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LINEを介したごみ収集予約が「住民視点のDX」推進の起点に

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石川県金沢市の取り組み

住民サービスのオンライン化①

LINEを介したごみ収集予約が「住民視点のDX」推進の起点に

金沢市
環境局 ごみ減量推進課 家庭ごみ対策係 係長 田中 久範
環境局 ごみ減量推進課 家庭ごみ対策係 加藤 萌子
[提供] 株式会社Bot Express

※下記は自治体通信 Vol.42(2022年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

いま、多くの自治体がDX推進を掲げ、さまざまな業務のデジタル化を進めている。特に「行政手続きのオンライン化」は、住民サービスの向上にも直接つながる取り組みとして、注目する自治体が少なくない。金沢市(石川県)もそうした自治体のひとつで、ごみ減量推進課では、粗大ごみの有料戸別収集の申し込みをSNSのLINEで完結できる仕組みを構築した。取り組みの詳細について、同課の担当者2人に聞いた。

[金沢市] ■人口: 46万208人(令和4年8月1日現在) ■世帯数: 21万370世帯(令和4年8月1日現在) ■予算規模:3,700億5,884万5,000円(令和4年度当初) ■面積:468.81km2 ■概要:本州中央部の日本海側、石川県のほぼ真ん中に位置する。明治22年の市制施行以来、近隣町村との度重なる編入・合併によって市域を拡大し、平成8年には中核市に移行した。日本海側気候で、春や夏は晴天が続き、冬は曇りや雨の日が多く積雪もある。雪化粧した兼六園や長町武家屋敷跡などは、金沢ならではの情緒を醸しだし、湿潤な環境は伝統工芸である漆器や金箔の製造に適している。
金沢市
環境局 ごみ減量推進課 家庭ごみ対策係 係長
田中 久範 たなか ひさのり
金沢市
環境局 ごみ減量推進課 家庭ごみ対策係
加藤 萌子 かとう もえこ

粗大ごみの収集申請は、住民にかかる負担が大きい

―ごみ減量推進課ではどのような住民サービスを行っていますか。

加藤 私たち家庭ごみ対策係では、家庭ごみの分け方・出し方の案内や収集日の案内、粗大ごみの有料戸別収集の申込受付など、住民とかかわるさまざまな業務を行っています。なかでも、粗大ごみの有料戸別収集に関する業務は、住民に収集日の予約や「ごみ処理券」の購入といった負担をかけてしまうため、特にサービスの質が求められています。

田中 実際にこの業務では、住民サービスの質に関していくつかの課題を感じていました。

―どういった課題ですか。

田中 まず、住民は受付時間内に電話で申し込む必要があるのですが、引っ越しシーズンなど繁忙期は受付センターの回線が混み合い、「電話がなかなかつながらない」といった声を受けることがありました。また、住民は収集日までに市内の取扱店でごみ処理券を購入する必要があるため、「買いに行く手間がかかる」との声もありました。ごみ処理券が盗難される不安をもつ住民もいたそうです。

加藤 そうした課題を感じていたところで着目したのは、多くの人々が普段使いするLINEでした。そこで、LINE社のパートナー企業であり、自治体に特化したLINE拡張サービス『GovTech Express』を提供しているBot Express社に相談したところ、粗大ごみの収集申し込みに関するシステムを製品として開発していると聞きました。ほかの自治体での導入事例もあるとのことでした。そこで、段階的に導入準備を進め、令和3年6月には「分別自動応答機能」や「収集日通知機能」をLINE公式アカウント上に実装。そして令和4年1月には、「粗大ごみの有料戸別収集申し込み」機能を追加しました。

98%の住民が「便利」と回答

―住民はどのように申し込みを行えるのですか。

田中 ごみの品目や収集日、場所といった項目を、チャットボットの案内に従って入力するだけです。住民は時間帯を気にすることなく、使い慣れたLINEアプリで容易に申し込めるようになりました。特に、我々がもっとも画期的だと評価しているのは、住民がごみ処理券を購入する必要がなく、手数料のオンライン決済までLINE上で行える点です。ごみ処理券の購入が不要になったかわりに、住民は予約受付完了時に通知される番号と収集日を記載した紙を、粗大ごみに貼り付ければよいのです。

―オンライン化に対する住民からの反響はいかがでしょうか。

加藤 『GovTech Express』を使って実施したアンケート結果によると、「粗大ごみの有料戸別収集申し込み」を使った住民の98%が、この機能について便利だと回答しています。また、自由回答では、「ごみ処理券の購入が不要なので、時短ができた」「夜中でも申し込みができて助かった」と、高く評価する声が寄せられています。今回の機能実装によって、住民視点に立った「真のDX」を実現できたのではないかと感じています。

