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先進事例2023.02.24
災害備蓄食料の拡充

誰でも食べやすい「備蓄ゼリー」で、被災直後の混乱期を乗り越えよ

誰でも食べやすい「備蓄ゼリー」で、被災直後の混乱期を乗り越えよ

民間企業の取り組み

災害備蓄食料の拡充

誰でも食べやすい「備蓄ゼリー」で、被災直後の混乱期を乗り越えよ

ベル・データ株式会社 防災事業統括部 防災事業推進部 Bosai S&P 渡辺 大裕
[提供] ベル・データ株式会社

※下記は自治体通信 Vol.46(2023年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

災害時に重要なことの1つは、被災者への食料の迅速な配付だ。各自治体が災害備蓄食料の整備を進めるなか、自治体に対して防災・災害関連の支援を行っているベル・データの渡辺氏は、「近年は備蓄食料のラインアップが充実してきているが、被災直後の混乱期や要配慮者への備えが足りないケースがある」と話す。同氏に、自治体の災害備蓄食料に関する課題や、その解決策について聞いた。

ベル・データ株式会社
防災事業統括部 防災事業推進部 Bosai S&P
渡辺 大裕 わたなべ だいすけ

被災者にも避難所運営者にも、負担の小さい備蓄食料が必要

―自治体の災害備蓄食料には、どういった課題があるのですか。

 一つは被災直後の混乱期に対する備えが十分とはいえない点です。被災直後は、避難所や自治体職員が多忙を極めます。また、インフラが停止している可能性も高いです。そのようななか、水・電気・ガスを使う調理や、お湯・水などの準備が必要な食事は、避難所にとって大変な負担となります。もう一つは要配慮者への備えです。幼い子どもや高齢者、アレルギーをもつ人でも安心して食べられる食事が求められます。そこで、注目が集まっているのが、5年の保存が可能な「備蓄ゼリー」です。

―どんな特徴があるのでしょう。

 調理や準備が要らず、避難者の必要なタイミングで、すぐに食べられます。また、食感が柔らかく、水分なしでも食べられるため、老若男女問わず食べやすいです。たとえば、当社が普及に力を入れている、ワンテーブル社の『LIFE STOCK』シリーズや大正製薬の『リポビタンゼリー長期保存用』は、アレルギー対策済みなうえに、サイズも小さく、避難所で扱いやすい備蓄食料といえます。実際に避難所をはじめ、学校・保育施設や福祉避難所、自治体職員や帰宅困難者への配付用など、全国の自治体の1割以上で導入済みです。

―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。

 2月の「防災食品展」など、さまざまな場で災害備蓄に関する情報発信や、備蓄ゼリーの普及に努めます。また、自社開発や提携協業を通じ、避難所のQOLを高めるサービスや商品を広め、自治体の防災力向上に貢献していきます。

渡辺 大裕 (わたなべ だいすけ) プロフィール
昭和53年、埼玉県生まれ。平成27年にベル・データ株式会社へ入社。令和元年より新規事業開発に携わる。令和3年10月に新設された防災事業部へ異動し、現職。備蓄ゼリーをはじめ、防災商材の企画や開拓、提案などを担う。

備蓄ゼリーを導入した自治体の声

北海道余市町 総務部 地域協働推進課 主幹 岡 欣司
福岡県福岡市 防災・危機管理部 地域防災課長 小川 末男
神奈川県平塚市 平塚市立小学校 担当者
福島県国見町 企画調整課 総合政策係 主査 舟山 将
[提供] ベル・データ株式会社

北海道余市町
総務部 地域協働推進課 主幹
岡 欣司 おか きんじ

 アルファ化米を備蓄していましたが、お湯で10~15分、水で60分という調理が必要なため、被災直後の混乱期に提供する食料として不安を感じていました。そうしたなか、調理が不要で、必要なエネルギーをすぐに補給できる備蓄ゼリーを知りました。保存期限の長さなども踏まえて検討した結果、被災直後における備蓄食料については、アルファ化米から備蓄ゼリーへ換装していくことに決定しました。サイズが非常にコンパクトで、限られた保管スペースを有効に活用できる点にもメリットを感じています。

[余市町] ■人口:1万7,592人(令和4年11月末現在) ■世帯数:9,615世帯(令和4年11月末現在) ■予算規模:176億8,700万円(令和4年度当初) ■面積:140.59km2

福岡県福岡市
防災・危機管理部 地域防災課長
小川 末男 おがわ すえお

 導入のきっかけは、平成28年の熊本地震でした。福岡市ではまず、水やトイレットペーパー、おむつなどの物資を市民の方々と協力して、熊本市に支援物資として提供しました。その後に、被災地から「栄養補助食品」としてのゼリーもほしいという要望があり、支援物資に追加しました。その経験を通じて、災害時には栄養価が高いゼリーも必要であると感じ、備蓄を始めたのです。手軽に食べることができ、エネルギーもしっかり摂れるので、既存の備蓄食料を補強できたと感じています。

[福岡市] ■人口:163万2,773人(令和4年12月1日現在) ■世帯数:85万8,788世帯(令和4年12月1日現在) ■予算規模:2兆857億円(令和4年度当初) ■面積:343.47km2

神奈川県平塚市
平塚市立小学校
担当者

 平塚市の小学校29校では平成24年度以降、アルファ化米と水を備蓄食料として購入。通常は各小学校に備蓄しておき、年に1回、防災給食として提供していました。しかし、提供にかかる時間や、個包装ではないことによる配付の手間を課題と感じていました。備蓄ゼリー導入の決め手は、個包装であり、水分がなくても補給しやすい点、28品目アレルギーフリーである点、5年間は保存できる点などです。災害時に児童でも摂取しやすく、アレルギー対応が必要な児童も摂取可能である点を特に評価しました。

[平塚市] ■人口:25万7,733人(令和4年11月1日現在) ■世帯数:11万4,838世帯(令和4年11月1日現在) ■予算規模:2,064億880万円(令和4年度当初) ■面積:67.82km2

福島県国見町
企画調整課 総合政策係 主査
舟山 将 ふなやま しょう

 東日本大震災と原発事故の際には、飲用水がなかなか手に入らず、水で戻すタイプの備蓄食料は調理できませんでした。また、乾パンなどの粉ものは、食べると喉が渇きます。そのほかにも、栄養バランス、形状、味、誤嚥性肺炎やアレルギーへの対策など、既存の備蓄食料に課題を感じていました。そこで、水や電気がなくても誰でもおいしく食べられ、栄養バランスが良い備蓄ゼリーを導入したのです。子どもたちに配って備蓄の必要性や多様性について考えてもらうなど、防災に関する啓蒙活動にも活用しています。

[国見町] ■人口:8,415人(令和4年11月30日現在) ■世帯数:3,394世帯(令和4年11月30日現在) ■予算規模:85億2,498万円(令和4年度当初) ■面積:37.95km22

ベル・データ株式会社
設立 平成3年7月
資本金 3,000万円
売上高 104億円(令和3年9月期)
従業員数 257人(グループ全体・令和3年10月1日現在)
事業内容 インフラストラクチャーインテグレーター事業、システムインテグレーター事業、 クラウド・アウトソーシング事業
URL ■グループURL
https://www.bell-group.jp/
■URL
https://www.belldata.com/
お問い合わせ電話番号 03-5326-4362 (平日 10:00~17:00)
お問い合わせメールアドレス lifestock@belldata.co.jp
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