【情報公開・開示請求】AI活用で情報公開事務を効率化し、公正で「開かれた行政」を実現する
(NSDDDクラウド for Government(情報公開事務支援) / 日鉄ソリューションズ)


※下記は自治体通信 Vol.73(2026年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
総務省によると、国の行政機関に対する情報公開請求は、平成21年度以降、右肩上がりで増加している。背景には、行政の透明性向上に対する市民意識の高まりがあるとされ、自治体においてもほぼ同様の増加傾向がみられる。その結果、迅速な対応が求められることもあり、「情報公開事務」の効率化が必要である。そうしたなか、横浜市(神奈川県)ではこのほど、この情報公開事務の一部にAIを活用する実証実験を行った。具体的な内容とその成果について、同市担当者に話を聞いた。

市民の利便性向上では進展も、進まない事務の効率化
―情報公開事務をめぐる実証実験に参加した経緯を教えてください。
当市では、いわゆる情報公開制度について、市民のみなさんに対し、市政に関して説明する責任を全うするという観点から、運用を行っています。一方で、毎年4,000件前後の請求件数に対応する必要があり、市民の利便性向上と職員の業務効率化をともに促進しなければならないとの課題を感じていました。
一番重要な市民の利便性向上については、当市が開発中の「情報公開システム」により、近い将来、行政文書の公開や開示文書の閲覧・交付をオンライン上で行えるようになるため、一定の進展が見込めます。しかし、次に考えるべき職員の事務効率化についてはめどが立っていませんでした。
―それはなぜでしょう。
特に事務量が多いのが、条例や過去範例などに基づき個人情報など文書中の不開示箇所を抽出し、黒塗りする作業ですが、開示・不開示の判断は専門的な知識を必要とするため効率化が難しかったのです。この判断にAIを活用するお話を複数の事業者から受けましたが、そのなかで、個人情報のみならず、判断が難しい法人情報や行政運営情報*まで判断できるAIの提案を行ったのが日鉄ソリューションズ社でした。黒塗り判断の効率化が期待できると考え、同社と実証実験を行うことにしたのです。
―実験の内容を教えてください。
情報公開の制度を運用する経験のある私と同社の研究員が中心となって令和6年12月から、ダミーデータを用意し実証実験を行いました。当初は、AIが文書中の不開示とする部分について抽出する精度を検証しました。しかし、不開示部分は、職員でも迷う複雑なケースも少なくないため、判断を支援する仕組みも必要だと考えました。そこで、「横浜市情報公開・個人情報保護審査会」が公表している数千件の答申を読み込み、判断が難しい箇所について判断の根拠となる過去の答申を示してくれる「答申検索AI」によって、「黒塗りAI」を補完するという発想に至りました。
*行政運営情報:開示することで行政機関などの事務または事業の適正な遂行に支障をおよぼす情報
2種類のAIに大きな手応え、市民サービスも質的向上へ
―成果はいかがでしたか。
2種類のAIを実験することで、作業の効率化に向けて大きな手応えをつかむことができました。定型的な不開示情報が多い文書には、黒塗りAIが事務効率化に有効で、一部の法人情報や行政運営情報などが複雑な状態で含まれるような文書には、答申検索AIを組み合わせることで、判断の正確性・迅速性の支援効率を高めることができます。情報公開はどの部署も対象になりえますので、この作業を効率化する意味はとても大きく、AIの実用化に対する庁内の期待値はとても高いと感じました。AI活用による情報公開事務の効率化は、対応の正確性・迅速性を高め、職員の時間を開示請求以外の業務に充てることで市民サービスの質的向上にもつながります。今後、近い将来に実用化されることを大いに期待しています。


―情報公開事務をめぐる自治体の課題はなんでしょう。
情報開示請求が増加傾向にあるなかで、事務作業の負担が高まり、従来のアナログな手法のままでは住民ニーズへ迅速に対応できないケースが増えていることです。こうした課題を解決するために、当社では、自治体向けクラウドサービス『NSDDD(エヌエスディースリー)クラウド for Government』において情報公開事務ソリューションを開発中で、情報公開制度の効率的運用を提案していきます。
―どのようなシステムですか。
行政文書や行政文書目録の「公開」、公開請求を受けた文書における「開示・不開示箇所の判断」、開示文書の「閲覧・交付」という情報公開事務における3つのプロセスを支援するクラウドシステムです。「開示・不開示の判断」については、高度に専用化されたAIで支援し、実際の黒塗り作業まで手がけます。また、「閲覧・交付」プロセスでは、本人確認や決済といった機能も搭載することで、情報公開事務をシステム上で完結できるので、現在多くの自治体が掲げる「行かない窓口」の実現に寄与します。
―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。
導入に際しては、AIのチューニングを考えており、条例やガイドラインといった各自治体の運用方針に合わせて、システムを最適化する提案を行っていきます。これまで高い経験値が求められ、属人化しがちだった作業をノウハウに依存しない運用に変え、生み出した時間をぜひ住民サービスの向上に使っていただきたいと考えています。

| 設立 | 昭和55年10月 |
|---|---|
| 資本金 | 129億5,276万3,000円 |
| 売上高 | 約3,383億円(連結:令和7年3月期) |
| 従業員数 | 8,647人(連結:令和7年3月期) |
| 事業内容 | 情報システムに関する企画・設計・開発・構築・運用・保守および管理など |
| URL |



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