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《連載企画・国と地方の未来共創 第1回》自立した地域経営を目指す、自治体の未来戦略
先進事例2026.06.08
災害用水洗トイレの設置

【避難所・災害用トイレ】井戸式災害用水洗トイレの設置が、避難時の生活用水確保の活路に
災害用水洗トイレ / 井戸屋

[提供] 株式会社井戸屋
【避難所・災害用トイレ】井戸式災害用水洗トイレの設置が、避難時の生活用水確保の活路に(災害用水洗トイレ / 井戸屋)
この記事の配信元
株式会社井戸屋
株式会社井戸屋

※下記は自治体通信 Vol.74(2026年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

大規模災害が発生した際、避難所におけるトイレ環境の悪化が、被災者の健康に悪影響を及ぼすとして、国土交通省は災害用水洗トイレの設置を推奨している。そうしたなか、茅ヶ崎市(神奈川県)では、地元企業から寄贈された、井戸を活用する災害用水洗トイレをはじめ、さらなる環境整備を検討しているという。いったいなぜ、井戸式の災害用水洗トイレに着目しているのか。その理由と取り組みの現状について、同市担当者の2人に詳しく聞いた。

[茅ヶ崎市] ■人口:24万5,260人(令和8年4月1日現在) ■世帯数:11万149世帯(令和8年4月1日現在) ■一般会計予算:970億5,000万円(令和8年度当初) ■面積:35.70km² ■概要:湘南エリアのほぼ中心に位置する約6km四方のコンパクトな市域に、海や里山、商業地区など多様な地域資源がバランスよく配置されたベッドタウン。加山雄三や桑田佳祐をはじめ、多くの有名アーティストを輩出した街としても知られる。英情報誌『MONOCLE』が選ぶ「世界のベストスモールシティ25」で第5位に選ばれたこともある。
インタビュー
成瀬 圭
茅ヶ崎市
くらし安心部 防災対策課 課長
成瀬 圭なるせ けい
インタビュー
山ノ上 太郎
茅ヶ崎市
くらし安心部 防災対策課 課長補佐
山ノ上 太郎やまのうえ たろう

携帯トイレ中心の整備には、衛生面の悪化が懸念される

―避難所のトイレ対策をどのように進めていますか。

成瀬 当市では、災害時でも日常に近い環境で安心して使用できるトイレの整備を目標に検討を進めています。現在、洋式便器に取り付けて使用する携帯トイレを中心に、組み立て式簡易トイレや、汲み取り式仮設トイレを備蓄していますが、避難生活が長引けば、膨大な量の使用済み袋が発生するうえ、仮設トイレなどでは、排せつ物が一定期間貯留されるため、衛生面の悪化も想定されます。

山ノ上 不衛生なトイレは感染症を招くばかりか、避難者が利用を避けるために水分摂取を控えることでエコノミークラス症候群などの健康被害を引き起こし、災害関連死にもつながります。そうしたなか、本市で整備している災害用井戸を活用した災害用水洗トイレシステム『iDotec Toilet』は、衛生面において有用性の高いトイレシステムだと感じています。

―どのようなトイレなのですか。

山ノ上 このトイレは下水道管路にあるマンホールの上に便座を設けたうえで、井戸で汲み上げた地下水を利用し、排せつ物を下水道に流す仕組みです。令和3年7月に開発元の井戸屋社から寄贈を受けた後、実物を体感したのですが、つねに便器を水で洗い流すうえ、便器が陶器製で床面もコンクリートなので、トイレ内の清掃が容易です。そのため、避難生活が長期化しても、トイレの衛生環境を維持できると期待を寄せています。

成瀬 加えて、このシステムは、災害時における生活用水の確保にも寄与できると考えています。

災害用井戸があれば、生活用水を大量に確保できる

―詳しく聞かせてください。

成瀬 災害時には、各種備蓄や支援物資、飲料水兼用貯水槽や給水車からの応急給水等による、飲用水の確保が想定されています。その一方で、特に断水が長期にわたる場合は、避難生活において不可欠な洗濯や風呂、トイレ等に必要となる量の生活用水*の確保が困難となることも想定されます。しかし、国の「災害時地下水利用ガイドライン」で示される災害用井戸があれば、断水時であってもほぼ際限なく取水でき、洗濯や洗い物もできる貴重な生活用水が確保できます。そのため、トイレにも生活用水にも使える『iDotec Toilet』は、住民の命と健康を守るための活路になると考えられます。

山ノ上 私は、能登地震の被災地に赴き給水支援に携わりましたが、そこでは「とにかく飲料水や生活用水の確保が大変だった」という切実な声が多く聞かれました。この教訓に基づき、安定した水源の確保は、当市でも喫緊の課題だと認識しています。設置場所の選定やコスト面など課題はありますが、交付金などの活用も視野に検討し、災害時でも日常に近いトイレ環境の整備を目指していきます。

*洗濯や風呂、トイレ等に必要となる量の生活用水 : 一般的に1人あたり1日平均200L程度は必要だとされる

支援企業の視点
避難所におけるトイレの衛生管理は、住民の命に直結する重要課題
インタビュー
綾 久
株式会社井戸屋
代表取締役
綾 久 あや ひさし
昭和22年、広島県生まれ。茅ケ崎高校卒業後、國學院大学に入学。空手部に4年間在籍、単位が取れず家業を継ぐため昭和46年に土木工事会社・三和工業株式会社に入社し、平成9年に社長就任。一方で、平成8年、阪神淡路大震災の視察で井戸の重要性を知り、井戸工事専門の株式会社井戸屋を創業。現在に至る。

―避難所におけるトイレの現状をどう見ていますか。

 阪神淡路大震災から能登半島地震まで、すべての大規模震災地を視察してきたなか、多くの女性が悲痛な思いでトイレの問題を訴えていました。東日本大震災では「教室にタライを置いて用を足し、恥ずかしかった」、能登半島地震では「被災から13日間もトイレがない生活で本当に辛かった」と、直接お聞きしました。避難所にトイレがなかったり、汚くて使いたくなかったりしたため、トイレを我慢し水分を取らず、活動を控えることでエコノミークラス症候群を発症した多くの女性が震災のたびに命を落としています。せっかく震災から助かった命をトイレ問題で失う悲劇を少しでもなくしたいと思い、当社は井戸を活用した災害用水洗式トイレシステム『iDotec Toilet』を開発しました。現在、1都5県の各所に設置されています。

―特徴を教えてください。

 おもに井戸を利用し、トイレ内の手押しポンプを押すと陶器製の便器に水が流れ汚物を排出するという点が特徴です。床もコンクリート製で水洗いしやすく、テントもアンカーで固定し、風で倒れることもないので、女性でも安心して利用できます。加えて、清潔な井戸水は、手洗いやうがい、歯磨きにも使えるため、避難所の生活用水を確保できるだけでなく、感染症予防にも効果的です。

 当社では、井戸工事やマンホールトイレの設計図面、見積りなども提供します。今後も被災者の切実な声を全国に届け、その解決に貢献していきます。

株式会社井戸屋
株式会社井戸屋
設立

平成8年9月

資本金

4,000万円

事業内容

災害用水洗トイレ『iDotec Toilet』の開発・提供、井戸堀工事、井戸ポンプ設置工事、井戸清掃など

URL

https://idoya.jp/

お問い合わせ先
0120-11-3286(平日 8:30~17:30)
info@idoya.jp
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