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先進事例2025.10.28

スポーツ・健康を通じたまちづくり 自治体事例|「ホッケー」を軸にした地方創生、国スポ開催を契機とした「スポーツのまちNAGAHAMA」、ダンスを活用した地域活性化

スポーツ・健康を通じたまちづくり 自治体事例|「ホッケー」を軸にした地方創生、国スポ開催を契機とした「スポーツのまちNAGAHAMA」、ダンスを活用した地域活性化

境町、長浜市、高知県のスポーツ・健康を通じたまちづくり自治体事例

国は第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(令和元年12月20日閣議決定)に従い、東京大会等の「スポーツ・レガシー」としてのスポーツによる地方創生、まちづくり(第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」においては、「スポーツ・健康まちづくり」と呼称)の各地のさらなる取り組みを促進するための推進体制を強化するとともに、全国で活用されている地方創生推進交付金、企業版ふるさと納税、地域おこし協力隊など国の施策の活用事例の周知を図りながら、スポーツ庁の主導の下、関係府省庁と連携・協力して、地域により特色ある「スポーツ・健康まちづくり」の創出を全国で加速化させています。

スポーツ庁では、令和3年度からスポーツによる「地方創生・まちづくり」に積極的に取り組もうとする自治体の取組計画を表彰する「『スポーツ・健康まちづくり』優良自治体表彰」(スポまち! 表彰)を実施しています。

「スポーツ・健康まちづくり」とは、スポーツや運動を通じて、交流人口の拡大や、誰でも日常的に出歩き、体を動かし、スポーツができる環境整備等に取り組むことによって、スポーツを活かして他の分野における地域課題の解決、多様性を尊重する社会づくりや地域経済の活性化等を図っていく取組を指します。

ここではスポーツ庁「スポまち! 表彰」を受賞した自治体の取り組みを紹介します。今回は、境町、長浜市、高知県のスポーツ・健康を通じたまちづくり自治体事例です。

「ホッケー」を軸にした地方創生|境町

茨城県 境町は「ホッケー」を軸として、地域おこし協力隊を活用しながら持続可能なスポーツを核としたまちづくりを進め、「健康増進」や「スポーツ移住」の促進等で成果を挙げています。公益社団法人 日本ホッケー協会によると国内のホッケー人口は約3万人とされています。

ホッケーを軸とした各種スポーツ施設等のハード整備や、地域おこし協力隊を活用した競技人口の拡大等のインナー政策、また移住定住に向けた子育て支援等のアウター政策などを実施してきた結果、減り続けていた町の人口が「下げ止まり」の状況に改善。今後、持続可能なまちにしていくため「下げ止まり」の状況から「現状維持」の状況へ、さらには「人口増」の状況へ転換していくために、「ホッケー」を軸として、一線級の地域おこし協力隊を活用しながら持続可能なスポーツを核としたまちづくりを進め、「健康増進」や「スポーツ移住」の促進等を図っていく方針です。

総合的な取り組み内容

ハード面では、社会資本整備総合交付金を活用して整備したホッケー場の活用や企業版ふるさと納税を活用して整備したクラブハウスの活用等に取り組んでいます。
町外向けのアウター施策として、スポーツ合宿や大会・イベントの誘致、スポーツツーリズムの促進、スポーツ移住サポート等を推進しています。

また、町内向けのインナー施策として、専門的な知識や技術を持った地域おこし協力隊の活用、競技人口の拡大活動、部活動の地域移行に向けた支援、施設利用を通じた幅広い世代の健康増進を進めています。

目標とポイント

目標
・移住定住の促進…社会増減数:158人増(令和5年度)→740人増(累積・令和6年度~令和9年度)
・交流人口の拡大…交流人口:約80万人(同)→約370万人(同)
・健康増進…ホッケー場延べ利用団体数:212団体(同)→940団体(同)

上記の達成を通じて「ホッケー」を軸に移住定住促進・交流人口拡大・健康増進等“地方創生”の実現を目標としています。

ポイント
①オリンピック基準の“本物”のホッケー場で、オリンピアンや日本代表等“一線級”の地域おこし協力隊による指導を実現:地域に根付いていなかったホッケー競技について、ゼロから施設整備を行い国内外の代表合宿やオリンピック事前キャンプ誘致、またオリンピアン等の人材獲得に成功。競技の普及活動にも取り組み、日本ホッケー協会より「公式ホッケータウン」に認定。
②豊富な子育て支援でスポーツ移住をサポート:スポーツ施策のほか、先進的な英語教育やPFIを活用した子育て世帯向けの住宅の整備等、様々な移住定住施策を展開

