひとつとして、議会が主体的に行う主権者教育の取り組みをまとめた事例集「地方議会が進める主権者教育事例集」を発行しています。

ここでは主権者教育の自治体事例を同事例集より抜粋して紹介します。今回は、取手市議会、沖縄県議会の主権者教育自治体事例です。

市立中学校との協働事業「議会を知り・未来を語る」|取手市議会

茨城県 取手市議会は、前半は議員が学校へ出向く「出前授業」(各クラスでグループごとに市への提言を発表し、クラス代表の提言を投票で決定する)、後半はクラス代表が議場にて「中学生議会」を実施する市立中学校との協働事業「議会を知り・未来を語る」を実施しています。

中学生議会では、議場の様子はYouTubeで配信し、教室からオンラインによる電子採決を行うなど、教室の生徒も参加できるよう工夫しています。

平成27年6月の公職選挙法の改正により、選挙権が18歳に引き下げられたことを契機に、市議会として若い世代への取り組みが必要であるとの観点から、平成28年度に議長名で、中学校長宛に依頼文を発出。自分の住むまちや議会への関心を高めること、若い世代からの柔軟な発想を市政や市議会の改革につなげる広聴機能の充実、議会を身近に感じてもらうことで将来的な投票率の向上につなげることを目的として開始しました。

開催内容(令和4年度市立藤代南中学校の例、抜粋)

前半「出前授業」
テーマ:住みよい取手市をつくるための提言
日程:議会クイズ、グループ(1グループ約4名の生徒)ごとに提言のまとめ、グループごとに発表、投票によりクラス代表の決定(実際の投票箱で実施)
後半「中学生議会」
出前授業でのテーマに基づき各クラスから選ばれた5つの提言を議案に見立て本会議場で審議
日程:各クラス代表者による発表、質疑・討論、採決(実際の採決システム使用)、可決議案を議長に提出、議長からの講評

取手市議会が実施した「中学生議会」の模様

工夫点・留意点

意向の反映
学校としての計画や希望、ねらいをできるだけ反映しています(例:時間数が多く取れない場合は出前授業のみ)。

出前授業でのアイスブレイク
「なぜ市議になったのか」「市議になってよかったこと」などの自己紹介、議会クイズを冒頭20分ほど実施しています。

個別打診
校長会等の周知にプラスして、個別打診をしています。
生徒の自由な発想を尊重
若い世代からの柔軟な発想による市への提言が目的のひとつのため、生徒の説明内容の事前確認等はせずに実施しています。

既存システムのフル活用
中学生に議会を体験してもらうため、各フェーズで実際に使用している機材を使用しています。「出前授業」で選管から借用した投票箱の使用や「中学生議会」をオンライン配信して、教室の生徒も実際の電子採決システムで採決に参加するなど、生徒全員が参加者となれるようにしています。

可決した提言(議案)の所管事務調査
「中学生議会」で可決した提言(議案)は、所管常任委員会で所管事務調査を実施しています。

取り組みの効果

開催前後にアンケートを実施していますが、開催前は市議会・議員のイメージについて、「遠い存在」「わからない」「興味がない」といった回答だったものが、開催後には「身近な存在」「興味がわいた」など前向きな内容へ変化しています。

また、アンケートの自由記述欄には、「市の課題に気づいた」「投票の仕方が本当の選挙のようで楽しかった」等の意見があり、将来的な市政・市議会への関心や投票への興味につながっています。

請願書の作成を念頭にした高校等への出前講座|沖縄県議会

沖縄県議会は、生徒に議会及び議員への親近感と政治参加意識の醸成を図ることを目的とした沖縄県議会高校等出前講座を実施しています。

実施する内容は学校の希望をもとに決定(グループ形式、講義形式どちらでも実施可能)し、参加議員数も学校の希望に応じて決定しているほか、議会が自前で作成した教材を、事前に学校に送付しています。

平成29年7月、議会改革推進会議の協議事項「県民参加の議会運営」の取り組みとして、県外の事例を参考に協議した結果、出前講座の実施を検討することとなりました。

開催内容(令和6年度県立八重山農林高等学校の例、抜粋)

6グループに分かれて実施し、各グループに議員を1人配置。休憩時に議員は別のグループに移動し、以下の意見交換を2回実施

  • 議員に聞いてみよう!(議員による議会や議員の仕事紹介、質疑応答。2回実施)
  • みんなで考えよう!(沖縄県や地域の課題等生徒が設定したテーマについて議員との意見交換。2回実施)

沖縄県議会が実施している高校等出前講座の様子

工夫点・留意点

生徒が主体的に参加できるよう工夫
意見交換のテーマは生徒自らが設定、生徒が発言しやすいよう生徒と議員の距離感にも配慮して会場を設営しています。

生徒に配付する教材(冊子)を議会が自前で作成
教材の基本的な内容は、沖縄県議会の紹介、沖縄県議会議員の紹介、質疑応答用ページ、意見交換用のページ、請願(陳情)書の作成・提出方法、県議会への参加方法等で、実施校の意向に基づき適宜アレンジを加えています。
また、出前講座終了後も使える知識を生徒に身につけてもらえるよう、議員は県議会へ意見や要望を伝える手段のひとつである請願(陳情)書の作成を念頭に生徒と意見交換します。
出前講座当日は、生徒と議員の意見交換等を優先するため、請願(陳情)書の作成ルールや提出後の流れは事後学習として位置づけています。

アンケートの実施
開催前・開催後に生徒へのアンケートを実施し、取組内容の評価や改善に活用しています。
アンケートは教材に添付の2次元コードから回答できるようにしています。

取り組みの効果

アンケート結果によると、開催後には開催前より議会や議員を身近に感じる生徒が多くなっています。

担当教員からも「生徒が議員と直接意見交換できる貴重な場であった」と評価されています。
また、参加議員からも「また参加したい」など前向きな意見が多くあります。

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