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《発注事務の心得》外部の人との仕事では「自責思考」がおススメ

    《発注事務の心得》外部の人との仕事では「自責思考」がおススメ

    【自治体通信Online 寄稿記事】
    これからの時代の公務員が「幸せ」になる働き方 #11(さいたま市職員・島田正樹)

    市役所や県庁といった行政機関では委託業務や修繕、物品購入、印刷製本など外部の民間企業への発注業務がたくさんありますよね。6月になり、今年度の発注事務を無事に済ませてホッとしているひと、もしくはこれから発注の事務を開始するひと、それぞれいらっしゃることと思います。今回の記事では、委託業務の発注を素材に、様々な部署で経験する発注や契約について「幸せな働き方」という観点から考えてみたいと思います。

    「うまくいかないのは受託者のせい」ってホント?

    皆さんは、職場でこんな声を聞いたことはありませんか?

    「A社がちゃんとやらないから、全然進まないよ」
    「B社はいくら言っても報告書がよくならない」
    「C社は何も言わないと手を動かさないんだよね」

    地方公務員の皆さんの中には「あるある~」と思う人もいるのではないでしょうか?

    私自身、これまで調査会社やシンクタンクなどとの仕事をそれなりに多く経験してきましたが、仕事がうまくいかないのを受託者のせいにする人って、ときどきいるんですよね。

    でも、担当する職員自身も受託者側の社員ももっと幸せな働き方をするには、こういう向き合い方を変えることが大切だと思うのです。

    うまくいかないとか、受託者が思うように仕事を進めてくれないとか、それらはすべて発注した側の担当者のせいだと私は考えるようにしています。

    「自分のせい」なら「自分に出来ることがある」

    「担当者のせい」と書くととても厳しい印象を受けるかもしれませんが、それは「担当者にも出来ることがある」という意味でもあります。

    逆に「すべて受託者のせいであって、自分に落ち度はない」としたら、それは「自分に出来ることは何もない」ということになります。

    思うように仕事が進まないときに、何ひとつ自分で出来ることがなく、受託者が変わってくれるのを祈ることしかできない―。

    その方が何倍も絶望的です。

    機会があったらよく観察してみてください。受託者のせいにする人に限って、
     ・受託者に頼まれた資料を送るのが遅い
     ・打ち合わせのたびに指示がコロコロと変わる
     ・その業務に必要な知識が不足している
    なんていうことはありませんか?

    もちろん、私自身も自分のことを省みると出来ていないことも多く、嫌な汗をかきながらこの原稿を書いています。

    このように考えると、発注者側の担当者が工夫すれば受託者さんがいい感じに動いてくれるケースは、結構多いのではないでしょうか。

    「自分の実力以上」の結果は出てこない

    後輩などに委託業務のことについて話す際に、「どんなに優秀な会社と契約できても、自分の実力以上の成果は出てこないからね」と伝えるようにしています。

    委託業務は「仕様のとおりでお任せ」ではなく受託者との協同作業です。
    報告書は「つくらせる」のではなく、「一緒につくる」ものです。
    こちらのテンポが遅れれば受託者の作業時間が少なくなります。
    こちらの考えがブレてばかりだと受託者の作業が無駄になります。
    こちらが知識不足なら受託者の作業の解像度は高まりません。

    だから「自分の実力以上」の結果は出てこないのです。

    委託業務において、仕事がうまく進まないのを他者のせいにしているうちは担当者としてもきっと辛いのではないでしょうか。

    だって、自分以外の誰かのせいにするということはその誰かが変わってくれなければ、いつまでもうまくいかないままだということです。

    それよりも自分のせいだと状況を受け入れて、自分にも出来ることがあったと振り返ることができれば、この先、自分次第で劣勢から逆転できると考えることができます。

    そこには希望があります。

    「他責思考」から「自責思考」へ

    自分以外の誰かのせいだと考えることを「他責思考」と呼ぶとすれば、自分にできることがあると考えることは「自責思考」と呼ぶことになるでしょうか。

    他責思考だと状況を変えるのがとても困難ですが、自責思考なら(大変さはありますが)自分の手で変えることができます

    「自責」の先には希望、「他責」の先には絶望…

    これは委託業務に限ったことではありません。設備の修繕や物品の購入の発注でも同じです。

    いや、発注業務に限らず、組織の外の誰かと関わりながら仕事をするときには、同じことが言えるのではないでしょうか。

    「外部の人とお仕事をしているけど、何だか思ったような感じで進まない」
    そんな風に感じるのなら、一度、自分が他責思考に陥っていないか省みて、自責思考に転換してみるといいかもしれません。

    大切な税金を使い、貴重な時間を費やすことになるのですから、どうせならいい仕事にしたいですよね。

    そんな習慣が、きっと幸せな働き方につながるはずです。

    (「《“公務員のキャリアデザイン”の視点で捉えると…》希望が叶っても叶わなくても~自己申告の意味とは~」に続く)

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    ■ 島田 正樹(しまだ まさき)さんのプロフィール

    2005年、さいたま市役所に入庁。内閣府・内閣官房派遣中に技師としてのキャリアに悩んだ経験から、業務外で公務員のキャリア自律を支援する活動をはじめる。それがきっかけとなり、NPO法人 二枚目の名刺への参画、地域コミュニティの活動、ワークショップデザイナーなど、「公務員ポートフォリオワーカー」として、パラレルキャリアに精力的に取り組む。
    また、これらの活動や、公務員としての働き方などについてnote「島田正樹|公務員ポートフォリオワーカー」で発信するとともに、地方自治体の研修や「自治体総合フェア」等イベントでの講演を行う。2021年に国家資格キャリアコンサルタントの資格を取得し、個別のキャリア相談にも対応している。
    『月刊ガバナンス』(ぎょうせい)や『公務員試験受験ジャーナル』(実務教育出版)をはじめ、雑誌やウェブメディア等への寄稿実績多数。ミッションは「個人のWill(やりたい)を資源に、よりよい社会・地域を実現する」。目標はフリーランスの公務員になること。
    2021年2月に『仕事の楽しさは自分でつくる! 公務員の働き方デザイン』(学陽書房)を刊行。
    <連絡先>shimada10708@gmail.com

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