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「難しくて冷たい」を変えていく!

    「難しくて冷たい」を変えていく!

    【自治体通信Online 寄稿記事】
    三重県流「あったかいDX」の全記録~新卒入庁職員の成長ストーリー~ #1(三重県 デジタル社会推進局/同局職員・中濵 佑希乃)

    自治体職員の間ですっかり日常語となった「自治体DX」。多くの自治体が多様な取り組みを推進しています。そうしたなか、自治体DXについてさまざまな「自治体初」の取り組みに挑戦しているのが三重県。どのような想いでDXを通じた新しい地域づくりに奮闘しているのか、同県職員にその“内情”を連載してもらいます。レポートするのは、新卒入庁職員で三重県デジタル社会推進局に所属する中濵 佑希乃(なかはま ゆきの)さん。同局は「県民の皆様一人ひとりにデジタル技術の恩恵が行き渡り、だれもが住みたい場所に住み続けられる三重県」を目指しています。新卒入庁職員らしい住民目線に近いフレッシュな感性で“自治体DXの最前線”をお届けします。

    三重県デジタル社会推進局

    皆さん、初めまして。中濵佑希乃(なかはま ゆきの)と申します。

    私は今年(2021年)4月、三重県職員になりました。

    とにかく、いろいろあって「住んでいる全員が幸せを感じられる三重県」を作りたい! と三重県職員を志し(詳細は下のコラム 1にまとめました)、めでたく合格できた私ですが、3月に電話で通知された配属先は「デジタル社会推進局」。

    それは、業務研究では聞いたことのない部局でした。

    デジタル社会推進局は、私の入庁と同じく今年(2021年)の4月に新設された部署でした。課長(電話をしたときは通話相手が課長とは知りませんでしたが)から「デジタル社会推進局の主事として4月から働いてください」と言われたときは、内心、『そんな部署、三重県にあったっけ?』『何するところ?』と思いながらとりあえず「それは本庁ですか?」と聞きました(本庁でした)。

    配属先の通知を受けた私はとりあえず局の名前をググりました。4月設立の部署のため、課長から入庁後の配属先がデジタル社会推進局になったことを電話で教えていただいた3月時点でネットに上がっている情報には限りがあり、「公募で常勤のCDO(Chief Digital Officer/最高デジタル責任者)を設置したこと」「“あったかいDX”を目指していること」だけが分かり、その他はほとんど何も分かりませんでした。

    入庁前の期間に、DXという言葉の定義や、業務に関連していそうな用語を調べたり、プログラミングができる友人に話を聞いたり(文系脳ゆえほとんど理解は出来ませんでしたし、実際の業務でプログラミングはしませんでした)、自分なりにできる努力はしましたが、正直何をする部署なのか具体的なことは謎のままでした。

    長くなりましたが、以上が入庁前の私の紹介です。

    コラム その1~三重県職員を志望した理由
    就職前は大学で、ヨーロッパの文化や社会について学んでいました。
    高校を卒業して、晴れて大学生となった4年前の私は、海外旅行と国際交流に明け暮れていました。海外でのフィールドワーク・国際交流サークルでの活動・ホームステイの受け入れ・留学生とのシェアハウス…などを通して、それまでは全く気にしたこともなかった、“自分とは全く異なる価値観”に触れ、その経験をもとに、「固定観念に囚われず、小さなSOSを聞き逃すことなく、全ての人が幸せを感じられる社会を作ることに貢献したい」という思いで行政職員を志望しました。
    小学校・中学校・高校・大学、とずっと三重県に住んでいたので、就職では三重県を出て東京に行きたい(都会へのあこがれ)と思っていましたが、先述した国際交流の経験を積む中でだんだんと自分が過ごしてきた地域の良さを実感し、県職員になることに決めました。
    三重県には本当に、いいところがたくさんあります。この記事を読んでくださっている方にも是非訪れてほしいので、いくつかおすすめスポットとおいしいお店をご紹介…! したいところですが、話がだいぶ逸れてしまいそうなので今回は見送ります。

    さて、入庁して3か月と少しが経ちました。この3か月でいろいろな業務を経験させていただき、デジタル社会推進局(以下「デジ局」という)のこともだんだんと分かってきました。

    それではまず、デジ局という組織について簡単にご説明させていただきます。

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    三重の県章(左)と三重県DXシンボルマーク(右)

    デジ局では「ビジョン・ミッション・バリュー」を定めて、局全体で共有しながら業務を進めています。

    三重県のデジ局のビジョン(実現したい未来)は、「誰もが住みたい場所に住み続けられる三重県」です。デジ局では、このビジョンを達成するためにデジタルを横串に部局という垣根を越えて、企業や県民も巻き込んで一体となってDX推進をしています。

    デジ局のトップはCDO兼局長であるDENさん(みんなからそう呼ばれています)こと田中淳一さんです。局長は全国で初めて公募で民間から選ばれ、常勤のCDOになりました。

