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鳥取県米子市の取り組み
先進事例2024.07.29
人事評価システムの導入①

システムによる人事評価の効率化で、人材育成が機能する組織をつくる

[提供] ICTコンストラクション株式会社
システムによる人事評価の効率化で、人材育成が機能する組織をつくる
この記事の配信元
ICTコンストラクション株式会社
ICTコンストラクション株式会社

※下記は自治体通信 Vol.59(2024年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

住民ニーズが多様化、複雑化するなか、限られた職員で行政運営を維持・発展させていくために、職員の人材育成を重視する自治体が増えている。米子市(鳥取県)もそうした自治体の1つである。同市では、人材育成の基礎となる人事評価制度を見直すと同時に、専用システムを導入し、適切な人材育成につなげるための公正かつ効率的な制度運用に力を入れているという。取り組みの詳細を、同市担当者2人に聞いた。

[米子市] ■人口:14万4,352人(令和6年5月31日現在) ■世帯数:6万8,841世帯(令和6年5月31日現在) ■予算規模:1,140億8,835万円(令和6年度当初)■面積:132.42km² ■概要:鳥取県の西部、山陰のほぼ中央に位置し、南東に中国地方最高峰の大山、北に日本海、西にコハクチョウ渡来南限地でラムサール条約登録の中海を有する。道路、鉄道、空港などの利便性も高く、古くから地域の交通結節点・宿泊拠点、人の行き来が盛んな「山陰の商都」として栄えてきた。
インタビュー
前田 涼
米子市
職員課 主任
前田 涼まえた りょう
インタビュー
大丸 梓
米子市
経済部 経済戦略課 産業・雇用戦略室 係長(前 職員課)
大丸 梓だいまる あずさ

集計作業に追われるあまり、評価を育成につなげられない

―これまで米子市では、どのような人事評価を行ってきましたか。

大丸 当市では、職員人材育成基本方針に基づき、全職員を対象に能力評価と業績評価から成る人事評価を行ってきました。そこでは表計算ソフトを使い、一部は紙ベースで運用していたため、内容の不備を1枚1枚目視で確認し、再度データとして打ち直す必要もありました。約800人の正規職員に対し、1人あたり2枚のファイルを運用する作業は、管理する職員課にとって大きな負担でした。

前田 なかでも、もっとも大きな課題は、集計作業に追われるあまり、一番の目的である人事評価を人材育成につなげる仕組みを構築できないことでした。

 そこで当市では、業務の効率化を図り、本来の目的である人材育成につなげる人事評価を確立するために、システム導入を検討することにしました。

―具体的にどのような検討を行ったのでしょう。

大丸 システム選定にあたっては、大きく3つのポイントを重視しました。1つ目は、全職員が日常的に使うシステムとなることから、まずは直感的に操作できる「使いやすさ」です。2つ目は、職員が日常的な業務環境である「LGWANネットワーク内で使えること」。そして3つ目のポイントが、「組織の目標と個人の目標を同一画面で管理・運用できること」でした。両者が関連づけられていれば、期初に適切な目標設定ができ、職員も組織における自らの役割を理解しながら業務にあたることができます。

前田 これらのポイントをもとに、複数の人事評価システムをデモで比較検討した結果、当市ではプロポーザル選定によって人材育成支援システム『ざいなる』の導入を決めました。令和5年度から運用を開始しています。

職員が納得感をもち、成長にもつながる人事評価へ

―導入効果はいかがですか。

前田 運用を管理する職員課の負担は大きく減りました。集計は短時間でできるようになり、各部署の進捗状況も一目で確認できるようになりました。こうして管理負担が軽減されたため、今後は人事評価の内容を反映した研修を実施するなど、人材育成に向けた取り組みに力を入れていきたいです。

 それだけではなく、これまではできていなかった部単位での評価結果の公開も、令和5年度から実施できるようになりました。その結果、評価者も被評価者も評価制度や目標共有に対する意識が高まったように感じます。また、部署ごとの評価傾向もオープンにすることで、職員間で人事評価への納得感を高めていきたいと考えています。今後は、この新たな人事評価プロセスを基盤とすることで、本来の目的である人材育成につなげるサイクルを確立していけると期待しています。

支援企業の視点
人材が育つ職場環境づくりへ、人事評価のシステム化は喫緊の課題
インタビュー
坂井 智紀
扶桑電通株式会社
中国支店 鳥取営業所 販売課
坂井 智紀さかい ともき
平成11年、広島県生まれ。令和4年4月に扶桑電通株式会社に入社。令和5年10月より鳥取営業所販売課に配属。鳥取県内の顧客を幅広く営業活動中。

