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先進事例2020.03.31

衛星通信回線の活用が「よもや」の事態を救う【熊本県の取組事例】

衛星通信回線の活用が「よもや」の事態を救う【熊本県の取組事例】

熊本県 の取り組み

衛星通信回線の活用が「よもや」の事態を救う【熊本県の取組事例】

熊本県 知事公室 危機管理防災課 情報通信班 主幹 澤田 一文
熊本県 知事公室 危機管理防災課 情報通信班 参事 上島 孝宏

災害時における通信網の再整備に力をいれる自治体が多いなか、過去の教訓から地上通信回線の寸断に備え、衛星通信を導入する自治体が増えている。熊本県もそのひとつだ。そこで同県危機管理防災課の澤田氏と上島氏に、同県の非常時通信網の詳細と災害時に衛星通信がもたらした効果などを聞いた。

※下記は自治体通信 テクノロジー特別号(2019年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

熊本県 データ

人口: 175万5,945人(平成30年12月1日現在) 世帯数: 71万9,092世帯(平成30年12月1日現在) 予算規模: 1兆1,859億9,698万3,000円(平成30年度当初) 面積: 7,405km² 概要: 九州本島の中央部に位置し、福岡、大分、宮崎、鹿児島の各県と接する。日本三名城のひとつとして名高い熊本城は、県のシンボル。平成28年の熊本地震により被災したが、10年後の復旧をめざし現在工事が行われている。

―熊本県の非常時通信網について教えてください。

澤田:熊本県は、平成26年度から28年度にかけて防災行政無線の再整備工事を実施し、地上系無線回線をメインとした非常時通信網の構築を進めていました。防災行政無線の整備後は、災害による有線回線の被害を想定して、そのような事態でも通信網が遮断されないように、県庁と各地域の拠点となる総合庁舎を多重無線回線で接続。それ以外の出先機関、市町村、消防本部は地上系260MHzの無線回線で接続するなど、通信確保体制を強化する途上でした。

上島:ところが、整備している最中に熊本地震が起きたのです。結果、庁舎の機能が混乱し、仮庁舎への移転を余儀なくされた市町村が出てきました。これらの庁舎では、有線回線と無線回線による複数の回線で通信を確保していました。しかし、仮庁舎に移設できたのは有線回線の設備のみで、無線回線が使用できなくなり、通信網が限られてしまったのです。

―どのように通信網を復旧させたのでしょうか。

澤田:一刻を争う状況に、私たちが優先した条件は、開設に時間がかからないことと、安定した回線が確保できることでした。当時、防災行政無線の再整備中だったこともあり、工事業者の協力をえて、あらゆる手段を検討。そのなかで、私たちが選んだのがある民間企業の衛星通信でした。

上島:決め手となったのは、アンテナ設置の時間も合わせて最短2時間で通信が可能になること。しかも一般的に衛星通信は、降雨により影響を受けるといわれていますが、デジタル通信専用の衛星を使用しているため電波が強く、降雨の影響も受けにくいことも導入にいたった理由です。アンテナ設置後、防災用回線として、災害待機の際の定時連絡手段や緊急時の連絡手段として活用しました。

より強固な通信網の構築と複数の通信手段の確保が重要

―衛星通信の導入は被災地にどのような効果をもたらしましたか。

澤田:気象情報、水防情報などの情報伝達により、有線回線が占有されているときでも、市町村担当者との電話連絡が可能になるなど、災害対応への迅速性、確実性が向上しました。

―熊本地震によってえた、非常時における対策を教えてください。

上島:通信網の構築は必要不可欠ですが、同時に自治体内で複数の通信手段を確保することの大切さを再確認しました。使いやすさ、機能性などいろいろな角度から通信手段を見つめ直して、災害に強い熊本県をめざしていきます。

災害時における通信網の再整備に力をいれる自治体が多いなか、過去の教訓から地上通信回線の寸断に備え、衛星通信を導入する自治体が増えている。熊本県もそのひとつだ。そこで同県危機管理防災課の澤田氏と上島氏に、同県の非常時通信網の詳細と災害時に衛星通信がもたらした効果などを聞いた。
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