    CDO兼局長のDENさんと、副CDO兼副局長の横山啓さんが率いるデジ局には3つの課があります。

    ①デジタル戦略企画課
    私の所属課です。デジ局の総合調整機能を担っています。局の取りまとめとCDOのサポート体制の構築、県全体のDX推進の方向性の取りまとめやマイナンバー制度の運用、計画類の管理・策定・会議運営などがデジタル戦略企画課の役割です。

    ②スマート改革推進課
    行政のスマート改革を担っています。県庁のスマート改革を推進したり、市町のデジタル化に関する連携・支援を行っています。また、情報基盤の整備やシステム運用もスマート改革推進課の役割です。

    ③デジタル事業推進課
    社会全体のDXの推進を行う、” 攻め“の部署です。空飛ぶ車やドローンといった最先端技術の実証実験、デジタル人材育成やデジタル社会のインフラ整備などがデジタル事業推進課の役割です。

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    三重県デジタル社会推進局の3つの課

    デジ局は、県庁内の他の部局とは違う点がたくさんあります。その違いについては追々詳しく書くことにして、今からはこの連載記事の題名でもある「あったかいDX」について紹介します。

    「あったかいDX」

    デジ局のミッション(果たすべき使命)は、“みんなの想いを実現する「あったかいDX」”です。

    DX、デジタル化、と聞くとどうしても難しいというイメージがあります。また、AIなどに対して冷たいというイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。三重県では、DXに対する難しい・冷たいといったイメージを払拭し、県民の皆様と一緒に、誰一人取り残すことなくDXを推進して、デジタルの力で三重県の未来をもっと良くしていこう、という目的のもとに、「あったかいDX」をミッションとして掲げています。

    家庭、職場、地域のDXによって今より便利で住みやすくなった三重県で、新たな挑戦が生まれる環境を創出すること、それが、ビジョンである「誰もが住みたい場所に住み続けられる三重県」を実現するためのデジ局としての使命なのです。

    私はデジタル社会について触れたこともかじったことも全くありませんでしたが、この「あったかいDX」というミッションの説明を受けたとき、この課に配属されてよかったと思いました。私の志望動機と、この局の目指しているところがすごく似ていたからです。

    「あったかいDX」による「誰一人取り残さないデジタル社会形成」。「誰一人取り残さない」ということは、行政にとっていつも必ず意識しなければならない問題だと思います。

    しかし、実際文字通り「全て」の人に配慮していくのは気が遠くなるくらい難しいということは新人の私でも分かります。それでも、行政が一人ひとりを大切にし、奮闘し、努力している姿勢を見せ続けることで、だんだんと県民の皆様にもその熱意が伝わり、最終的には行政が引っ張っていくのではなく、県も企業も県民も、「みんな」で三重県をよくしていくことができると私は信じています。

    綺麗ごとかもしれませんが、この気持ちを忘れることなく、全力で「あったかいDX」を進めていきたいです。

    「あったかいDX」の大まかな趣旨としましては、以上でご説明させていただいた通りですが、何が「あったかい」のかは一人ひとり違うと思います。

    次回の記事から、「あったかいDX」について、デジ局のメンバー(50人います)へのインタビューを毎回少しずつ載せていきたいと思っていますので是非お楽しみに。

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    デジ局の廊下に掲示されているメンバーたちの寄せ書き。右のぬいぐるみは三重県応援キャラクター 兎の助(うさのすけ)
    コラム その2~この連載への想い
    私が自治体通信onlineさんで連載を始めたのは、私が今デジ局の広報を担当しているからです(広報の業務に関する詳細はまた次回、記事にしたいと思っています)。この連載を通して、三重県が「あったかいDX」というミッションのもとで進めている取り組みを他の自治体の皆様に伝えていきたいと思っています。
    そして何より、今デジ局と同じく、デジタル社会の中で奮闘していらっしゃる各自治体の情報関連部局の皆様に息抜きついでに読んでいただき、少しでも勇気づけることができたらいいなと思っています。「DXについてはもちろん、簡単な仕事から全てのことが分からない中濵でも頑張っているんだから自分も頑張ろう」といった具合で…。

     次回は…

    さて、長々と書き連ねてきましたが、今回はそろそろ締めようと思います。

    次回の記事は、デジ局のバリューについてと、私が今担当している仕事についてお話していこうと思っています。

    拙い文章をここまで読んでいただいた皆様、ありがとうございました。次回もぜひ読みに来てくださいね。

    (「三重県版「デジタル庁」ってこんなところ!《バリュー&独自性編》」に続く)

    ☆ 本連載の記事一覧

    自治体通信への取材依頼はこちら

    三重県 デジタル社会推進局のプロフィール

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    デジタル社会推進局のメンバー。キックオフ(2021年4月1日)の際の記念写真(写真撮影時のみマスクを外しています)

    三重県デジタル社会推進局では、デジタル時代を生き抜くために、あらゆる人々が家庭・職場・地域それぞれの場所において、新しく何かにチャレンジできる時間を創出できるよう「みんなの思いを実現する『あったかいDX』」をミッションとして、「誰もが住みたい場所に住み続けられる三重県の実現」を目指し、圧倒的なスピードでデジタル社会形成を推進中。2021年4月創設。50人体制。
    <連絡先>059-224-3086

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