 昨今の人手不足の問題は多くの自治体も例外ではなく、限られた人材をいかに育て、適正に配置するかが大きな課題です。しかし、その実現に向けて基盤となるべき人事評価を、いまも紙ベースで運用し、多くの時間と手間を浪費している自治体は少なくありません。まずは、人事評価のシステム化が喫緊の課題です。

 当社が推奨する人材育成支援システム『ざいなる』は、人事評価業務の効率化や担当者の業務負担軽減はもとより、評価結果をその後の人材育成につなげることを重視したシステムです。個人の強みや弱点を可視化、分析する機能が充実しています。また、組織目標と個人目標を相互に関連づけて運用・管理できるため、職員個人の成長はもとより、組織全体の成長をも支援できます。人事評価のシステム化で、人材が育つ職場環境づくりをぜひ実現してください。

開発企業の視点
システムによる業務効率化が、育成にかける時間を生み出す
インタビュー
河田 美奈子
ICTコンストラクション株式会社
内部情報ソリューション部 HRソリューション課 システム企画・開発リーダー
河田 美奈子かわた みなこ
平成元年、広島県生まれ。平成26年より人材育成支援システムの企画・開発に従事。

 従来の表計算ソフトをベースに人事評価制度を運用する自治体の課題は、職員の育成にかける時間が失われていることです。『ざいなる』は、人事評価業務の効率化で、職員の人材育成に充てる時間を新たに生み出すシステムであり、その設計思想は職員のスキルアップへの貢献です。

 当社では現在、2つの開発方針を掲げています。1つは、評価結果に対する分析機能の充実。多様な機能を日常使いできるよう、よりわかりやすく改変していきます。もう1つは、より多くの対象者に向けた機能の実装。ここでは、年度単位の雇用者にも配慮した機能を近日リリース予定です。ぜひ期待してください。

滋賀県甲賀市の取り組み
人事評価システムの導入②
システム化による人事評価改革で、挑戦を後押しする組織風土づくりを

ここまで紹介した米子市同様、人事評価のシステム化を通じて、人事評価の運用改善、さらには組織風土の変革にまで挑んでいるのが甲賀市(滋賀県)である。同市では、中長期的な人材育成の方針を定めると同時にシステムを導入し、これまでの人事評価制度の抜本的な見直しに着手しているという。ここでは同市担当者2人に、取り組みの詳細とともに、システム導入の効果などを聞いた。

[甲賀市] ■人口:8万8,113人(令和6年5月末現在) ■世帯数:3万7,917世帯(令和6年5月末現在) ■予算規模:785億9,528万1,000円(令和6年度当初)■面積:481.62km² ■概要:滋賀県東南部に位置し、大阪・名古屋から100km圏内にあり、近畿圏と中部圏をつなぐ広域交通拠点に位置している。その東南部は、標高1,000mを超える山々が連なる鈴鹿山脈により、西南部は信楽盆地とこれらに続く丘陵性山地により各々三重県、京都府に接している。特に、鈴鹿山系を望む丘陵地で、野洲川・杣川・大戸川沿いに平地が開け、また森林も多く琵琶湖の水源涵養、水質保全にも重要な地域となっている。
インタビュー
髙畑 秀司
甲賀市
総務部 人事課(人事担当) 課長補佐
髙畑 秀司たかはた しゅうじ
インタビュー
曽和 宏之
甲賀市
総務部 人事課 人事政策係 係長
曽和 宏之そわ ひろゆき

人事評価の再構築とともに、システム化が必要に

―甲賀市におけるこれまでの人事評価の取り組みを教えてください。

髙畑 当市では従来、独自に定めた「人材育成基本方針」に基づき、人事評価を行ってきました。同方針では、「新たな仕事にも積極果敢にチャレンジする職員」など3つの職員像を掲げ、人事評価もそれに紐づく形で行ってきました。しかし、昨今の人材採用の難しさや社会課題の複雑化、多様化といった職員を取り巻く環境変化を受け、職員の能力やモチベーションの向上は、これまで以上に重要になっているとの認識が高まっています。そこで当市では、令和4年に評価制度を再構築し、人材育成をより重視した形での制度運用に舵を切っています。

曽和 それに合わせて、評価制度の名称も「甲賀市ひとづくり制度」と変更し、これまで単年度であった研修計画を中長期計画へと改めるなど人材育成に主眼を置く制度改革を進めてきました。その改革を実現するための重要な取り組みの1つと位置づけたのが、人事評価のシステム化でした。

