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先進事例2026.02.19

主権者教育 自治体事例|議会についての事前学習で効果を高める、ウェブアンケートを活用した意見交換会、議員による高校生への「出前講座」

主権者教育 自治体事例|議会についての事前学習で効果を高める、ウェブアンケートを活用した意見交換会、議員による高校生への「出前講座」

栃木県議会、熊本市議会、富山県議会の主権者教育 自治体事例

主権者教育は、国や社会の問題を自分の問題として捉え、自ら考え、自ら判断し、行動していく主権者を育成していくものとして、子どもたちが地域の課題について議論する中で民主主義や地方自治について学ぶ機会にもなっています。
こうした中、議会や議員の重要性が改めて認識されるよう令和5年4月に地方自治法が改正され、地方議会の役割及び議員の職務等が明確化されました。

この改正を踏まえ、全国都道府県議会議長会・全国市議会議長会・全国町村議会議長会では、議会への関心・理解を高め、多様な人材の参画を促すために、主権者教育を国民運動として進めており、そのひとつとして、議会が主体的に行う主権者教育の取り組みをまとめた事例集「地方議会が進める主権者教育事例集」を発行しています。

ここでは主権者教育の自治体事例を同事例集より抜粋して紹介します。今回は、栃木県議会、熊本市議会、富山県議会の主権者教育自治体事例です。

議会についての事前学習で効果を高める|栃木県議会

栃木県議会は、栃木県誕生150年を迎え「新しいとちぎ」づくりが目指される中、議会に対する関心を高め、理解を深めてもらうための主権者教育の一環となるよう令和5年10月から「~とちぎの未来を考える~栃木県議会 県政ミーティング」を実施しています。

これは、県立高校及び町立中学校(各1校)に各6名(正副議長及び異なる会派の議員4名)が訪問し、生徒の学年や学習状況に合わせ、分かりやすい説明となるよう工夫した出前講座です。

同県政ミーティングでは生徒、議員がタブレット端末を使用し、ペーパーレスで実施するほか、当日のミーティングをより効果の高いものとするため、学校に議会についての事前学習をお願いするなどの工夫をしています。

令和5年11月に開催された県政ミーティング(壬生町立壬生中学校)では、①県議会の役割・取り組みの紹介、②質疑応答、③テーマ別意見交換(テーマ1:とちぎの未来のためにできること、テーマ2:議会や政治への関心を高めるためには)などが実施されました。

栃木県議会が実施した「~とちぎの未来を考える~栃木県議会 県政ミーティング」の模様

工夫点・留意点

事前学習
学校において議会についての事前学習を実施。当日のミーティングをより効果の高いものとするため、学校において議会についての事前学習を実施しました。

政治的中立性の確保
出席議員は、議会を代表して出席するものとして、議会への信頼確保や特定の政党色から離れて主権者教育に資することなどについて認識を共有しました。

生徒の学年や学習状況に合わせ、分かりやすい説明となるよう工夫
議長から、子ども向けリーフレットをベースに、県議会の役割などを分かりやすく説明しました。

開催後アンケートの実施
開催後、生徒へのアンケートを実施し、取り組み内容の評価の判断に活用しました。

取り組みの効果

終了後の生徒のアンケートでは、開催によって県議会及び県議会議員について、身近に感じることができるようになったとの回答が多くを占めました。
また、参加議員からは、開催に意義を感じたとする意見がありました。

ウェブアンケートを活用した意見交換会|熊本市議会

熊本県 熊本市議会は、議会広報の取り組みを検討する議会広報委員会において、さらなる議会広報活動の充実について検討を行う中で、市民に対し市議会の理解促進等を図ることを目的に、令和3年度に「高校生と市議会との意見交換会」の実施を決定しました。

議長と議会広報委員会委員が市内の高校や大学に出向き、意見交換を実施しており、事前にウェブで学校に実施した議会や議員に関するアンケートの回答を基に、生徒の代表と意見交換を行っています。

