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兵庫県伊丹市の取り組み
先進事例2023.06.12
公用車へのEV導入①

自治体利用に適した軽商用EVが、地域一体の温暖化対策のけん引役に

[提供] 三菱自動車工業株式会社
自治体利用に適した軽商用EVが、地域一体の温暖化対策のけん引役に
この記事の配信元
三菱自動車工業株式会社
三菱自動車工業株式会社

※下記は自治体通信 Vol.50(2023年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

「2050年カーボンニュートラル」という目標が政府から示されたことを受け、各自治体でも各種の地球温暖化対策に本腰を入れ始めている。伊丹市(兵庫県)もそうした自治体のひとつであり、「ゼロカーボンシティ宣言」のもと、再生可能エネルギーの導入などを進めている。それら地球温暖化対策の柱として、公用車への電気自動車(以下、EV)導入も本格化させている。同市総合政策部グリーン戦略室の松下氏と本郷氏に、EV導入の経緯などを聞いた。

[伊丹市] ■人口:19万6,334人(令和5年5月1日現在) ■世帯数:8万3,756世帯(令和5年5月1日現在) ■予算規模:1,924億448万4,000円(令和5年度当初) ■面積:25.00km² ■概要:兵庫県南東部に位置する。大阪市からは約10㎞と近く、大阪の衛星都市のひとつとも位置づけられる。地形は全体に平坦で、東部に猪名川、西部に武庫川という2つの大きな川が市内を流れる。大阪国際空港(伊丹空港)があるまちとしても知られている。
インタビュー
松下 高之
伊丹市
総合政策部 グリーン戦略室 主幹
松下 高之まつした たかゆき
インタビュー
本郷 春日
伊丹市
総合政策部 グリーン戦略室 主任
本郷 春日ほんごう はるひ

排出比率が高かった公用車。EV導入の意義は大きい

―伊丹市がEV導入に力を入れている背景を教えてください。

松下 当市では、今年3月に「伊丹市ゼロカーボンシティ宣言」を都市宣言として制定し、地球温暖化対策の5つの取り組み方針を打ち出しています。そのひとつが「移動手段の脱炭素化」であり、令和4年度から本格的に公用車をEVへと切り替えています。当市においてこの取り組みは、とりわけ意義の大きなものです。というのも、行政事務から生じる温室効果ガス排出量のうち、公用車が占める割合が近隣市町村と比べ高かったからです。また、市民においても自動車利用が多い地域特性があるため、市民、事業者への啓発効果も念頭に、公用車のEV化は優先度の高い取り組みと位置づけてきました。

―実際、どのようにEVの導入を進めてきたのでしょう。

本郷 一般の公用車においては、大型車両や特殊車両を除く約80台をEV化する方針で進めています。このうち約7割を占める軽自動車の更新にあたっては、航続距離や車体形状といった選定条件を検討しました。

松下 航続距離に関しては、大規模災害時に停電が発生した場合、復旧までに要するとされる3日間を、充電無しでも走行できること。車体形状に関しては、荷物の運搬などでよく使われる、いわゆる「軽商用車」が軽自動車の9割近くを占めていた関係で、これを置き換える場合は同等規模の荷室空間をもつ軽商用タイプであることは欠かせない条件となりました。これらの条件を満たせる市場で唯一の選択肢として、当市では、令和4年度に三菱自動車の『ミニキャブ・ミーブ』4台の導入を決めました。

ゼロカーボン・ドライブと、走行コストの大幅削減を実現

―軽商用タイプのEVは、ほかに選択肢がないと。

松下 そうなんです。そのため、かねてより注目しており、一時期一般販売が停止されていた間も、定期的に同社のお客様相談センターに問い合わせていたほどです。ですから、昨年10月の販売再開の発表に対しては、まさに「待ちに待った」という心境でした。

本郷 さらに三菱自動車では、乗用車タイプの軽EV『eKクロス EV』において、官公庁向けに機能を絞り込み、価格を抑えた「G-ビジネスパッケージ」をラインナップしていることも知り、こちらも2台導入を決めました。この計6台は市民啓発用のラッピングや啓発ステッカーを施し、今年3月までに納車を終え、実運用を開始しています。

―EV導入によってどのような効果を期待していますか。

本郷 昨年11月に開庁した本庁舎は、使用電力をすべて再生可能エネルギーで賄っているので、ここで使用するEVは走行時の温室効果ガス排出量を100%削減する、文字通りのゼロカーボン・ドライブを実現できています。走行コストでも、軽商用ガソリン車が1㎞あたり16円であるのに対し、軽商用EVは3~5円と、70~80%削減できる試算です。こうした効果に加え、市内を走行する際は、EVを目にする市民、事業者への啓発効果も大きいと感じています。

松下 導入にあたって同社からは、走行性能を活かす運用方法の提案などさまざまな支援を受け、庁内のEVに対する不安払拭に一役買ってくれました。災害時のEV活用法の提案もそのひとつで、今後は大規模災害時の停電対策という観点からも、EVの導入を精力的に進めていきます。