国スポ開催を契機とした「スポーツのまちNAGAHAMA」|長浜市

滋賀県 長浜市は、2025年(令和7年)「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」の開催を契機として、競技普及や地域団体の組織強化、スポーツ振興に取り組み、両大会の有形・無形のレガシーを確実に継承しながら、日本一の琵琶湖や自然環境、地域資源を活かした取り組みを通じて長浜市の魅力を向上し、広く発信する取り組み「スポーツのまちNAGAHAMA」プロジェクトを進めています。

この取り組みにより「地域資源の活用・地域活性化」「スポーツに取り組みやすい環境・子どもの体力向上」「スポーツを『する』『みる』『支える』『関わる』市民の増加」を図っていきます。

総合的な取り組み内容

対市外のアウター事業として、スポーツ合宿の誘致(市内スポーツ施設活用)、スポーツ大会・国スポ記念大会の開催(国スポ大会レガシー)を実施。対市内のインナー事業として、競技体験の活動(園・学校への訪問)、官民一体でスポーツ教室の開催(アスリートとの交流事業)等に取り組んでいます。

今後の施策・事業等として「スポーツ大会・合宿が長浜市で日常的に開催」「競技団体等との連携強化・実行体制の構築」「スポーツと長浜市の魅力を最大限に発信」を展開する方針です。

目標とポイント

目標
・官民一体となり地域資源や自然環境を活かした「スポーツ大会」や「スポーツ合宿」の誘致。
・競技団体等と連携し、開催競技を中心とした競技普及や競技団体の組織強化。
・スポーツを「する」「みる」「支える」「関わる」市民の増加や興味関心を高める。
・数値目標:スポーツ合宿の受け入れチーム数3チーム(令和5年度)→15チーム(令和10年度)

ポイント
①国スポ・障スポ開催の効果・魅力を最大限に活かし、「スポーツのまちNAGAHAMA」を確立する
②日本一の琵琶湖や雄大な自然環境、地域資源を活かした「スポーツ大会」「スポーツ合宿inながはま」の推進
③競技団体と連携し、園・学校への訪問による競技体験を実施し、安全で楽しいスポーツの魅力を伝える

ダンスを活用した地域活性化|高知県

高知県は、プロダンスリーグ「D.LEAGUE」に参画するプロダンスチーム「SEPTENI RAPTURES」と連携した地域活性化に取り組んでいます。

スポーツ振興の課題として、身近な地域で活動できるスポーツが限定されていること等がかねて指摘されているほか、中山間地域では日常的に活動拠点に集まって活動することに移動面での負担が大きい等の問題もありました。そこで、場所が限定されずに始めやすいダンスを活用したものです。

子どもたちが行いたいスポーツ(希望する種目)としてダンスが占める割合が高く、障がいの有無にかかわらず取り組むことができることもダンスを活用した理由です。

総合的な取り組み内容

ICTを活用し、プロダンスチーム「SEPTENI RAPTURES」がリモートで指導するダンスレッスン等を実施し、中山間地域の活性化に取り組んでいます。

また、高知といえば「よさこい祭り」で有名ですが、「よさこい祭り」のさらなる発展にも寄与することを目指しています。

目標とポイント

目標
・運動が好きな子どもの増加
・中山間地域における若者のスポーツ参加の拡大
・インクルーシブなスポーツ活動(障害の有無、年齢、性別、国籍などを問わず、誰もが一緒に楽しめる全員参加型のスポーツ活動のこと)の推進
・若年人口(34歳以下)の減少数(前年比)をゼロとする中山間地域の市町村の数の増加

これらを推進することで、「ダンスを通じて、子どもや若者、障害者が生き生きと輝ける地域づくり」を目標にしています。

ポイント
①身近な場所でやりたいスポーツができる場づくり (ダンスは場所が限定されず始めやすい)
②インクルーシブなスポーツ活動の拡大(ダンスは個人の能力に応じたパフォーマンスで楽しむことができる)
③デジタル技術の活用(リモートによるダンスレッスンで指導者不足を解消)

〈参照〉
スポーツ庁「『スポーツ・健康まちづくり』優良自治体表彰2024」
https://www.mext.go.jp/sports/content/20250129-spt_stiiki-000039992_22.pdf

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