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イベント2024.04.12

秋田市、由利本荘市、大館市、男鹿市、潟上市、八郎潟町、羽後町など秋田県内の各自治体+秋田ケーブルテレビ 秋田県内の各自治体で導入が拡大する「ケーブルテレビ事業者提供のIoT」(前編)「ケーブル技術ショー2024」カウントダウン特集 地域DXでの「自治体+ケーブルテレビ連携」事例②

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一般社団法人日本CATV技術協会
一般社団法人日本CATV技術協会

ケーブルコンベンション2024 関連イベント「ケーブル技術ショー2024」(主催:(一社)日本CATV 技術協会/(一社)日本ケーブルテレビ連盟/(一社)衛星放送協会、後援:総務省(予定))が7月18日(木)・19日(金)に開催される(オンライン展示会:6月3日(月)~8月31日(土))。

今回の開催コンセプトは、「Let’s join DX with Cable TV!」。“ケーブルテレビで地域共創・地域DXを推進しよう”という意味が込められている。自治体と連携した地域DXで地域課題を解決していく、というケーブルテレビの新しい事業の推進は、今回のケーブル技術ショーの大きな目標だ。

本記事では、ケーブルテレビ事業者が地域課題解決に貢献する具体的な事例を紹介し、地方創生・自治体DXを加速させるケーブルテレビの可能性を探る。

秋田県内の各自治体の間で、地元ケーブルテレビ事業者である秋田ケーブルテレビ(本社:秋田市)が提供する河川水位や積雪監視などの IoT ソリューションの導入が広がりつつある。
大手メーカーや大手通信事業者も自治体に IoT ソリューションを提案している中、なぜケーブルテレビ事業者が自治体から IoT のパートナーとして選ばれているのか。
そこには、地域課題を理解できる地元事業者であること、通信・映像の高度な技術を持っていること、自治体と密接な関係を築けることなど、ケーブルテレビ事業者の特長がある。
ケーブルテレビ事業者と自治体の双方を取材し、前編・後編の2回でレポートする。(取材・文:渡辺 元・月刊ニューメディア編集長)

秋田県内の全25市町村にIoTを提案

秋田ケーブルテレビは、従来の有線の放送・通信事業に加えて、無線通信事業の拡大を進め、ローカル5Gにも取り組んでいる。データセンターのハウジングやホスティングなど、新事業も展開中だ。

自治体を対象にしたB2Gにも注力している。秋田市の自治会向けポータルサイトの構築を受注し、各町内会のホームページを立ち上げる事業が進行中だ。紙の回覧版を電子化する。各学校から保護者の携帯電話へのメール一斉配信サービスも導入された。コンテンツ系では、海外向けの地域紹介番組を放送局と共同で制作。由利本荘市からは公設公営ケーブルテレビの指定管理者として指定され、地上波などの再放送やコミュニティチャンネルの制作・放送などを行っている。 

秋田ケーブルテレビが近年、力を入れているのが、自治体へのIoTソリューションの提案だ。
射水ケーブルネットワーク(本社:富山県)とZTV(本社:三重県)が提供している、水位計などさまざまなセンサーのデータを可視化するケーブルテレビ業界の標準ダッシュボードを秋田ケーブルテレビは導入。県内の全自治体にIoT提案を行っているのだ。ソリューションの内容は、河川の水位計や積雪計、クマやイノシシなど鳥獣の罠の管理などだ。自治体への営業のために、6人の女性社員を配属したIoTプロジェクトチーム「コト・ウル」を新設し、秋田県内の全25市町村を回って営業を行っている。PoC(Proof of Concept)や実運用の受注を獲得するなど、着実に実績が上がっている。

「日本ケーブルテレビ連盟が策定した、2030年に向けたケーブルテレビ業界戦略『2030ケーブルビジョン』には、「ケーブルテレビが地域DXの担い手になる」という目標が掲げられています。この目標を実現するため、部署横断でB2Gの推進を目的としたプロジェクトチームを立ち上げました。連盟が推奨するIoTダッシュボードを主要な商材とし、県内の全自治体を訪問して、まずはPoCでの採用を提案する活動を2023年8月下旬から開始しました」(株式会社秋田ケーブルテレビ 事業創生本部 サブマネージャー 遠藤和幸氏)。

株式会社秋田ケーブルテレビ 代表取締役社長 末廣健二氏

株式会社秋田ケーブルテレビ 事業創生本部 サブマネージャー 遠藤和幸氏

自治体へのIoT提案に取り組んでいる女性社員のIoTプロジェクトチーム「コト・ウル」(写真はメンバーの一部)

各自治体のニーズを丁寧にヒアリング

チームメンバーはこれまで無線技術や外部プレゼンの経験がなかったため、事前に丁寧な指導と準備を行った。営業や技術担当ではなかった社員も研修を受け、自治体にIoTを提案するプレゼンができるようになった。プレゼン資料や営業チラシはチームメンバーが作成し、チームの目標もメンバーが考案。提案のロープレなどを経て、自治体への営業を開始した。チーム名の「コト・ウル」は、製品ではなく「こと」としてのソリューションを提供するという、チームのコンセプトを示している。

