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体験会レポート
先進事例2024.08.01
「政務活動費管理」の効率化

政務活動費の「アナログ管理」を改善し、「議員の本分」に使える時間を増やす

[提供] 株式会社エイブルコンピュータ
政務活動費の「アナログ管理」を改善し、「議員の本分」に使える時間を増やす
この記事の配信元
株式会社エイブルコンピュータ
株式会社エイブルコンピュータ

※下記は自治体通信 Vol.59(2024年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

自治体執行部側と同様に、全国の地方議会でもデジタル技術で業務改革を図るDXの取り組みが進められている。そうしたなか、最近注目を集めているのが、政務活動費*の管理に関する事務作業の効率化だ。従来の管理ではアナログな作業が残っていることから、議員と議会事務局に大きな負担がかかったままだという。そんななか、横須賀市議会(神奈川県)ではこのほど、政務活動費の管理を効率化するサービスの「体験会」を実施した。体験会の様子をレポートする。

*政務活動費 : 地方自治法第100条第14項とそれに基づく各自治体の条例により、「議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部」として交付されるもの


データ連携していないことで、議員に生じるさまざまな手間

 「体験会」は5月15日に横須賀市議会内で行われ、議会における業務改善の取り組みなどを話し合う「議会制度検討会議」の所属議員など12人が参加した。この会の目的は、参加議員が、ITベンダーのエイブルコンピュータ社が開発した政務活動費管理SaaS『セムカン』の操作を自ら行い、従来と比べて業務がどれほど効率化できるのかを確かめることだという。

 「政務活動費」の原資は税金で賄われることから、議員には「使途の透明性確保」「住民への説明責任」とともに、「収支報告書の提出」が義務づけられている。これに対し、収支報告書を作成する過程では「アナログ作業」の要素が依然として多く、全国の地方議会議員および議会事務局の負担増につながっていることが問題視されている。たとえば、政務活動費を支出した場合、議員はまず、活動内容と支出内容について、伝票を活動ごとに1件ずつ作成しなければならない。そして、それらの伝票に符合するよう、会計帳簿を別途作成する必要がある。横須賀市議会の場合、議員はそれらの書類をまとめて半期ごとに議会事務局へ提出し、収支報告書を作成することが求められている。多い議員では、帳票は半期で100件にのぼるという。

 体験会では、冒頭に『セムカン』の発案者で同社の五十川員申氏が、現状の問題点について「各種のデータが相互に連携していないことだ」と指摘している。その結果、「伝票」「会計帳簿」「収支報告書」といった書類に、同じ情報や手作業で集計した情報を入力しなければならず、議会事務局も1件ずつその内容を確認する手間も生じる。仮に記載内容に間違いがあった場合、議員は別の書類にも同様に修正すべき内容がないかを、再度見直す必要も出てくる。

 一方で『セムカン』を利用すれば、活動内容と支出内容を記入した伝票を作成し、領収書をアップロードするだけで、データ連携により会計帳簿と収支報告書が自動で作成される。修正の際も、1つの書類の数字が変われば、別の書類にもその修正が自動で反映される機能が備わっている。こうしたことから、大阪府議会の『セムカン』の実証実験では、議員が最終的な書類提出の確認のために割いていた「締め作業」の時間が、ほぼなくなったという。

「まずは『体験会』で効果を感じてほしい」

 今回の体験会では、そうした機能を持つ『セムカン』で各議員が実際に伝票作成などを行い、操作性や効率性などを確認。多くの議員から「操作が簡単で、収支報告書の作成を大幅に効率化できそうだ」といった声が聞かれた。五十川氏は、「政務活動費に関する事務作業の事務負担に悩んでいる議会は多い。効率化の効果は、各議員の政務活動費の内容をチェックする議会事務局にももたらされるはず。効率化によって生み出される時間を、議員は本分である議員活動にあてられ、議会事務局は議員活動のサポートに向けられる。結果として、地域住民のサービス向上につながると思う。実証実験の前に、まずは気軽に『体験会』で多くの議員のみなさんに効果を感じていただきたい」と話している。

議員の声
伝わりやすい「情報公開」で、より一層「信頼される議会」になれる
[横須賀市] ■人口:37万3,651人(令和6年6月1日現在) ■世帯数:16万6,338世帯(令和6年6月1日現在) ■予算規模:3,487億6,500万円(令和6年度当初) ■面積:100.81km²
インタビュー
加藤 眞道
議会制度検討会議
委員長
加藤 眞道かとう まさみち

 政務活動費は大切な税金であるため、収支報告を適切に行うことは当然です。その内容を効率的にまとめられれば、新たに生まれる時間を大切な議員活動にあてられます。今回のようなITツールは、慣れるまでに苦労するイメージがありますが、『セムカン』は操作が簡単ですぐに使いこなせると感じました。サービス開発に携わった五十川さんが野々市市(石川県)の元市議会議員ということで、利用者のことを考えた使いやすいサービスになっていると感じました。「経費の按分機能」などは、政務活動費を支出する際の「実情」に沿った機能だと思います。情報公開の際は、データが連携された形で公開されるため、私たちが政務活動費をどう利用したかについて、わかりやすく伝えられると思います。そうすることで、住民からより一層、「信頼される議会」になれると考えています。次のステップとして実証実験を実施し、導入に向けて検討したいと考えています。

株式会社エイブルコンピュータ
株式会社エイブルコンピュータ
設立

平成8年8月

事業内容

公共ソリューション事業およびシステム受託開発事業

URL

https://www.ablecomputer.co.jp/

お問い合わせ先
076-214-8759(平日 10:00〜17:00)
semkan@ablecomputer.co.jp
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