子育て支援 自治体事例|全天候型子ども遊戯施設を新設、既存施設を「科学と遊びの森」にリニューアル、大学跡地を「木育」をテーマとした複合施設に

燕市、長野市、三郷町の子育て支援自治体事例
2024年の出生数が初めて70万人を下回るなど、歯止めがかからないどころか、少子化が加速度的に進行しています。一方、地域における少子化対策を推進する上での課題に対応する有効な手段として“デジタル技術を活用した子育て支援”が考えられています。
そこで、デジタル田園都市国家構想交付金を活用した地方公共団体における妊娠・出産・子育てに関する取組を事例集としてまとめた「デジタル田園都市国家構想交付金を活用した妊娠・出産・子育てに関する取組事例集(令和5年12月)」(内閣官房 デジタル田園都市国家構想実現会議事務局)より、同交付金を活用した子育て支援の自治体事例を抜粋して紹介します。
今回は、燕市、長野市、三郷町の3つの子育て支援自治体事例です。
全天候型子ども遊戯施設を新設|燕市
新潟県 燕市は「子育てするなら燕市で」を掲げ、子どもたちの笑顔あふれる全天候型子ども遊戯施設整備事業により「燕市屋内こども遊戯施設『うさぎもち ハレラテつばめ』」(以下、ハレラテつばめ)を設置しました。
市内・近隣市町村の子どもたちが体を使って思いっきり遊べる全天候型の大型遊戯施設を整備することにより、市民の子育て満足度を向上させ、子育て世代の転出抑制に繋げるとともに、進学や結婚を機に転出した若年層等のUターン移住の促進を図ることが目的です。
ハレラテつばめは、①ひろば全体がベンチで囲われており、安心して遊ばせることができる「よちよちひろば」(主な対象:0~2歳)、②広々としたすべり台やロープのぼりなど、こどもに寄り添いながら遊ぶことができる「すくすくひろば」(同:3歳~5歳)、③クライミングやエア遊具など、チャレンジしたくなる遊具で楽しむことができる「わいわいひろば」(同:6歳~12歳)、④ハンモックやネットブランコで遊んだり、絵本を読んでくつろいで過ごすことができる「みんなのひろば」などで構成されています。

「うさぎもち ハレラテつばめ」のサイト(https://harerate-tsubame.jp/)
事業内容
本事業は、子どもたちの心身の健やかな成長に資することを目的に、天候に左右されることなく体を使って思いっきり遊ぶことのできる全天候型遊戯施設を建設するものです。
①大型遊具でダイナミックに体を使って、思いっきり遊べる施設、②ワクワクする科学実験などを通じて幼児期からSTEAM教育(Science、Technology、Engineering、Art、Mathematicsの頭文字を組み合わせた教育概念のこと)に触れられる施設、③障がいの有無に関係なく共に遊べるインクルーシブな施設の3つをコンセプトとしています。
多様な遊び場に加え、飲食スペース、おむつ替え専用スペース、授乳室、親が見守れるスペースを設置。多様な交流を促す工夫として、年齢や目的ごとにエリア分けし、障がいのある子もない子も、一緒に遊べるような工夫や、保護者同士が交流可能なスペースも備えています。

「うさぎもち ハレラテつばめ」の施設内部の様子
主なKPI
- 子育て施策を利用して移住した子育て世代の人数
- 子育て支援に対して満足と答えた人の割合(25~49歳)
- 施設の利用者数 等
既存施設を「科学と遊びの森」にリニューアル|長野市
長野県 長野市は「子どもたちの生きる力を育む」を掲げ、「『科学と遊びの森』ながのこども館整備事業」により「ながの子ども館『ながノビ!』」のリニューアルを実施しました。
既存施設を全天候型こどもの遊びの森にリニューアルしたもので、天候に左右されず、子どもを連れて安心して利用できる施設を整備することにより、子育て世代の移住・定住促進を図るとともに、子どもが遊びを通じて科学やデジタルに触れることによりデジタル社会形成への寄与を図ることを目的としています。

「ながノビ!」のフロアマップ
事業内容
本事業は、既存施設である築40年余りを迎える少年科学センターを活用して、新たな機能強化を図るものです。
遊びながら自然や動物への興味関心を喚起する空間や、宇宙をイメージした遊具により思い切り体を動かせる空間、科学体験やモノづくりができる設備、木を活用した遊具などを配置し、親子や子育て世代間での交流や遊びを通じて、豊かな感性を育む施設となっています。
また、常設のプログラミング体験や小学生向けの講座など本施設を活用したプログラムを実施。将来的なデジタル人材の育成にも効果が期待されています。

「ながノビ!」のサイト(https://naganobi.com/)
主なKPI
- 子育て世代(20~49歳)人口減少率(前年比)
- 入園者数
- 主催事業(プログラミング教室、サイエンスショーなど)参加者数
大学跡地を「木育」をテーマとした複合施設に|三郷町
奈良県 三郷町は、大学跡地を「木育」をテーマとした複合施設にリニューアルする「木育推進型インクルーシブ拠点整備事業」を実施しました。
奈良学園大学跡地に木育をテーマとした交流体験型ミュージアムや児童書を置いたライブラリーカフェ、障がい者アート等の展示ギャラリーなど、子育て世代を中心とした全年齢が楽しめる施設の整備を行い、施設での高齢者、障がい者雇用を通じて多世代交流の場とし、交流人口の拡大を図るとしています。
同施設にオープンした良質な木のおもちゃを展示する「奈良おもちゃ美術館」は2025年3月20日の開館から約5ヵ月で年間来館者目標の5万人を達成しました。

「奈良おもちゃ美術館」のサイト(https://toymuseum.lemonkai.or.jp/)
事業内容
同町は、大学跡地を「FSS35キャンパス」と銘打って活用し、「生涯活躍のまち」の推進や将来像の実現を図っています。
FSS35キャンパスの取り組みのひとつとして、キャンパスの7号館の一部を「木育推進型インクルーシブ拠点」に。具体的には1階を無料で入れるライブラリーカフェとし、約2,000冊の児童書等を置き、カフェやWi-Fiも完備し、地域住民の憩いの場になるとともに、子育て世帯の親にとっては、施設内で子どもが遊び、ライブラリーカフェで仕事やテレワークを行う等、働き方改革にも寄与します。
2階は、交流体験型ミュージアムとして、「木育」をテーマに木とふれあいながら歴史や文化、環境について楽しく学び、0歳から100歳までのすべての人が楽しめる施設としています。
主なKPI
- 交流人口(町外からの来館者)
- 木育型インクルーシブ拠点への入館者数(町内)
- 転入者数 等





