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地域課題を解決するための「スマートシティサービス」自治体事例|藤枝市、大阪市、伊那市
先進事例2026.09.29

スマートシティサービス 自治体事例|災害ダッシュボード、オンライン申請ポータルサイト、モバイルクリニック

スマートシティサービス 自治体事例|災害ダッシュボード、オンライン申請ポータルサイト、モバイルクリニック

藤枝市、大阪市、伊那市のスマートシティサービス 自治体事例

各地でさまざまな取り組みが行われているスマートシティ。政府の施策におけるスマートシティは、グローバルな諸課題や都市や地域の抱えるローカルな諸課題の解決、また新たな価値の創出を目指して、ICT等の新技術や官民各種のデータを有効に活用した各種分野におけるマネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、社会、経済、環境の側面から、現在および将来にわたって、人々(住民、企業、訪問者)により良いサービスや生活の質を提供する都市または地域、と定義されています。
総務省では、都市が抱える多様な課題をデジタル技術やデータの活用によって解決し、地域活性化につなげるため、スマートシティを推進しており、その基盤となる「都市OS(データ連携基盤)」を活用したスマートシティの実装に取り組む地方自治体等を支援する「地域課題解決のためのスマートシティ推進事業」を関係府省と連携して実施しています。
ここでは総務省が作成した「地域課題を解決するためのスマートシティサービス事例集」より、自治体によるスマートシティの取り組み事例を抜粋して紹介します。
今回は、藤枝市(災害時の住民への正確な情報提供と避難支援)、大阪市(住民票取得や税金納付等の窓口サービス効率化)、伊那市(医療施設のアクセス難を解消する移動診療車を活用した遠隔診療)のスマートシティ自治体事例です。

災害時の住民への正確な情報提供と避難支援|藤枝市

静岡県 藤枝市では、市内の河川に水位計と公共施設に雨量計を取り付け、超音波や電波 (レーダー) により観測した雨量と水位をインターネット上に公開する「藤枝市水位・雨量観測システム」を構築しています。
LPWA(Low Power Wide Area-networkの略で省電力と長距離通信を兼ね備えた通信技術)を活用し、市内21地点(水位計17河川19地点、雨量計2地点) に設置した計測器からの情報データは、場所や時間に関係なく、いつでも誰でもスマホなどの情報端末機器を介して閲覧ができます。

「藤枝市水位・雨量観測システム」の画面

地域課題・背景

災害時に、迅速かつ一元的に情報把握を行う手段がなく、「住民から見て避難すべきタイミングが分からない」「情報がばらばらの媒体で表示されていると情報が錯綜し混乱が生じる恐れがある」ことから本システムを構築しました。

導入にあたって工夫した点

ICTによる地域活性化を目的とした産学官連携団体「藤枝ICTコンソーシアム」を設立したほか、民間通信企業と包括連携協定を締結。市内のほぼ全域をカバーするLPWA (Low Power Wide Area) 通信網を敷設し、「IoT (LPWA) プラットフォームを活用した実証実験事業 (公共テーマ型)」を契機にシステムを構築しました。
観測計器の設置にあたっては、国や県が設置し情報公開している水位計、雨量計をカバーするよう配置を検討するとともに、住民の避難行動のために必要とする地点に設置しました。
また、令和2年度より国の「スマートシティ先行モデルプロジェクト」により、市内中小河川の観測地点の水位・雨量データや気象データ等を用いてAIにより数時間後の河川水位を予測する実証実験に当該サービス提供者も参加したほか、住民の避難行動を促すとともに事前の水防活動の実現のため、予測精度向上のための実証実験に取り組みました。

住民票取得や税金納付等の窓口サービス効率化|大阪市

大阪府 大阪市では、本人確認はマイナンバーカードで、手数料支払いはクレジットカードによるオンライン決済を可能(事業者向け手続きに関してはGビズIDにも対応)とする「大阪市行政オンラインシステム」を構築しています。
手続きの進捗を見える化し、利用者自らマイページで審査状況を確認できるほか、審査ステータスの変更はプッシュ通知でお知らせすることもできます。

「大阪市行政オンラインシステム」の画面

地域課題・背景

住民は行政手続きのために開庁時間内に直接窓口まで出向かねばならず、待ち時間も発生するため不便であるほか、従来の電子申請システムでは簡易的な行政手続きしかオンライン化が実現できておらず、インターネット上での本人確認や手数料の支払い等に対応していないことから、本システムを構築しました。

導入にあたって工夫した点

まず「行政手続きの棚卸し」「電子申請システムの機能調査」を実施しました。
「行政手続きの棚卸し」では、半年ほどかけてすべての行政手続きに対し「その手続きはどんな根拠法令に基づくものか」「申請受付から交付までの事務処理や利用する業務システムは何か」「申請の対象者は誰か」「押印・決済は必要なのか」「処理時間はどの程度かかっているのか」等の業務特性を調査。
「電子申請システムの機能調査」については、「市が目指す次世代の電子申請システムにはどんな機能が必要なのか」「それは既存製品の機能で十分なのか」「新しい機能が必要なのかどうか」等を調査し、電子申請システムに求められる機能要件を整理しました。
そのうえで、上記調査結果をもとに「大阪市行政手続きオンライン化推進計画」を策定し、方針を明文化しました。
また、オンラインで行える申請や手続きが拡大するようBPR(業務改革)とシステムの機能拡充を推進しているほか、申請数が多い手続きや窓口に訪れることが難しい方に関係する手続き等から優先的に検討するとともに、窓口の混雑緩和や市民の手続き時間の短縮に向け、一部の窓口の手続きではパソコンやスマートフォンから必要な手続きを判定し、申請書入力ができる「スマート申請(オンライン上での手続き判定および事前申請入力)」も実現しています。

医療施設のアクセス難を解消する移動診療車を活用した遠隔診療|伊那市

長野県 伊那市では、医療機器を積んだ専用車両に看護師が乗り込み、患者宅へ出向いて、かかりつけ医との間でオンライン診療する「モバイルクリニック事業」を実施しています。
通信や診察環境の整った車内で看護師の補助で受診できるため、一般的なオンライン診療よりも安全で質の高い診察を行うことが可能とされるほか、医師はこれまで訪問診療のために要していた移動時間の短縮、患者および家族は通院や待ち時間の短縮につながっています。2020年からは遠隔服薬指導への適用も開始しています。

伊那市のモバイルクリニック事業の実施イメージ

地域課題・背景

特に中山間地域の医療環境は、医師・患者の両面で負担が大きいほか、医師不足で訪問診療がままならないだけではなく、医療機関の偏在により通院に多大な費用と時間を要する等の地域課題があり、その解決のため今回の取り組みを推進しています。

導入にあたって工夫した点

対象は、オンライン診療の保険適用範囲である「慢性疾患 (高血圧等)」で、今後、オンライン診療の保険範囲の拡大に伴い、対象も広げる方針です。
本格運用に先立っては実証実験を実施し、車両・運行予約システムの開発運用、多職種情報共有クラウドシステムの導入・運用、オンライン診療/服薬指導等の実行可能性を検証しました。
財源については、運転手を含めて車両の保守や運行経費等インフラにかかる「1階建て部分」を行政が担当、医療・看護・介護等のサービスにかかる「2階建て部分」を診療報酬、介護報酬等で運営しています。

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