「コト・ウル」は全自治体をチームメンバーが分担して訪問し、各自治体のニーズをヒアリングし、水害や積雪など自治体ごとの地域課題を把握して、IoTのPoC提案の内容に活かした。6人のメンバーが1自治体ずつ、合計6自治体からPoCを受注することを目標とし、自治体の次年度の予算化に向け提案活動を行った。

チームメンバーは、各自治体に対して丁寧に話を聞き、それぞれの自治体のニーズを確認した。例えば、海沿いの自治体では水害が問題となっている一方、内陸部では除雪業務の管理に苦労しているといったニーズを把握し、それに応じて最適なセンサーを使用したPoCを提案した。

提供できるセンサーとしては、水位、積雪深、獣害対策の罠のセンサーなど複数種類を用意した。これらのセンサーはIoTダッシュボードに連携できる。IPカメラも商材に含まれている。これはSIMカードを直接差し込める製品で、自治体がコストを抑えてIoTをスモールスタートできるようにした。センサーはLPWA(Low Power Wide Area)を利用し、IPカメラはLTE(Long Term Evolution、4G)の基地局を使用して、インターネットを通じて遠隔地からダッシュボードや専用アプリでデータを確認することが可能だ。

秋田ケーブルテレビが用意している水位、積雪深、獣害などの各種IoTセンサー、カメラ

自治体からPoCだけでなく実運用の受注も

チームが県内22自治体を訪問した結果、好調な成果が挙げられた。当初はPoCの獲得を目標としていたが、2023年7月の局地的豪雨により自治体の防災意識が高まり、PoCではなく実運用として予算化に進展した案件も獲得した。7月の豪雨で被害を受けた秋田市では、アンダーパスなどの水位監視案件を実運用として受注した。秋田市の年初予算にはない案件だったが、急遽予算化され発注された。

由利本荘市では、橋のケーブル監視を受注した。この案件もPoCとは別に予算化された。斜張橋を吊っているケーブルが強風で揺れるのをカメラで監視するというもので、PoC段階での監視カメラの有効性が高く評価された。2023年度から実運用され、監視が続けられている。

羽後町では2023年度デジタル田園都市国家構想交付金で災害監視用カメラを町内5カ所に整備することがもともと決まっていたが、今般の訪問を受け秋田ケーブルテレビに見積依頼があり、結果的に受注に至った。

チームの本来の目標だったPoCの提案も多数受注され、2023年度からIoTの運用が開始された。積雪監視のPoCは大館市八郎潟町から受注し、河川監視は男鹿市潟上市から受注した。秋田ケーブルテレビと自治体との覚書締結式には地元マスコミが取材に訪れ、報道を通じてIoTの取り組みが県民に周知された。

「チームでは、メンバーが各自治体を実際に訪問することを重視しました。秋田ケーブルテレビのサービスエリアである秋田市とその近郊以外の地域では、当社の知名度は低いのです。秋田市から片道2時間かかる自治体にも足繫く通い、自治体が抱えている地域課題をヒアリングし、それを解決できるソリューションの提案を丁寧に行いました。各自治体から受注を得る成果が上げられたのは、各自治体の課題について具体的に話を聞いて、それに対応したIoTを提案した結果だと思います。自治体のお困りごとに提案内容をマッチさせたことが、受注の要因です。また、LPWAのセンサーに対応したケーブルテレビ業界標準のIoTダッシュボードも、受注のポイントになりました」(遠藤サブマネージャー)。

これまでの無線やIoTの取り組み実績も評価

各自治体への提案では、秋田ケーブルテレビが先行して行った由利本荘市とのLPWAを活用した防災IoTのPoCの実績が役立った。このPoCは、2022年度末に由利本荘市からの要望でカメラと水位計を設置し、6~12月まで半年間実施したものだ。PoCでは、市内を横断する1級河川、子吉川の支流である大沢川の監視が主な内容であり、市街地で頻繁に発生する冠水の原因やボトルネックを把握するためにセンサーを設置した。PoC開始の情報はプレスリリースや報道機関向けの説明会で共有され、各メディアが報道するなど注目された。
秋田市などを襲った2023年7月の局地的な豪雨時には、河川の各地点での水位上昇などのデータをダッシュボードで一括管理することができ、このIoTの有用性が示された(このPoCは2024年3月に終了した)。

プレゼンでは、秋田市や由利本荘市などでのこれまでのIoTの実績を訴求した。提案内容の評価だけでなく、秋田ケーブルテレビの技術的な信頼性も受注の要因だ。これまでの無線やIoTに関する取り組みが高く評価され、受注にプラスの要素となった。

秋田ケーブルテレビは、自社製品中心となるメーカー各社のIoT提案と異なり、中立の立場で各社製品の中から最適でリーズナブルな製品を組み合わせて提案しているのも、自治体にとっては安心だ。また、秋田ケーブルテレビは秋田市や秋田県から出資を受けているのも、自治体の安心感につながる。ケーブルテレビ事業者は自治体が出資する第3セクター企業が多いことも、ケーブルテレビ事業者が自治体を対象にしたICT案件で選択される傾向をもたらしている。