―今後の活用方針を聞かせてください。

田中 アンケートの自由回答には、「ごみ分別の検索でヒットするごみの名称を増やしてほしい」といった、機能の改善を求める意見もありました。そのため今後は、こうした住民の声を参考に機能のブラッシュアップを行い、より一層、住民の利便性を高めるようなサービスを追求していきます。また、LINEを活用した我々の成功事例を庁内の他部署にも発信することで、金沢市全体のDX推進にもつなげていきたいと考えています。


支援企業の視点

住民サービスのオンライン化②

「拡張ツール」を徹底的に活用し、「住民視点のサービス」の作り込みを

株式会社Bot Express 代表取締役 中嶋 一樹
[提供] 株式会社Bot Express

ここまでは、LINE公式アカウントの機能を拡張し、住民サービスの向上につなげた金沢市の取り組みを紹介した。このページでは、同市を支援したBot Expressを取材。行政手続きのオンライン化にLINEを活用する際のポイントについて、同社代表の中嶋氏に聞いた。

株式会社Bot Express
代表取締役
中嶋 一樹 なかじま かずき

LINEに実装する機能を、職員自ら開発できる

―住民サービスの提供手段にLINEを活用する自治体は多いですか。

 多いですね。LINEを有効な情報発信手段と捉え、LINE公式アカウントを開設する自治体は増えています。LINE公式アカウントでは基本機能として「リッチメニュー*1」を設置できるため、LINEを「入り口」にしてほかのWebサイトやWebサービスへ住民を誘導する活用も見られます。ただ、LINEの強みをさらに活かすには、いわゆる「拡張ツール」を導入し、さまざまな機能を実装することをおすすめしています。

―それはなぜでしょう。

 住民が「行政手続きの申請」や「予約」などをLINE上で完結できるようになるからです。LINEは本来、操作に迷いにくいUIも強みであり、一般的なWebフォームと比べて行政手続きを3倍早く完了できたという実験結果もあります。複雑なイメージがもたれる行政手続きを、「こんなに簡単に済ませられるんだ」と住民に思ってもらえるようにする。そうした、住民が利便性を実感できるDXも、LINEと拡張ツールの活用で実現できるのです。ただし、その際はツール選びが重要になります。

―ツール選定のポイントを教えてください。

 ポイントは2つあります。1つ目は、LINEに実装できる機能が豊富なことです。たとえば当社の『GovTech Express』では、「住民票の申請」など汎用的な機能を実装できるうえ、職員自ら機能を開発することもできます。「公的個人認証サービスとの連携」などさまざまなコンポーネント*2を組み合わせることで、機能は柔軟に増やせます。機能の修正や追加に費用は発生しないため、住民視点に立ったサービスをいくらでも作り込めるのです。

―もう1つのポイントはなんでしょう。

 ツールのベンダーが「真の住民サービス向上」に向けて伴走してくれることです。住民が利便性を感じるサービスを作り込むには、各業務のルールやニーズに合った細やかな機能開発が求められますが、そうした開発を自ら行うことに不安を感じる職員もいるでしょう。そこで当社は、職員が開発を自走できるようになるまで、職員と一丸となってサービスの構築と改善をサポートします。

ニーズに合った機能実装を、伴走支援のもとで実現させる

―具体的にどういったサポートが可能ですか。

 金沢市も導入している「粗大ごみの有料戸別収集申し込み」機能を例にあげましょう。この機能は、申請から決済まですべてをLINEで行えるのが特徴で、住民サービスの向上にくわえ、職員の業務効率化にも期待できる点から、多くの自治体から注目されています。ただし、決済をオンライン化する部分は、手数料の徴収に関する制度面に依存する仕組みのため、そのまますべての自治体で活用できるわけではありません。そこで我々は、各自治体の制度やニーズに合わせて緻密にカスタマイズすることで、自治体が機能実装の成果をしっかりと得られるよう支援します。これは、『GovTech Express』のプラットフォームとしての柔軟性と、徹底した伴走支援体制があってこそできることなのです。

―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。

 当社は、テクノロジーの活用を通じて人々の暮らしをより豊かにすることを重要なコンセプトとして事業を展開しています。そのため、『GovTech Express』を自治体に納入いただいた後からこそ、我々の支援は始まると考えています。当社と一緒に、住民視点に立ったDXを追求したい自治体のみなさんは、ぜひご連絡ください。

中嶋 一樹 (なかじま かずき) プロフィール
昭和53年、大阪府生まれ。平成13年に大学を卒業後、一貫してエンジニアを務める。日本オラクル株式会社、株式会社セールスフォース・ドットコム(現:株式会社セールスフォース・ジャパン)、LINE株式会社などを経て、平成31年に株式会社Bot Expressを設立、代表取締役に就任。

株式会社Bot Express
設立 平成31年2月
資本金 1億円
従業員数 7人(令和4年7月現在)
事業内容 官公庁専用対話型アプリケーション『GovTech Express』の開発提供
URL https://www.bot-express.com/
お問い合わせメールアドレス hello@bot-express.com
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