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《自治体DX推進計画における“6つの重点”~1》情報システム標準化のポイント

    《自治体DX推進計画における“6つの重点”~1》情報システム標準化のポイント

    【自治体通信Online 寄稿記事】
    自治体DX完全ガイド~season2~#2
    (電子自治体エバンジェリスト/合同会社 KUコンサルティング 代表社員/豊島区 元CISO・髙橋 邦夫)

    「データを整える」ことに情報システム標準化の最大の意義がある―。そのワケは? 電子自治体エバンジェリストで多数の自治体のアドバイザーを務める電子自治体エバンジェリストの髙橋 邦夫さん(KUコンサルティング代表社員/豊島区 元CISO)に、今さら聞けない基礎、見落とされがちなポイント、他自治体事例など自治体DXの全体像を解説してもらいます。

    はじめに

    今回は「情報システムの標準化」についてお伝えします。

    自治体DX担当のみなさまは、 今回のシステム標準化について、各担当者に説明をしなければいけません。

    その際に、標準化するメリットが何なのか、これを伝えることにご苦労なさっているのではないでしょうか?

    標準化のメリットはたくさんあります。最も重要なのは「データを整えること」です。

    4大メリット

    下の画像をご覧ください。こちらは 私が考えた情報システム標準化の4大メリットです。左上から時計回りにご覧ください。

    まず、最初に申し上げたいメリットは「システム構築からシステム利用へ」。これまでの情報システム部門の仕事はシステム構築でした。しかし、 これからは外部の事業者がつくったシステムを利用するということで、人的なコストが下がってきます。

    次に「標準化の対象外となる業務にも標準化がなされる」という点も重要なメリットです。

    2026年3月を期限とする今回の自治体DX推進計画における標準化の対象は20業務ですが、これらが標準化されることで、関連するそれ以外の業務にもクラウド利用型への移行による「割勘効果」など標準化効果が波及します。

    そして、何よりも大切なのは、 データが流通することの意義です。データ形式やコードが統一化されることでデータ流通が進みます。そして、データ流通が進むことでデータドリブン、つまり、データを中心に据えた自治体の経営が行えるようになります。

    「非機能要件」が最重要のポイント

    次にデジタル庁がつくった業務プロセス・情報システム標準化の項目について解説します(下画像)

    業務の標準化と言いますと「3.機能要件」の部分を中心にお考えの方が多いのではかと思いますけれども デジタル庁では青矢印で指している「4.非機能要件」を含めた全ての業務プロセスの標準化を想定しています。

    当然ここには「2.4 データ要件」、「2.5 連携要件」も含まれています。

    そして、実はここが業務の標準化においていちばん大事なポイントだと思います。

    今回のまとめ

    この度の新型コロナウイルスによるパンデミックでは、自治体ごとに所持するデータがバラバラで、国が作ったシステムとの連携に手間取ることとなりました。次のパンデミックに備える意味でも、情報基盤の統一・標準化は待ったなしの命題です。データ形式を整えることで、自治体間の情報、伝達もスムースに行えるようになります。

    これまでのように「自治体がシステムをつくる」のではなく、「自治体は汎用のシステムを利用する」。このことが情報システム標準化における自治体にとっての最大メリットだと思います。

    (「《自治体DX推進計画における“6つの重点”~2》マイナンバーカード施策のポイント」に続く)

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    ■ 髙橋 邦夫(たかはし くにお)さんのプロフィール

    電子自治体エバンジェリスト
    合同会社 KUコンサルティング 代表社員
    豊島区 元CISO(情報セキュリティ統括責任者)

    1989年豊島区役所入庁。情報管理課、税務課、国民年金課、保育課などに勤務。2014~2015年は豊島区役所CISO(情報セキュリティ統括責任者)を務める。
    2015年より総務省地域情報化アドバイザー、ICT地域マネージャー、地方公共団体情報システム機構地方支援アドバイザー、文部科学省ICT活用教育アドバイザー(企画評価委員)、2016年より独立行政法人情報処理推進機構「地方創生とIT研究会」委員。2018年豊島区役所を退職、合同会社KUコンサルティングを設立し現職。
    豊島区役所在職中、庁舎移転に際して全管理職員にテレワーク用PCを配布、また庁内LANの全フロア無線化やIP電話等コミュニケーションツールを用いた情報伝達など、ワークスタイルの変革に取り組む。庁外では、自治体向け「情報セキュリティポリシーガイドライン」、教育委員会向け「学校情報セキュリティポリシーガイドライン」策定にかかわる。
    自治体職員としての29年間、窓口業務や福祉業務を経験する一方、情報化施策にも継続的に取り組んでおり、情報化推進部門と利用主管部門の両方に所属した経験を活かし、ICTスキルとともにDX推進のための組織の問題にもアドバイスを行っている。一関市のほか、深谷市、飯島町など10を超える自治体のアドバイザーを務めるほか、電子自治体エバンジェリストも務める。
    著書に『DXで変える・変わる 自治体の「新しい仕事の仕方」』(第一法規)がある。
    <受賞歴>
    2015年:総務省情報化促進貢献個人等表彰において総務大臣賞受賞
    2019年:情報通信月間記念式典において関東総合通信局長表彰(個人)受賞
    2022年:情報通信月間において総務大臣表彰(個人)受賞
    <連絡先>kuconsul@ybb.ne.jp

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