事前アンケートの内容

意見交換を行う前に、学校の生徒に対し、熊本市議会に関するアンケートをウェブ(Google Forms)にて実施しています。

アンケートの主な項目
①熊本市議会議員について(仕事・印象・なりたいか・定数・任期)
②選挙について(選出方法・18歳選挙権・投票)
③熊本市議会について(役割・定例会回数・傍聴希望・傍聴方法・議会だより・SNS認知度)
④政治について(興味・身近かどうか・家族等との会話・住み続けたいまち「熊本市」にするために必要なこと)

熊本市議会が実施した「高校生と市議会との意見交換会」の模様

工夫点・留意点

意見交換の運営
高校と開催する場合は、選挙権を得る1年前の2年生と行いたいと依頼しています。
また、議員や学生を少人数(議員2~3名・生徒4~5名)のグループに分け、配席をロの字にした上で、最初にアイスブレイクを行うなど、生徒が話しやすい工夫をしているほか、議会として回答が困難な意見は、執行部の所管課につなぐなど、議員への通常の陳情と同じ取り扱いとしています。

アンケート項目の選定
アンケートの項目は、議会や議員を広く知ってもらう項目、また恐らく結果がよくないと予想される項目をあえて選定しています。
また、意見交換実施後に参加生徒にアンケートをして、意見交換前と後の認識等について確認しています。

取り組みの効果

事前アンケートと意見交換に参加した生徒への事後アンケートでは、議会への認識に前向きな変化がみられるため、一定の成果と捉えています。
今後は県立や私立の高校とも意見交換を実施していくために関係団体にアプローチしていくほか、若者の政治離れ等が指摘される中、議会や議員及び政治等への興味・関心を向上させるため、引き続き若い世代との意見交換会を軸に、令和5年度から開始した高校生議会等さまざまな取り組みを積極的に進めていくことにしています。

議員による高校生への「出前講座」|富山県議会

富山県議会は、議会活動の広報について検討する「広報編集委員会」が、高校生への主権者教育を推進するための活動のひとつとして出前講座を開始しています。
県立高校に広報編集委員長をはじめ各会派の議員が訪問、各クラス数名の議員が担任の先生と協力しながらタブレットなどを活用し、生徒との活発な意見交換を行います。

また、参加議員も事前の打ち合わせや事後の振り返りなど、丁寧な準備、検証を実施しています。

令和5年12月に開催した出前講座(県立南砺福野高等学校)では、①第1部:役所や税金について理解を深める(「役所のする仕事」「税金の種類」について班ごとに発表、全校生徒から730万円を集めたことを想定し、学校をより良くするための使い道について議員と話し合う)、②第2部:集めたお金の使い方の議論(県民から100億円を集めたことを想定し、自分の住んでいる地域を良くするための使い方を班ごとに発表し、クラス案を決める。議員はクラス案を決める意思決定の方法の議論に重点を置いて説明)、③県議会だより「TOYAMAジャーナル」を活用した議員との意見交換、などが実施されました。

富山県議会の出前講座の模様

工夫点・留意点

学校に議会についての事前学習をお願い
当日の出前講座をより効果の高いものとするため、学校には「税金の種類」や「100億円の使い方」について生徒に事前学習をお願いしています。

参加議員の多様性の確保
広報編集委員から幅広く議員に依頼し、特定の会派に偏らないよう超党派の派遣となるようにしています。

現地で丁寧な振り返りを実施
出前講座実施後、参加議員や教員で意見交換を実施しています。

開催後アンケートの実施
出前講座を開催する前後に生徒へアンケートを実施し、生徒の意識の変化を調査しています。

実施結果等の広報
県公式YouTubeを活用し、出前講座の内容を公開しています。

富山県議会だより「TOYAMAジャーナルVol.4(令和6年度)」の表紙

取り組みの効果

出前講座の前後で、参加生徒の政治や社会問題への関心や投票行動の意識に変化がみられることから、主権者意識の向上に一定の効果がみられました。
参加議員からも生徒との意見交換を通じて、政治をどのように考えているか理解できたとの意見もありました。

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