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先進事例2026.08.23

森林環境譲与税の取り組み 自治体事例|台風被害を教訓とした災害に強い森林環境整備、学校等と連携した防風・防潮林整備、ニホンジカ対策事業で対策実施隊や県等と連携、地域産材を使用した木製品を新生児に配布

森林環境譲与税の取り組み 自治体事例|台風被害を教訓とした災害に強い森林環境整備、学校等と連携した防風・防潮林整備、ニホンジカ対策事業で対策実施隊や県等と連携、地域産材を使用した木製品を新生児に配布

佐倉市、伊江村、大子町、甲府市の森林環境譲与税の取り組み自治体事例

森林環境税および森林環境譲与税は、森林の有する公益的機能の維持増進の重要性に鑑み、市町村および都道府県が実施する森林の整備およびその促進に関する施策の財源に充てるため創設され、令和元年度に森林環境譲与税の譲与が開始されました。

森林環境譲与税の使途について、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法第34条の規定により、市町村においては、森林の整備に関する施策、森林の整備を担うべき人材の育成及び確保、森林の有する公益的機能に関する普及啓発、木材の利用の促進その他の森林の整備の促進に関する施策に要する費用に充てなければならないとされています。

そこで、林野庁がまとめた令和5年度の「森林環境譲与税の取組事例集(市町村・都道府県)」より、森林環境譲与税の取り組みについての自治体事例を抜粋して紹介します。

今回は、佐倉市、伊江村、大子町、甲府市の森林環境譲与税の取り組み自治体事例をお届けします。

台風被害を教訓とした災害に強い森林環境整備|佐倉市

千葉県 佐倉市では、令和元年の台風15・19 号の影響により、森林の風倒木や土砂崩れによる大規模停電、交通網の遮断といった甚大な被害を被ったことから、今後、同様の被害が発生しないよう、災害に強い森林づくりに取り組んでいます。このため、風倒被害が発生する可能性の高い森林の状況を把握するとともに、災害に強い森林となるような整備を進めていく取り組みを実施しています。

工夫・留意した点

市には林務専業職員がいないため、千葉県森林経営管理協議会や千葉県森林組合等と相談のうえ、仕様書や設計書の作成、伐採区域等を選定。森林所有者からの同意(伐採木の所有権放棄含む)を得るため、戸別訪問等を実施しました。
伐採後は景観に配慮し、中低木のヤマアジサイやコナラを植栽。風倒被害の再発防止に努めました。

取り組みの効果

インフラ施設周辺の森林整備を実施することで、台風等の自然災害による倒木による交通障害等被害の未然防止が図られるとともに、事業PR効果により未整備森林の解消が図られるほか、森林環境譲与税を活用した森林整備である旨を明示した看板を設置したことにより、地域住民等に対して、森林整備の必要性等の周知・啓発が図られています。

整備前(左)、整備後(中)、設置された看板(右)

事業費・実績

災害に強い森林整備

令和4年度に、災害に強い森林環境整備を進めていくことを目的に作成した「森林環境状況調査報告書」に記載されている15ヵ所の森林のうち、最も森林整備の重要度の高い森林の環境整備を実施
【事業費】984万5,000円(全額譲与税 )
【実績】市内南部地域にある高崎区のインフラ施設周辺の森林約1haの追跡調査(地権者同意)および伐採・搬出・伐採跡地への植栽の森林環境整備を実施

学校等と連携した防風・防潮林を整備|伊江村

沖縄県 伊江村では、戦後植栽した防風・防潮林も老木化が目立ち、季節風や台風等の影響で倒木又は危険木となり、自然災害を受けやすい状況となっていたことから、令和5年度に防風林・防潮林の重要性について理解を深めるイベントを開催し、村民等よる植栽を実施しました。

工夫・留意した点

植栽樹種には、防風・防潮の効果が得られる樹種(テリハボク、オオハマボウ、マサキ)を選定。平日のイベント開催でしたが、学校等と連携して、緑の少年団にも植栽体験に参加してもらえるようにしました。
また、各団体へも案内文を通知するなどイベント参加協力のお願いを行いました。

