【自治体職員・DX】デジタル庁が全国自治体に活用を提案、「デジタル改革共創プラットフォーム」
(デジタル改革共創プラットフォーム / デジタル庁)
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※下記は自治体通信 Vol.71(2026年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
「基幹業務システムの標準化」や「ガバメントクラウドの運用」をはじめ、いま多くの自治体では、自治体DXの根幹をなす基盤整備が大詰めを迎えている。こうしたデジタル改革の動きの後押しとして、デジタル庁では「デジタル改革共創プラットフォーム(以下、共創PF)」の活用を全国の自治体に提案している。それは、どのようなもので、いかなる活用が可能なのか。同庁にて共創PFの普及に努めるシニアエキスパートの関氏と、利用者であり、共創PFアンバサダーも務める志木市(埼玉県)デジタル推進課長の八木氏に対談を通じて語ってもらった。


全国の自治体と政府機関から、約1万4,700人が参加
―共創PFとは、なんですか。
関 ビジネスチャットツール『Slack』上につくられた行政機関職員のためのオンラインコミュニティです。自治体と政府機関の職員であれば誰でも参加可能で、「個人の意見」としてデジタル化に関する業務上の課題やアイデアを自由に投稿することができます。デジタル庁が令和4年から運用しているもので、令和7年10月1日現在、1,495自治体から約1万2,500人の職員と、39の政府機関から約2,200人の職員が参加しています。
八木 令和5年からはLGWAN環境でも使えるようになり、一気に自治体職員の利用が広がりました。テーマ別に設置されるチャンネルの数も、かなり増えていますね。
関 約140にのぼります。テーマは必ずしも情報システムに限られてはおらず、上下水道や医療福祉、選挙など多岐にわたります。いまやDXに関係ない業務はないといっても過言ではありませんから。現在、アクティブユーザーは約4,700人に達しており、活発なやりとりが見られます。
八木 スタンプなどのリアクションを使って気軽に参加できるので、利用者にはありがたいです。
―共創PFを設置した背景はなんだったのですか。
関 デジタル政策を効率的に進めていくうえでは、「現場の生の声」を政策に取り入れる必要があるという問題意識がありました。デジタル政策の実効性を高めていくためには、運用する現場からのフィードバックは重要です。現場からの忌憚のない意見を聞ければ、早い段階で政策をブラッシュアップすることもできると考えました。
八木 自治体側でも、こうしたツールを求めていたという背景はありました。たとえば、国からの通達を受けた際には、どのように対応すべきか、自治体間で相談したり、アドバイスを受けたりすることもできますし、内容の解釈に迷ったときなどは、直接、当該政府機関の職員に聞くこともできますから。
「助け合う」価値観を育み、自治体職員の働き方を変える
―みなさんは、普段どのように活用されているのですか。
八木 業務上の情報収集が多いですね。たとえば、現在は「自治体システム標準化」が佳境を迎えており、どの自治体も模索を続けていますので、先行自治体の情報は非常に参考になります。我々情シス(情報システム)部門の職員には、もともとは一般行政職出身の人材も多く、必ずしも専門知識を備えているとは限りません。そんなとき、共創PFでのつながりが本当に心強いんです。
先日も、深夜におよぶLGWANネットワークの移行作業に従事したある自治体の情シス担当者が、「共創PFでみんなとつながっていることが支えになった」と書き込んでいました。つながることの「安心感」に、心から共感しました。
関 あの書き込みには、ほっこりしましたね。我々デジタル庁としては、特に孤独な闘いを強いられている、いわゆる「ひとり情シス」と呼ばれる職員のみなさんにこそ、活用してほしいと思っています。どのような業務の疑問に対しても、約1,500もの自治体から参加があれば、必ずひとりは専門家がいるものです。それらの知見は、共創PFによって「全自治体共有の資産」として広く活かされるようになるのです。
八木 私も一利用者として、全国の自治体職員の間で「助け合う」価値観が育っているのを感じています。共創PFによって、全国で自治体職員たちの働き方が変わっていくと期待しています。
―今後、共創PFをいかに発展させていきますか。
八木 共創PFには、政府機関の職員も多く参加しているので、ともすれば、対立構造になりがちな国と自治体の距離を縮めるツールになってほしいです。「自治体の声」を反映させることで、政策や事業の共創を生み出す基盤にしていきたいですね。
関 実際、徐々に共創PFを舞台にした各政府機関と自治体とのやりとりも始まっています。こうしたプラットフォームは、利用者が増えるほど価値が高まっていくものです。利用を開始するにあたっては、八木さんのような全国の共創PFアンバサダーが助けになってくれると思います。ぜひ一度、参加してみてください。

これまで紹介した、デジタル庁が提供する「デジタル改革共創プラットフォーム(以下、共創PF)」。そこでは、1万人以上の自治体・政府機関職員が参加し、デジタル業務にまつわる有益な情報交換が繰り広げられている。なかには、全国の自治体職員の働き方や業務への意識変革をもたらしているケースもあるようだ。ここでは、共創PFを日々の業務に活用している全国の職員を取材。活用シーンや実感する効果などについて聞いた。

