自治体通信ONLINE
  1. HOME
  2. 自治体職員寄稿
  3. 《地域文化でインバウンドを掴む!》「交流」を軸にした「地方送客」~後編

《地域文化でインバウンドを掴む!》「交流」を軸にした「地方送客」~後編

    【自治体通信Online 寄稿記事】
    みなかみ町の大胆インバウンド戦略【第Ⅱ章】#3(みなかみ町 職員・阿部 真行)
    インバウンド復活―。街中で大きなスーツケースを引く外国観光客の姿を見かけることが増えました。そこで、台湾インバウンドで成果を挙げているみなかみ町(群馬)のインバウンド担当者、阿部 真行さんが小規模自治体でも効果を出せる施策等を解説! 後編では、どんな自治体でも実施できる「深度旅游」のつくり方をお届けします。

    ランタン交流のメリット

    ランタン交流のメリットはざっと以下のとおりです。

    1. 少ないコストでお互いの観光PRが実施可能
    2. 人の往来ができないなか、外国の文化を感じることができる
    3. インバウンド行程(特に地方送客の素材)として組み込みやすい

    ①はランタンを段ボールに詰めて送る輸送費が数万円かかります。ただし、展示済みのランタンを活用しているので新たな購入費は不要です。2年目からはみなかみ町や周辺の沼田市、伊香保温泉からも使用済みの提灯を台南市の現地消防局に送って展示しており、PRに繋げています。
    ②は当時、海外旅行が不可だった状況下、台湾の雰囲気を味わうことができると地元や観光客の方達から好評でした。
    さらに、このランタン交流はみなかみ町だけでなく、その後、同じ群馬県内の甘楽町や赤城山(前橋市)の夏祭りにも波及しました。

    甘楽町の道の駅に展示されたランタン(上写真)と赤城山らんたん祭り2023(8月5日~6日開催)のサイト

    赤城山夏祭り実行委員会の皆さんは夏祭りが終わっても「ランタンを外すのが寂しいから継続して展示したい」と言ってくれ、2020年の秋にはランタンをキッカケに有志の方達10名が自ら台南市を訪れ、台南市消防団と交流してくれるほどに台南を好きになってくれました。赤城山の皆さんのおかげでインバウンドよりも先にアウトバウンドが実現されるカタチになりました。^^;
    そして、このランタン交流が土台となって、コロナによる入国規制が緩和された今年4月に台南市消防局関係者36名が消防交流やランタン視察を目的にみなかみ町に来てくれました。行程のなかには沼田市や前橋市訪問も組み込まれ、赤城山夏祭り実行委員会の皆さんとのも再会も果たしました。

    ランタン交流をきっかけに台南市消防局関係者がみなかみ町に来町した時の様子。沼田市や前橋市も訪問

    「神輿体験ツアー」に発展!

    そして現在、台南市側では今秋の烏天狗神輿体験ツアーの企画が始まっています。この“お祭り体験ツアー”は、みなかみ町に限らず、どんな地域にも送客でき、しかも連泊してもらえる可能性を秘めています
    前編で述べた「女性向け」「深い体験」という点からすると沼田市の「沼田祭り」の天狗神輿は担ぎ手が女性のみというルールがあるため特色が打ち出しやすいお祭りです。
    (参照記事:《鍵は“深度旅游”》「交流」を軸にした「地方送客」~前編)

    みなかみ町の「豊楽まつり」大烏天狗神輿(写真左、毎年10月開催)と約300人の女性により担がれる沼田市「沼田祭り」天狗神輿(写真右、今年は8月3日・4日・5日開催)

    実はコロナ禍前に一度、女性企業家を対象にツアーを実施したことがあるのですが、その時は欲張っていろいろな交流を組み込みすぎてしまい反省点が多いものでした。
    ただ、この時の参加者からはすでに「今年の沼田祭りに参加したい」とみなかみ町に連絡をもらい、予約も入っている状況なのが救いです。^^;

    まとめ

    前編と今回の後編を通じて、今年3~4月にみなかみ町で受け入れた台湾ツアーの事例を紹介させていただきました。
    ちなみに、5月はみなかみ町のカフェ経営者ファミリー(4名)が台南に来られ、台湾での「深度旅游」(少人数グループを対象とした長期滞在かつ深い体験が出来る旅)のお手伝いをしました。人数は少ないですが深い体験をするため台南で連泊してくれ、4×10=40泊となりました。
    深度旅游の需要が増えることにより、あらゆる地域でのインバウンド市場開拓の可能性も増えると感じています。お祭りは日本全国どんな地域にもありますし、地域独特の文化・習慣を体験できる旅行商品に造成することが可能です。お祭りは外国人観光客の方には興味ある素材です。たとえば、浴衣を着て盆踊りに参加するという形式なら、受入準備もそれほど複雑ではありません。インバウンド担当者の皆さんの参考になれば幸いです。
    (「《「自分の実家」で実施した“実証実験”の成果とは?》『普通の家の暮らし』がインバウンド資源になる!」に続く)


    いち早く情報をお届け!
    メルマガ登録はこちらから

    ■阿部 真行(あべ まさゆき)さんのプロフィール

    出向していた台南市政府のデスクで

    みなかみ町 観光商工課 観光振興係 インバウンド担当 /
    台南市政府 対日事務相談顧問
    高校講師などを経て、2005年にみなかみ町(群馬)に入庁。2013年6月から台南市政府に出向。台南市政府から「台南市政府対日事務相談顧問」に任命され、日台間のブリッジコーディネーターとしての役割を担う。日台双方の国家資格などを取得し、インバウンドを主とした交流を推進中。
    昨年3月に帰国。著書に上毛芸術文化賞を受賞した『台湾・台南そして安平! ~日本公務員の駐在日記~』(上毛新聞社)がある。

    • 連絡先
      電話: 0278-25-5017 (みなかみ町 観光商工課)

    本サイトの掲載情報については、企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。

    提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。

    電子印鑑ならGMOサイン 導入自治体数No.1 電子契約で自治体DXを支援します
    自治体通信 事例ライブラリー
    自治体サミット2024