【官民連携・5G】民間連携を促し通信環境を整備。まちの魅力を高めるインフラに
(民間アセット開放 / 東京都デジタルサービス局)

※下記は自治体通信 Vol.71(2026年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
住民のQOL向上や持続可能な地域社会の実現に向け、多くの自治体がスマートシティの推進や先端デジタル技術の活用に取り組んでいる。その基盤となるのが通信インフラだ。東京都では「スマート東京」の実現を目指し、第5世代移動通信システム(以下、5G)網の構築拡大に取り組んでいる。なかでも、その基盤となる高速で安定した通信インフラ整備に民間資産の活用という新たなアプローチを導入し、成果を上げているという。取り組みの詳細を、東京都デジタルサービス局の2人に聞いた。


5G基地局の設置は、場所の確保と交渉が課題
―5G網の構築拡大に取り組んでいる背景を聞かせてください。
小嶋 デジタルの力で都民がより豊かな生活を送る「スマート東京」を実現するには、質の高い通信インフラの整備が不可欠です。そこで、複数の通信手段を適材適所で活用し、いつでも、誰でも、どこでも、何があっても「つながる東京」を目指しています。この取り組みの一環として、高速・大容量・低遅延の特徴を持つ5Gを基幹インフラとして構築拡大し、まちの魅力向上や、東京のさらなる成長につなげようとしているのです。しかし、そこには課題も存在します。
―どのような課題ですか。
小嶋 5Gには、電波の届く範囲が狭く障害物に弱いという特性があるため、広範囲をカバーするには、より多く、面的な基地局の設置が必要です。しかし、通信事業者が基地局設置の候補ビルの所有者を特定し、交渉につなげていくには、多大な時間と労力を要します。
石川 こうした課題を解決するため、都は基地局設置に利用できる民間所有の建物・土地の情報を通信事業者に提供する「民間アセット開放」に着手しました。「まちづくりとの連携」と「既存のビル等建築との連携」の2軸でアプローチし、デベロッパーなどの「まちづくり事業者」や物件所有者と、通信事業者をつなぎ、基地局の設置を促す取り組みです。
―具体的にどういったことを支援しているのでしょう。
石川 「まちづくりとの連携」では、建築物の計画段階から通信事業者が参画し、屋外5G通信環境のエリア設計に早期に着手できるよう、まちづくり事業者・物件所有者と通信事業者の連携を支援しています。たとえば、都内の都市計画決定済みの公開情報を「再開発リスト」としてまとめ、通信事業者に展開しています。「既存のビル等建築との連携」では、都が通信事業者からの問い合わせなどを受け付けるワンストップ窓口となり、マッチング支援を行っています。
1,000件以上の物件情報を、通信事業者へ提供済み
―取り組みにより、どのような成果を得ていますか。
石川 説明会などを通じ、「ビル周辺の良好な通信環境の実現」や「建物の空きスペースの収益化」といったメリットを伝えた結果、35社のまちづくり事業者から賛同を得て、再開発リストへの掲載やアセット開放が進みました。その結果、令和7年11月末時点で、再開発案件等で4件のマッチングが実現し、さらに基地局設置に利用できるアセットとして1,000件以上の情報提供をいただきました。こうした取り組みが通信環境整備を一層進め、都民のQOL向上を図る土台になると考えています。
―通信インフラ整備をめぐる今後の展望を聞かせてください。
小嶋 これまで東京都で培ってきた知見と経験をほかの自治体に展開していくとともに、ほかの自治体の取り組みからも多くの学びを得て、自治体間の連携を強化していきたいと考えています。そうしていくことで、「通信品質の安定化」や「新たなサービスの創出」などを通じ、まちの魅力向上を全国に広げていきたいと考えています。多くの自治体と議論を深め、互いに発展していきたいですね。


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