2023年7月の豪雨災害で有用性が示された由利本荘市のIoT画面。センサーのデータを可視化するケーブルテレビ業界の標準ダッシュボードにより、河川の各地点での水位データなどがわかりやすく表示されている

AI時代のIoTで一層活躍できるケーブルテレビ

株式会社秋田ケーブルテレビ 代表取締役社長 末廣健二氏は、今後AI利用が拡大すれば、自治体のIoTにおける同社の役割はより一層重要になると語る。

「ケーブルテレビは映像が主要な事業・技術のベースです。IoTソリューションではカメラ映像とセンサーデータが活用されます。将来的にはAIが映像から予測や解析を行うようになります。センシングにも映像の利用範囲が拡大します。これまで放送・映像を扱ってきた秋田ケーブルテレビの経営資源がさらに活用されるようになります。自治体からは、映像のプロであるケーブルテレビ事業者による高品質なセンシングサービスへの期待が高まるでしょう。自治体のIoTの目標は、災害時にも住民の安全を確保することです。映像を扱っているケーブルテレビ事業者のノウハウは、自治体のIoTプロジェクトにおいて有利だと思います。将来的に秋田ケーブルテレビは、映像やセンサーデータをAIで解析し、防災や地域課題の解決に貢献するサービスで、ポジションを確立したいと考えています」。

地元の放送・通信事業者としての信頼や、自治体のニーズをよく理解したうえで解決策を提案する姿勢、映像や通信の高度な技術力やノウハウを持ち、さらにケーブルテレビ業界を挙げて開発・提供しているダッシュボードを活用できるケーブルテレビ事業者は、自治体とのIoT分野での協力に最適なパートナーだと言える。秋田県内の各自治体でのIoT事業の受注が拡大している秋田ケーブルテレビの事例は、この点を証明している。本記事の後編では、秋田県内の自治体を取材し、自治体側から秋田ケーブルテレビをIoTのパートナーに選んだ理由や、運用の状況などをレポートする。
(続く)

※次回は5月15日(水)に掲載いたします。

プロフィール

月刊ニューメディア』 編集長 渡辺 元
情報通信業界の変遷を第一線で取材してきたジャーナリスト。現在は、月刊ニューメディアの編集長として、情報通信政策やメディアビジネス、放送・通信技術などに関する最新情報を発信する一方、各種イベントでの講演活動などを通じて、情報通信業界の未来について提言。

地域課題解決に貢献する官民連携マッチングイベント・参加無料

ケーブルテレビ事業者は、地域密着型の強みを活かし、地方公共団体や民間企業と連携することで、地域創生・自治体DXを加速させています。
そこで、「ケーブル技術ショー2024」では、地域創生・自治体DXを推進する地方公共団体とケーブルテレビ事業者を結びつけるオンラインマッチングイベントを6月に開催いたします。
例えば、以下のテーマで、双方のニーズに合致したマッチングを行うことが可能です。

・高齢者向けサービス
・買い物支援サービス
・防災DX情報配信システム
・教育ICT
・スマートシティ
・その他、地域創生・自治体DXに関する課題

【こんな方におすすめ】

デジタル推進とか、いろいろ言われているが、予算の伝え方を含めて、アイデアが欲しいし、サポートが欲しい、伴走者が欲しいというお困りごとを抱えているような、地方公共団体で地域創生・自治体DXを担当されている方

【開催期間】

6月3日(月)~7月12日(金)

【参加申込締切】

2024年4月30日(火)

【参加申込】

申込専用フォームから参加登録を行い、地域共創・地域DXなどに関する課題やニーズを登録しますと、マッチングリストをお知らせいたします。
面談の相手は、面談候補者の中から、希望条件に合致した方を自由にお選びいただけます。
希望条件に合わない場合は、お断り可能です。
オンライン開催のため、出張申請や経費精算が不要であり、自席からでも参加可能です。

一般社団法人日本CATV技術協会
設立1975年7月1日
代表者名理事長 中村 俊一
本社所在地

〒160-0022
東京都新宿区新宿6-28-8 ラ・ベルティ新宿6F

事業内容

CATV施設に関する調査研究を行うとともに、CATV施設に係る技術の向上及び普及を図ることによって、CATVの健全な発達普及を促進するとともに、テレビジョン電波の受信に関する調査を行うことにより、テレビジョン電波の良好な受信環境の実現を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的に活動しています。
また、ケーブルテレビ業界関連の(一社)日本ケーブルテレビ連盟、(一社)衛星放送協会の3社主催による「ケーブルコンベンション」「ケーブル技術ショー」を開催し、ケーブルテレビサービス事業者ならびに地方公共団体など地域のステークホルダーを一堂に集め地域共創・地域DXを推進する展示会を開催しています。

URLhttps://www.catv.or.jp/
その他情報

https://www.catv-f.com/

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