【夏・熱中症対策】「過酷化する現場」に対応するため、長年着用し続けた防災服を見直した
(防災服 / ミズノ)


※下記は自治体通信 Vol.67(2025年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
長年同じ防災服を着用し続けてきた自治体が、リニューアルするケースが増えている。自然災害の激甚化・頻発化や、猛暑日の増加といった近年の『過酷化する現場』への対応が求められているためだ。徳島県と川越市(埼玉県)も新しい防災服を導入し、その効果を実感しているという。それぞれの自治体の担当者に、防災服を見直した経緯と具体的な効果を聞いた。

前の防災服は経年劣化が進み、重たくて動きづらかった
―防災服を見直した経緯を教えてください。
以前着用していた防災服は導入から約20年経っており、経年劣化が進んでいるほか、職員から「重たくて動きづらく、特に夏場はキツイ」といった声が聞かれていました。そこで、令和5年6月頃から見直しの検討を始めたのです。重視したのは、過酷な現場であっても軽くて動きやすいことや緊急時にすばやく上着だけでも羽織れるジャケットタイプであること、エコ素材であること、視認性などです。それらの条件を満たしていたミズノ社の防災服を選定し、令和6年10月に導入しました。
―導入後、職員や住民からの評判はいかがですか。
職員たちは、「軽くて動きやすいからずっと着ていられる」と、機能性を高く評価していました。上着だけで羽織れる気軽さも好評です。昨年11月に総合防災訓練を実施した際、住民にお披露目したのですが、「落ち着いた色で安心感がある」と好意的でした。当県のイメージカラーである藍色を採用しつつも、背中の「徳島県」の文字は反射プリントの工夫がなされており、作業時でも視認性は高いと実感しています。


新しい防災服は、住民への公助にも貢献
―防災服を見直したそうですね。
はい。以前の防災服は、導入してからかなりの年月が経過していました。伸縮性がなくて動きづらいうえに、災害活動時に川越市の職員だと一見してわかりにくいという課題がありました。また、雨天時には、防災服の上にカッパを着て作業をすると通気性が悪く、特に6~10月は体力を消耗し、作業を行う職員の安全面にも課題がありました。そこで、令和4年度から防災服の見直しを検討し始めました。これらの課題を考慮した仕様を盛り込み、入札を行った結果、ミズノ社の防災服を選定し、令和5年9月に導入しました。
―以前の防災服との違いはいかがでしょう。
動きやすくて快適性に優れ、夏の猛暑日でも作業しやすい点は、大きな違いだと実感しています。また、雨天時に使用して濡れた防災服が、洗濯してひと晩で乾くことには驚かされました。さらに、以前は胸に小さく「川越市」と書かれているのみでしたが、現在は背中にも大きく記されており、視認性も向上しています。これらは災害時の機動力向上にもつながり、住民への公助にも貢献するものだと感じています。


―防災服を見直す自治体は増えているのでしょうか。
増えています。昨年、能登半島地震の派遣に参加した自治体は、現場での動きづらさや視認性の乏しさなどの課題を体感し、見直す契機になっているようです。それ以前からも、長年着用されている防災服は厚手の生地のものが多く、作業効率の低下などが課題でした。さらに近年、猛暑での作業は職員の身に危険をおよぼすほどです。これまで自治体の防災への予算は、保存食や防災設備などでの編成がメインだったと思われますが、そうした経験から防災服の見直しの優先度が上がってきたと感じます。
―見直す際のポイントはなんでしょう。
やはり過酷な現場であっても、職員の機動力を保ち続ける快適性や通気性などは重要です。当社は、スポーツメーカーであり、スポーツウエアも幅広く取り扱ってきました。その開発経験で培ったノウハウを活かし、動きやすさや軽さ、速乾性、快適性、通気性などに優れた防災服を提供しています。
―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。
時流に合った防災服の提供で、職員の安全や災害時における住民対応の向上を支援できればと思います。今年6月には、厚生労働省が民間事業者へ、熱中症対策を罰則つきで義務化しました。それほど、熱中症は深刻な社会問題としてクローズアップされています。この状況に対応するためにも、長年変更のない防災服の見直しは必須と言えます。関心のある自治体の方々は、一度お問い合わせください。

創業 | 明治39年4月 |
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資本金 | 261億3,700万円(令和6年3月31日現在) |
従業員数 | 3,584人(連結:令和6年3月31日現在) |
事業内容 | スポーツにかかわる製品の製造・卸売・販売、各種スクール事業の運営など |
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