【介護認定・タブレット】要介護認定調査へのデジタル導入で、審査期間短縮への一歩を踏み出せた
(ねすりあ / NTTデータ関西)


※下記は自治体通信 Vol.76(2026年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
急速な高齢化に伴い増加する要介護認定の申請。国が原則として掲げる「30日以内の認定審査」を目指し、多くの自治体が審査期間の短縮や業務改善に向けた模索を続けている。こうしたなか、箕面市(大阪府)は、認定業務の入り口である訪問調査に着目し、デジタルツールを導入。調査員の業務負担軽減や心理的負担の解消に確かな効果をあげているという。取り組みの詳細を、同市高齢福祉課の2人に聞いた。


申請が集中する時期は、残業や休日出勤も発生
―訪問調査におけるデジタルツールの活用にいたった経緯を聞かせてください。
笹田 令和6年度当時に私が所属していたDX部門が、全庁的な業務改善を進めるなかで、要介護認定業務に着目しました。認定業務は紙の使用量が多く審査会も頻繁にあり、業務負荷が非常に高い状態でした。そこで業務プロセスの見直しを図った結果、訪問調査における課題にデジタルツールが有効ではないかと考えたのです。
松宮 当時、調査員は現場で手書きのメモを取り、庁舎に戻ってから基本調査の結果はOCR用紙に記入し、特記事項はWordでまとめて納品していました。特に特記事項の作成は時間がかかるうえ、審査会で「文章がわかりにくい」などの指摘を受けることもありました。申請が集中する時期には調査だけで手一杯になり、特記事項の作成が積み残されて残業や休日出勤も生じていました。こうした状況を改善するため、ツール導入に向けて令和7年度に総合評価落札方式での入札を実施しました。
―入札ではどういった条件を重視しましたか。
笹田 第一に、調査員の使い勝手です。デジタルツールに不慣れな調査員も多いため、ストレスなく操作できるかは重要なポイントでした。また、機微な個人情報を扱うため、情報セキュリティ対策に万全を期していることも必須条件でした。これらの要件をもとに検討した結果、NTTデータ関西の介護認定支援アプリ『ねすりあ』を令和7年10月に導入しました。
―どのようなポイントを評価したのですか。
笹田 調査票の入力画面を、入力補助機能が充実した「一般形式」と、ベテラン調査員が使い慣れている紙の調査票に近い「帳票形式」に切り替えられる仕様となっており、現場に配慮されている点です。情報セキュリティ対策としてアプリを導入した端末に別のファイルを保存できない設定や運用環境の構築を行うなど、伴走的なサポートの提案も決め手となりました。大阪市での活用実績があったことも評価ポイントでした。
時間のかかる特記事項作成は、補助機能により効率化
―導入効果はいかがですか。
松宮 調査員は移動の合間などの空き時間を活用して、調査内容を入力できるようになりました。記憶が鮮明なうちに記録できるため、内容の正確さにつながっています。また、特記事項はあらかじめ登録した定型文のリストから引用できる補助機能により、入力作業が容易で、経験の浅い調査員でも安心です。アプリの利用は全員必須とはしませんでしたが、NTTデータ関西が実施した丁寧な研修の受講もあり、デジタルに苦手意識を持つ調査員を含め全員がスムーズに移行できました。その結果、認定調査後の速やかな調査票の完成が可能となり、書類作成のためだけの残業や休日出勤がほぼゼロになるという成果を上げています。管理者側も、紙が減ったことで進捗管理が容易になり、提出漏れなどの不安も解消しました。
―今後の活用方針を聞かせてください。
笹田 現在は一次判定を行うシステムにデータを取り込むために、OCR用紙などを出力する工程をまだ挟んでいますが、システム改修で直接取り込めるようになれば、効率はより高まると考えています。また、調査員の業務が効率化されたことで、次の課題が「審査会での滞留」にあると明確になりました。今後も、NTTデータ関西から提案を受けている、訪問調査後のプロセスにおけるデジタルの活用などを検討し、審査期間の短縮につなげていきます。