共創PFを活用したきっかけは、かつて共創PFアンバサダーを務めていた近隣自治体の職員からの紹介でした。北海道では地理的な制約も大きく、近隣自治体との連携や交流が弱い面もあり、ましてや道外の自治体との交流は非常に難しい状況でした。そのため、全国の自治体職員と幅広い業務についてさまざまな情報連携が図れ、先進事例を知ることができる共創PFには大きな魅力を感じました。
実際、いくつもの活用効果を実感していますが、その1つが、当市が毎年実施していた「市民意識に関するアンケート調査」の改善案を相談したときでした。毎回、紙のアンケート用紙の印刷や発送、集計などに約350時間を要していたこの業務に改善が必要と考え、他自治体に助言を求めたところ、アンケートの標本数や実施時期の見直し、オンライン回答との併用や街頭アンケートの活用など、各自治体の事例に基づき、多くの有益なアドバイスをいただきました。これにより、調査の効率化のみならず、その結果に基づいて策定される市の総合計画の品質向上も実現することが見込まれています。この業務改善の経緯は今後、共創PF上に投稿し、ほかの自治体のみなさんの参考にしてもらいたいと考えています。
共創PF上には、こうした貴重な情報が「共有の資産」として蓄積しています。私は共創PFアンバサダーとして、それらを有効活用できる仕組みが必要と考えており、生成AIと組み合わせることで精度よく検索できる仕組みを提案しています。こうして共創PFの価値をさらに高めることで、自治体の枠を越えて行政サービスを向上させるための基盤にしていきたいです。

当時、科学・情報政策室の職員として、県下の市町村のDX推進を支援する立場にあった私にとって、令和4年に届いたデジタル庁からの共創PFの案内は大変ありがたいものでした。それまで当県には、県庁と市町村の担当者をつなぐ連絡手段が電話とメールしかなく、多対多のコミュニケーションツールを切望していたからです。現在、共創PF上の岩手県ローカルチャンネルでは、100人を超える参加者が有益な情報交換を行っており、私自身も市町村の現場の実情を知るうえで有効に活用しています。
世の中には、「ひとり情シス」という言葉がありますが、県内の小規模町村には複数業務を兼務する情シス担当者も多く、もはや「0.1人情シス」とか「0.2人情シス」というのが、偽らざる実態です。そうした職員にとって、共創PFでつながる全国の職員の存在や、そこで得られる情報は大変心強いものと考えます。同じ業務をしている職員がおらず、背中を見て学べる職員も都市部と比べて明らかに少ない小規模町村では、成長へのモチベーションを維持し続けることや、職場へのエンゲージメントを高めることはとても難しいです。その意味では、全国でがんばっている自治体職員が取り組みを発信する共創PFという環境は、目の前の膨大な担当業務に向き合う職員たちを、これ以上ないほど鼓舞してくれます。単なるコミュニケーションの場というだけではなく、人材育成の場としても機能していると感じており、我々のような地方部で働く職員にとってはDX推進の強力な支えです。今後、この環境を後輩たちにも残していけるよう、参加者確保に努め、有用性を高めていきたいと考えています。

私は、こども・子育て支援システムの標準化担当を務めることになったのを機に、庁内の職員の紹介で共創PFを利用するようになりました。最初は投稿を見るだけでしたが、いまでは業務にまつわる疑問や、逆にみなさんにお伝えしたい動きなどについて、積極的に書き込んでいます。きっかけは、「雑談」や「今日の一枚」といった誰もが気軽に投稿しやすいチャンネルに参加したことでした。そこで読んだ投稿にスタンプを押すことから始め、徐々に自分も投稿するようになりました。投稿を読めば、不思議とその人の「人となり」までわかるもので、それはその後のコミュニケーションの発展にも多分に作用します。ですから、スタンプのような気軽に参加できる仕組みも共創PFの良いところですね。
現在私は、令和8年度から本格的な運用が始まる「こども誰でも通園制度」において、利用者の認定業務を担当しています。そこでは、制度の詳細がまだ確定していないことも多く、前例のないことを考え、決めなければいけないような状態に陥る局面も少なくありません。そんなときこそ、共創PFの投稿を見ることで、同じ悩みを抱えている全国の職員たちに出会い、「悩んでいるのは自分たちだけじゃない」「仲間は庁外にもいる」という事実にあらためて気づかせてもらっています。
共創PFは、名称に「デジタル改革」と冠していますが、必ずしも情報システム担当の職員のみならず、私のような事業担当課の方々にとっても有用な情報交換ツールとなっています。業務も自治体規模も異なる多様な職員たちと出会い、学びあえる場は、ほかにはないと思います。

民間企業から善通寺市の情報システム担当として入庁してもっとも驚いたのは、外部からの情報が得にくいことでした。庁内の端末やシステム、ネットワークの運用管理をめぐって、最新のソリューション情報や他自治体の取り組みを参考にしたい場合、それらの情報を得るのにとても苦労した経験が多かったのです。そのため、令和4年の夏にデジタル庁から共創PFの案内をいただいた際には、「これは面白い仕組みだ」と思い、すぐに利用を始めました。
現在は、おもに庁内の若手職員で構成される部署横断組織「DX推進チーム」のメンバーを中心に活用の輪を広げています。チームでは現在、「窓口改革」の取り組みを進めていますが、共創PFで得られる先進自治体の事例などから刺激を受けているメンバーも多く、業務改革に向けた機運醸成につながっているのは間違いありません。
共創PFの情報は個人の立場で自由に投稿されているため、ときには「失敗事例」のような通常では知りえない内輪話も知ることができ、大変参考になっています。投稿から得られる気づきも多いです。「いまある業務をいかにデジタル化するか」とついつい視野が狭まったときには、「その業務は本当にいるの?」といった新たな気づきを受け、DXの本質を見つめ直す契機になったこともありました。
個人の立場で参加するもう1つのメリットは、参加者同士がフラットな関係でコミュニケーションをとれることです。参加する政府機関職員との会話からは、これまで距離を感じていた国と地方の相互理解に一役買っているのも共創PFの大きな意義だと感じています。

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