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愛知県愛西市の取り組み
先進事例2023.06.29
移動系無線を活用した災害対策強化

機動力が高まる災害対応の通信網を、MCA無線機で費用負担を抑えて整備

[提供] 一般財団法人 移動無線センター・PSCP株式会社
機動力が高まる災害対応の通信網を、MCA無線機で費用負担を抑えて整備
この記事の配信元
一般財団法人 移動無線センター・PSCP株式会社
一般財団法人 移動無線センター・PSCP株式会社

※下記は自治体通信 Vol.50(2023年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

激甚化・頻発化している災害への対応力強化に向け、被災現場の情報を職員間で迅速に共有する「移動系無線システム」の導入を検討している自治体は多い。愛西市(愛知県)もそうした自治体の1つで、同市担当者の佐藤氏は、「従来の無線網を見直し、災害対応の機動力を高める新たな無線システムを導入した」と語る。そのシステムの詳細について、同市危機管理課課長の大野氏も交えて聞いた。

[愛西市] ■人口:6万1,378人(令和5年4月1日現在) ■世帯数:2万4,151世帯(令和5年4月1日現在) ■予算規模:434億4,792万円(令和5年度当初) ■面積:66.68km² ■概要:市名の通り、愛知県の西端に位置する。岐阜県と三重県に接している。木曽川流域の肥沃な土壌に恵まれ、レンコンの産地としても知られる。また、イチゴやトマトなども特産品。
インタビュー
大野 敦弘
愛西市
企画政策部 危機管理課 課長
大野 敦弘おおの あつひろ
インタビュー
佐藤 博康
愛西市
企画政策部 危機管理課 主査
佐藤 博康さとう ひろやす

長年の課題だった「不感地区」の解消

―移動系無線システムを見直した経緯を教えてください。

佐藤 当市は平成17年に町村合併した際、旧町で使っていた自営の移動系防災行政無線網を市内全域に整備しました。ただし、市内の一部で無線がつながりにくい地区があり、外部アンテナの増設などで対応しましたが改善せず、この「不感地区」の解消は長年の課題でした。さらに、無線設備の老朽化も進んできたこともありシステムの刷新を決めましたが、その際、重視した点が2つありました。

―どのようなことですか。

佐藤 1つは「費用負担の軽減」です。従来の自営網では、整備に多額の初期投資が必要で、財政上の大きな負担になります。もう1つは「無線機の使いやすさ」です。防災担当以外の職員は、無線機に触れる機会が訓練時など年に数回しかなく、これまでのシステムでは実際の災害発生時に使いこなせるのか不安があったのも事実です。そこで、可能な限り費用負担を抑え、職員が使いやすい安定した通信システムの構築を検討した結果、『MCAアドバンス』を選定し、令和4年3月から運用しています。

―どういったシステムでしょう。

佐藤 移動無線センターが運営するシステムで、特定の利用者のみが共同利用できる「MCA無線*」の進化版です。共同利用型であることから基地局の設置が不要で、当市の試算では、自営網の整備と比べて費用負担を約半分に抑えられます。特定の利用者が使う専用通信網であるため、公衆網とは異なり災害時でも輻輳(ふくそう)*が起きにくく、安定した通信を確保できます。また、IP無線網を活用した「通信の二重化」により通信エリアを拡大できるので、「不感地区」の解消が期待できます。さらに、通信端末は多くの職員が使い慣れているスマホ型という特徴があります。

*MCA無線 : 一定数の周波数を複数のユーザーが共同で利用する専用システム網。MCAは「マルチチャンネルアクセス」の略語
*輻輳 : 通信が一度に集中することで通信困難になる状態

画像を受け取れるため、現場の詳細な把握が可能

―導入効果はいかがですか。

大野 以前からの課題だった「不感地区」が解消されました。端末の使い勝手は、ほとんどの職員が、「スマホの感覚で、説明書など読まずに使える」と話しています。さらにこの端末では、データ通信機能により災害現場の状況を画像で送信できます。実際、豪雨時に用水路の水位を画像で送ってもらったケースがあり、災害対策本部では現場の状況をより詳細に把握できたことで、被害防止に向けた対応を迅速に行うことができました。『MCAアドバンス』は、まさに、当市の災害対応の機動力を高める無線システムだと実感しています。

支援企業の視点
伝達できる情報量を増やせれば、被害を抑える迅速な対応が可能に
インタビュー
本多 孝之
朝日電気工業株式会社
営業部 自治体グループ 課長
本多 孝之ほんだ たかゆき
福岡県生まれ。朝日電気工業株式会社へ入社後、おもに自治体に対して防災行政無線など、電気通信工事業の営業に携わる。
インタビュー
山田 範人
一般財団法人移動無線センター
東海センター 利用推進部長
山田 範人やまだ のりと
岐阜県生まれ。昭和61年に一般財団法人移動無線センターへ採用。現在は、おもに自治体、一般企業への利用推進業務に携わる。

―移動系無線システムの導入や更新を検討する自治体には、どのようなニーズがありますか。

本多 費用負担を抑えつつ、災害時でも確実に情報を伝達したいというニーズが多いです。特に、多額の費用で自営の無線網を整備した自治体からは、「必要なエリアでの不感地区をなくしたい」という声が聞かれます。

山田 その点、「MCA無線」は、当財団が全国各地に設けている中継局を利用するため、費用負担を抑えて通信網を整備できます。IP無線網を活用し、通信を二重化したことで、「不感地区」の解消も図れます。こうした点が評価され、これまで350以上の自治体で導入実績があります。通信端末を従来のトランシーバー型からスマホ型にモデルチェンジした『MCAアドバンス』に至っては、「使いやすさ」にも注目した自治体からの問い合わせが急増しています。

―今後、自治体の災害対応をどのように支援しますか。

本多 『MCAアドバンス』は、単信・複信の音声通話や画像送信以外に、動画やチャット機能も搭載できます。これらの機能を活用すれば、伝達できる情報量は音声通信だけと比べて格段に増えます。これにより災害対策本部では災害現場の状況を詳細に把握できるようになるため、災害対策や防止に向けた判断の迅速化に貢献できると思います。

朝日電気工業株式会社

設立/昭和25年12月(創業/昭和22年7月)  資本金/3,000万円 売上高/約30億円(令和4年4月期) 従業員数/約110人 事業内容/電気通信工事業 URL/https://www.asahi-elc.co.jp/

【お問い合わせ先】
TEL : 052-471-3261 (平日 8:30~17:30)
https://www.asahi-elc.co.jp/contact

一般財団法人 移動無線センター・PSCP株式会社
一般財団法人 移動無線センター・PSCP株式会社
設立

平成24年4月(創業/昭和39年7月)

事業内容

MCA事業

URL

https://www.mrc.or.jp/

お問い合わせ先
移動無線センター 東海センター
052-581-2461(平日 9:00~17:30)
risui@mrc.or.jp
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