ここまでは、訪問調査にアプリを用い、調査員の業務負担軽減を実現した箕面市の取り組みを紹介した。ここでは、取り組みを支援したNTTデータ関西の2人に取材。要介護認定業務の審査期間を短縮するためのポイントなどを聞いた。


申請者の増加に加え、調査員の確保も困難に
―要介護認定業務をめぐり自治体が抱えている課題はなんですか。
東浦 高齢化率の上昇に伴い、要介護認定の申請者は増加の一途をたどっています。一方で、民間企業を含めて調査員の確保が困難になっており、多くの自治体が人員不足に直面しています。さらに、訪問調査時の居宅などでの記録方法は95.7%が手書きで行われているという調査結果*もあります。こうした状況が積み重なることで要介護認定審査が遅れ、国が目標とする「申請から30日以内」の超過につながっています。
杉 そこで当社では、社会的弱者の方々が必要とするサービスをいち早く受けられる社会をつくるため、この課題を解決するソリューションを用意しています。要介護認定にはさまざまなプロセスがありますが、まずは自治体内部で完結しやすい訪問調査にデジタルツールを導入することをおすすめし、介護認定支援アプリ『ねすりあ』を提案しています。
―どのような特徴がありますか。
東浦 実際にアプリを利用する調査員に寄り添ったUXを追求している点です。たとえば、入力画面の切り替え機能は、アプリ向けに見やすく整理された一般画面と、紙の調査票に近い画面とを切り替えられる仕様です。また、負担の大きい特記事項の作成も定型文リストから選択して入力できるなど補助機能も充実しているため、訪問調査の初心者でも安心して使えます。オンラインだけでなくオフライン環境でも利用できる仕様や、人口規模に応じた料金体系、デモの実施といった伴走支援など、自治体にとって導入しやすい体制が整っているのも特徴です。
当社では『ねすりあ』のほかにも、訪問調査後の作業負担軽減も支援しています。
*出所 : NTTデータ経営研究所『要介護認定事務の円滑な実施に係る調査研究事業 報告書』、令和4年3月

単なるデジタル化ではない、業務全体のDXを目指せる
―具体的に聞かせてください。
東浦 認定調査票の目検をAIが行い、基本調査と特記事項の整合性を確認する要介護認定支援AIサービス『Aitice®(アイティス)』や、調査票や医師意見書に書かれる個人情報をAIが代替テキストに変換するAIマスキングサービス『aiezmask®(アイズマスク)』といったツールを用意しています。自治体はこれらを併用することで、単なる一つの作業のデジタル化にとどまらない、介護認定にかかわる業務プロセス全体のDX実現を目指せます。
―今後、どのような方針で自治体を支援していきますか。
杉 当社はこれまで、さまざまな自治体に向けて基幹業務システムの構築支援を行ってきました。そのなかで、住民と直接接点を持つ現場にこそ、解決すべき課題があることを見つけてきました。そこで、行政サービスの質の向上を通じて社会に貢献する専門チームを立ち上げています。単にデジタルツールを提供するだけでなく、自治体のみなさんとのご縁を大切にしながら、現場の真のニーズを汲み取り、課題を解決するソリューションを一緒につくっていきたいと考えています。ぜひご連絡ください。


| 設立 | 平成15年7月 |
|---|---|
| 資本金 | 4億円 |
| 売上高 | 466億6,600万円(令和7年度) |
| 従業員数 | 1,321人(令和8年4月1日現在) |
| 事業内容 | データ通信システムの開発および保守の受託・販売ならびに賃貸、データ通信システムにかかるソフトウエアまたは装置の開発および保守の受託・販売ならびに賃貸など |
| URL |
▶︎『ねすりあ』の紹介ページはこちら
https://www.jichiel.jp/service/nestlire/

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