支援企業の視点
公用車へのEV導入②
温暖化対策のほか災害対策でも注目。EV導入の機は熟している

ここまで紹介した伊丹市における公用車へのEV導入。この取り組みを、EVメーカーとして支援したのが、三菱自動車である。ここでは、自治体がEV運用を成功に導くために、導入に際して重視すべきこと、さらには車種選定のポイントなどについて、同社国内営業本部長の石川氏に話を聞いた。

インタビュー
石川 善太
三菱自動車工業株式会社
国内営業本部長
石川 善太いしかわ ぜんた
平成3年、三菱商事株式会社に入社し、自動車第三部に配属される。アジア、欧州への三菱自動車製品の輸出・販売業務を経て、現地販社・ファイナンス会社などへ出向。令和2年より、三菱自動車工業株式会社 国内営業本部に着任。令和3年より、国内営業本部長を担う。

稼働率が高い軽商用車では、耐久性とサポート体制が重要

―自治体におけるEV導入の機運は高まっていますか。

 令和2年に政府が「2050年のカーボンニュートラル」を打ち出したのを契機に、先進的な自治体においては、地球温暖化対策の観点からEVを試験的に導入する動きが次々と具体化しています。温室効果ガス排出量の削減のみならず、従来のガソリン車に対して運用コストの低減に寄与する点も期待されています。

 また、近年頻発する自然災害によって各地で大規模停電が発生していますが、こうした災害対策の観点からも蓄電池としてEV、さらには発電機も載せたPHEV*の付加価値に注目する自治体は増えています。たとえ未導入の自治体であっても、EV導入で現場の業務がどう変わるのかを「理解しておくべき」という切迫感は、かなり広がっている状況は見られます。

―そうした状況のなか、自治体がEV導入を成功させるためのポイントはなんでしょう。

 まずは、用途を考慮したうえで、航続距離や充電時間といったEVの性能が、要求を満たしているかを見極めることが重要です。特に、自治体においては小回りの利く軽自動車の保有率が高いという特徴があり、なかでも荷室空間が広い軽商用車に対するニーズがきわめて大きいことは、伊丹市の事例が示しているとおりです。軽商用EVで国内メーカー唯一の量産実績をもつ当社の『ミニキャブ・ミーブ』が、現在全国の自治体から引き合いを受けているのは、そのためです。

 この軽商用車は、日常の稼働率の高さが特徴となる車種ですから、耐久性の高さやサポート体制の充実度が重要になります。当社では、平成21年に世界初の量産型EVを発売したリーディングカンパニーとして、製品の高い信頼性と強固な販売網を誇ります。さらに、新車登録後8年以内、かつ走行距離が16万㎞以内で駆動用バッテリー容量が66%を下回った場合、無償で修理・交換する補償を提供し、安心してEVを導入できるようサポートをしています。

*PHEV : Plug-in Hybrid Electric Vehicleの略。充電可能なハイブリッド車
*¹ *² : 三菱自動車調べ

官公庁向け低価格版を用意し、自治体における導入を支援

―そのほかにも、重要なポイントはありますか。

 EV導入に伴う環境負荷低減効果を見極めることも重要です。それは運用時の温室効果ガス排出量だけでなく、近年は製品のライフサイクル全体で環境負荷を評価したLCAを重視する動きもあります。当社の調べでは、車格の大きな車種(Cセグメント)ではPHEVが、軽クラスではBEV*がもっとも環境負荷が小さいことがわかっています。そのため、軽自動車ではEV、大型四駆車ではPHEVをラインナップする当社の製品戦略は、LCAの観点からも理に適っていると言えます。

―今後、自治体におけるEV導入をどのように支援していきますか。

 当社では軽商用EVのほか、乗用車タイプの軽EV『eKクロス EV』において官公庁向けの低価格版をラインナップするなど、自治体での利用が多い軽自動車カテゴリーを充実させ、自治体が導入しやすい提案を用意しています。さらに、伊丹市の事例にあるように、EVの特性や各団体の事情に合わせたオペレーションを提案するコンサルティングで、自治体のEV導入を支援できます。現在は、国の補助金制度も充実しており、まさにEV導入の機は熟しました。EVの導入を検討している自治体のみなさんは、ぜひ当社までお問い合わせください。

*BEV : Battery Electric Vehicleの略。ガソリンを使わず、バッテリーだけで動く車

三菱自動車工業株式会社
三菱自動車工業株式会社
設立

昭和45年4月

資本金

2,843億8,200万円

売上高

2兆4,581億4,100万円(令和5年3月期)

従業員数

2万8,796人(連結)

事業内容

自動車およびその構成部品、交換部品ならびに付属品の開発、設計、製造、組立、売買、輸出入その他の取引業など

URL

https://www.mitsubishi-motors.com/jp/

お問い合わせ先
製品に関する問い合わせ先
0120-324-860
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