―詳しく教えてください。

曽和 当市ではそれまで、表計算ソフトを使った紙ベースで人事評価を運用してきました。そのため、人事担当や所属長による集計作業はきわめて煩雑で、その作業に追われる結果、人材育成へとつなげる制度運用が形骸化していたのが実態でした。新たな制度運用にあたり、システム導入による効率化が重要だと考えたのは、そのためです。

髙畑 システム導入にあたっては、複数のシステムを比較検討する中で、新たに設計した「ひとづくり制度」の思想との親和性の高さや、充実した機能の数々を評価し、令和4年8月のプロポーザルによって人材育成支援システム『ざいなる』を選定しました。令和5年度から運用を開始しています。

人材育成につながる情報が、継続的に蓄積できる

―導入効果はいかがですか。

曽和 まずは、課題であった人事担当や所属長の集計作業は、システムによって自動化され、事務負担は大きく軽減されました。また、システムの日常的な利用が、新たな評価制度への理解を高めるきっかけにもなったと思います。さらに『ざいなる』では、日々の職員の行動記録や研修履歴、面談記録などを記入でき、各所属内でコミュニケーションツールとして利用できるので、所属長が個々の職員の状況を把握しやすくなりました。評価プロセスの可視化によって、人材育成につながる貴重な情報が継続的に蓄積できることは、人材育成の観点からも大きな効果だと感じています。

髙畑 今後はシステム運用を定着させ、公平性や納得感を高めた人事評価制度を確立することで、制度改革が目的とする「チャレンジする職員を後押しする組織風土」をつくりあげたいと考えています。『ざいなる』はそれを実現するための重要なツールとなっています。

支援企業の視点
システム化で人事評価を改善し、時代に合った制度運用を
インタビュー
新居 浩伸
扶桑電通株式会社
関西支店 システム部 第二システム課 マネージャー
新居 浩伸にい ひろのぶ
昭和50年、徳島県生まれ。平成9年4月に扶桑電通株式会社に入社。以後、自治体内部情報システムの導入・保守に従事。

 複雑化、多様化する社会課題に対応が迫られる自治体では、人事評価をいかに人材育成につなげ、個人や組織の成長を図るかは、共通した課題となっています。近年では、米子市や甲賀市のように、自治体を取り巻く社会環境の変化を受け、人事評価制度を見直し、人材育成のための評価、処遇への反映など、時代に合った運用を目指す自治体も増えています。

 当社が提案する人材育成支援システム『ざいなる』は、自治体独自の制度に合わせた運用を可能にしています。一部の仕様や項目設定なども柔軟に変更できるため、制度に合わせた自由度の高い運用ができるのです。人事評価制度の改正に伴うシステム化を検討の際には、当社ではシステム提案のみならず制度設計まで支援いたします。そのほか、人事給与や財務会計といったシステムの構築まで手がけます。ぜひお問い合わせください。

開発企業の視点
人事評価のシステム化は、組織活性化のきっかけになる
インタビュー
井手 可南子
ICTコンストラクション株式会社
内部情報ソリューション部 HRソリューション課
井手 可南子いで かなこ
平成7年、茨城県生まれ。ICTコンストラクション株式会社にて、令和5年11月より人材育成支援システムの開発と導入に従事。

 これまで紙ベースで運用している自治体の多くでは、人事評価とは人事担当部門のみならず、評価者、被評価者にとっても「煩雑な作業」とみられてきたのではないでしょうか。システム化は、その作業の負担を軽減するだけではなく、人事評価を日々振り返る身近なものとし、個人や組織の成長につなげてくれる重要なプロセスと再認識する契機になりえます。

 『ざいなる』では、「新人支援機能」といった独自の人材育成機能の開発に力を入れるとともに、UIの改善などユーザーの声を反映した年2回のバージョンアップも重ねています。当社では、人事評価のシステム化を通じて、組織の活性化を支援していきます。

扶桑電通株式会社 関西支店

電話番号/06-6266-3800 (平日 9:00~17:40) メールアドレス/fsv2024zainaru@fusodentsu.co.jp

ICTコンストラクション株式会社
ICTコンストラクション株式会社
設立

平成23年7月

資本金

5,000万円

事業内容

自治体向け内部情報システムに関するサービス(人事給与、庶務事務、財務会計、文書管理など)および人事評価システムなど、ネットワーク・インフラストラクチャに関するサービス、セキュリティ関連システムに関するサービス、クラウド・LGWAN-ASPサービスなど

URL

https://www.gyoseiq.co.jp/ict/

お問い合わせ先
092-263-7880(平日 8:30~17:30)
ictweb@gyoseiq.co.jp

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