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東京都板橋区の取り組み
先進事例2026.10.14
児童相談業務でのICT活用

【児童相談システム】訪問先でも即時連携できるアプリで、児童相談の「組織対応」がより強固に
(AiCANサービス / AiCAN)

[提供] 株式会社AiCAN
【児童相談システム】訪問先でも即時連携できるアプリで、児童相談の「組織対応」がより強固に(AiCANサービス / AiCAN)
この記事の配信元
株式会社AiCAN
株式会社AiCAN

※下記は自治体通信 Vol.77(2026年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

児童や家庭をめぐる問題は年々複雑化し、多様な支援を必要とする例が増えている。そうしたなか、板橋区(東京都)は、令和4年に児童相談所の機能と子ども家庭支援センターの機能を併せもつ「板橋区子ども家庭総合支援センター」を創設。同センターでは、業務の効率化と判断の迅速化に向け、児童相談特化型アプリシステムを導入。事務負担の軽減と、組織対応の強化に手応えを感じているという。その取り組みの詳細を、支援課長と援助課長の2人に聞いた。

[板橋区] ■人口:58万7,809人(令和8年8月1日現在) ■世帯数:34万4,943世帯(令和8年8月1日現在) ■一般会計予算:3,015億円(令和8年度当初) ■面積:32.22km² ■概要:東京23区の北西部に位置し、埼玉県と隣接する。古くは旧中山道の板橋宿として栄え、現在は若者世代から高齢世代まで幅広い住民が集住し、暮らしやすさを重視した施策が多い。令和8年には「いたばし創造都市宣言」を発出し、人や地域、未来をつなぐ架け橋となるまちづくりを目指している。
インタビュー
大髙 邦人
板橋区
子ども家庭総合支援センター 支援課長
大髙 邦人おおたか くにと
インタビュー
須藤 佳代子
板橋区
子ども家庭総合支援センター 援助課長
須藤 佳代子すどう かよこ

訪問業務を強化する一方で、事務負担の増加が課題に

―板橋区子ども家庭総合支援センターの特徴を教えてください。

大髙 当センターは、令和8年に掲げた「みんなにかけ橋 いたばし創造都市宣言」の「人と人との『つながり』を育む」を担う機関として、こども家庭センターと児童相談所の機能を一体化し、切れ目のない子育て支援を推進しています。支援課では、学校等約400の関係機関にアウトリーチを行っているほか、関係者による個別ケース検討会議を昨年度は134回開催しています。

須藤 児童相談所の機能を担う援助課では、昨年度、児童虐待相談を1,306件受付し、それに伴う初期調査などで訪問を実施しています。こうした数字は年々増加傾向にありますが、支援課と援助課の連携強化によって、細やかな対応ができていると実感しています。その一方で、職員の業務負担の増加が課題となっていました。

―具体的に教えてください。

須藤 初期調査では、訪問先から帰庁し、記録をシステムに入力する作業負担が重く、時間外勤務の要因の1つになっていました。

大髙 また、既存システムでは、ケース管理や職員間での記録の共有などにタイムラグがあり、組織的な判断までに時間がかかっていました。これらの課題を解決するシステムを検討した結果、児童相談業務に特化したクラウド型アプリシステム『AiCAN』で記録作成やケース管理を効率化したという先行事例を知り、令和6年に援助課で実証を行う運びとなりました。

初動対応の判断が迅速化

―成果はいかがでしたか。

須藤 訪問先でタブレット端末内の専用アプリに直接情報を打ち込んで記録を残せるため、初期調査の準備や記録作成にかかる時間を約半減し、面談から記録をシステムに登録するまでの日数なども大幅に削減できています。加えて、こうした情報は職員間で即時に共有されるため、訪問先での組織的な対応が以前にも増して迅速になったと感じています。

―詳しく教えてください。

須藤 当センターでは、受け付けた相談・通告について両課共通で「緊急受理会議」を行い、初動対応を決めています。その際、アプリのチャット機能を用いて、「○○を聞いて」「別角度から写真を撮って」と、現場の職員に対してセンターから細かな指示を出せています。これにより、一時保護の必要性も含めて、適切かつ迅速な判断が下せるようになりました。

大髙 現在、プロジェクトチームを発足して、『AiCAN』のさらなる活用や運用改善を検討しています。令和9年にはシステムの一本化を予定しており、帳票作成や統計出力も『AiCAN』で行えるよう準備しています。この取り組みを起点にセンターの一体的運営をより強化し、「人と人との『つながり』を育む」社会の実現を目指します。

支援企業の視点
現場に寄り添うツールと伴走支援で、「子どもに向き合う時間」を創出する
インタビュー
太田 茜
株式会社AiCAN
営業 / カスタマーサクセス担当 社会福祉士
太田 茜おおた あかね
平成27年に横浜市へ入庁し、児童相談所で勤務。令和6年に株式会社AiCANに入社。カスタマーサクセスチームのリーダーとして、おもに児童相談支援事業「AiCANサービス」の運用支援に従事。

―児童相談の現場をめぐる課題を、どう見ていますか。

 子どもや家庭の問題が複雑化し、相談・通告件数が増加する一方、職員の増員は追いついておらず、その対応に苦心する自治体が多いです。なかには緊急を要するケースなどもあり、経験の浅い若手職員にとっては大きなプレッシャーがかかります。こうした心理的負担に加えて、対応中の手書きメモを、対応後にシステムに入力し直すなどの事務負担が重く、職員の疲弊や休職・離職につながるケースがあります。こうした状況を改善するため、当社は児童相談に関する研究者や実務経験者が集まり、現場職員が支援に集中できるシステムとして『AiCAN』を開発・提供しています。

―特徴を教えてください。

 訪問先でもインターネットに接続しない閉域網で利用できる情報セキュリティの高さと、現場の業務に特化した機能群が特徴です。たとえば、チェックリスト機能で現場での調査漏れを防ぐほか、チャット機能を通じて先輩や上長がリアルタイムで現場へ助言・指導を行えます。これにより、若手の心理的負担を和らげて人材育成に寄与するとともに、組織としての迅速かつ適切な判断を可能にします。さらに記録作成を支援する要約AIや、帳票作成・統計機能を追加することもできるため、事務作業の負担を大幅に削減できます。今後は、運用定着に向けた伴走支援や、自治体間の事例共有コミュニティの展開を推進し、職員が疲弊せずに「子どもと家庭に向き合う時間」を創出していきます。

株式会社AiCAN
株式会社AiCAN
創立

令和2年3月

資本金

5,000万円

従業員数

37人(令和8年8月現在)

事業内容

児童相談業務支援事業(児童福祉領域のシステム開発、データ分析、現場への伴走サポートの提供)、調査研究事業

URL

https://www.aican-inc.com/

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