取り組みの効果

参加者からは防風林・防潮林の重要性や必要性の理解が深まったといった感想が寄せられたほか、農家の方々からはもともと防風林・防潮林の重要性の理解はあったが、実際に植栽する体験ができて良かったとの感想が寄せられました。

イベントの開催状況

事業費・実績

伊江村防風林の日事業

  • 令和5年11月16日の「伊江村防風林の日」のイベントにおいて、植栽を実施
  • 防風・防潮林の重要性について理解を深めるポスター掲示等も実施

【事業費】75万円(うち譲与税62万2,000円)
【実績】テリハボクなどを植栽400本(イベント参加者120人)

ニホンジカ対策事業で対策実施隊や県等と連携|大子町

茨城県 大子町では、近年、ニホンジカの目撃が増えており、林業被害を発生させないためにも、ニホンジカを定着・繁殖をさせないことが課題となっています。このため、センサーカメラ設置によりニホンジカの生息状況を確認した上で、巻狩りによる駆除を実施しました。

茨城県内ではニホンジカは大正時代を最後に絶滅したと考えられていましたが、近年、目撃情報が増加。ニホンジカは定着・繁殖すると、農林業や生態系に多大な被害を発生させることが報告されており、早期の対応が求められていました。

工夫・留意した点

①大子町鳥獣被害対策実施隊との連携
地元の大子町鳥獣被害対策実施隊に巻狩りを委託することにより、今後、個体数が増える場合に備え、協力体制の構築を図りました。

②茨城県および森林管理局との連携
茨城県からセンサーカメラを借用し、撮影場所を増設しました。また、茨城県および森林管理局で別途設置しているセンサーカメラの情報を関係者間で共有し、より広範囲に情報収集を行いました。

取り組みの効果

この巻狩りではニホンジカ1頭の捕獲に成功。センサーカメラの設置により、直近の生息状況の把握が可能になり、範囲を絞った効率的な巻狩りの実施につながりました。
また、大子町鳥獣被害対策実施隊の役員会への参加や、町内外の鳥獣被害対策の担当等との連携により、関係者間での情報共有等、協力体制の強化ができました。

センサーカメラの設置(左)、生息情報の調査(中)、巻狩り(右)

事業費・実績等

生息域調査
センサーカメラを設置し、生息情報を調査
巻狩り
大子町鳥獣被害対策実施隊が、上記の調査情報を活用し、林道3路線の範囲内で巻狩りを実施
【事業費】121万6,000円(全額譲与税)
【実績】センサーカメラを3台購入(県からの借上を含め8台設置)、巻狩りを3回実施し、1頭を捕獲

地域産材を使用した木製品を新生児に配布|甲府市

山梨県 甲府市では、同市が有する豊かな自然に小さな頃から触れ、木材への親しみや木の文化への理解を深めるきっかけとして、これからの甲府市を背負う子どものために「甲府市らしさ」をイメージした木製品を製作し、配布しています。

甲府市は「甲府市における森林環境譲与税の活用についての基本的な考え方」に基づき、森林整備や担い手の育成および確保、木材利用、普及啓発などに取り組んでおり、普及啓発に向けた取り組みとして、令和6年4月から新生児に配布する地域産材を使用した木製品「森の宝石ラトル」と「木糸ハンカチ」を製作しているものです。

木材との触れ合いを通じて木材への親しみや木の文化への理解を深め、木材の良さや利用の意義を学んでもらう「木育」の推進を掲げていることから、本取組を含む木育事業を開始しました。

森の宝石ラトル(左)、木糸ハンカチ(右)

工夫・留意した点

甲府市は世界有数の「宝石のまち」であることから、地域の特色を生かし、木製ラトルは宝石をモチーフにしたデザインとしました。
木糸は甲府市有林から搬出した間伐材のうち、小径木等の未利用材を有効活用して製作。木材利用を促進する意義やメリットについて説明するチラシも合わせて配布しています。

取り組みの効果

木製品の配布により「宝石のまち甲府」を好きになるきっかけとなるとともに、森を身近に感じることで、木材利用の促進などにもつながることが期待されています。

事業費・実績

【対象者】令和6年4月1日以降に甲府市の住民基本台帳に登録される新生児
【事業費】828万円(全額譲与税)
【実績】森の宝石ラトル(1,500個)、木糸ハンカチ3枚1,500セット

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