【バックオフィス・BPO】複雑化する内部事務を外部に委託し、重要課題への本格着手が可能に
(コーポレートバックオフィスサービス / アルティウスリンク)

.png)
※下記は自治体通信 Vol.69(2025年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
自治体の人事・総務部門における内部事務は、組織の基盤を支える重要な業務である。しかし、新たな制度の導入などに伴い、職員が業務負担の増大に頭を悩ませているケースは少なくない。こうしたなか、目黒区(東京都)は人事課の一部業務を外部に委託。内部事務のなかでも特に注力すべきコア業務に集中できる体制づくりにつなげているという。取り組みの詳細について、同区人事課の佐藤氏と中村氏に聞いた。


業務委託先の選定では、明確な負担軽減効果を重視
―目黒区が内部事務を外部に委託した経緯を聞かせてください。
佐藤 近年、会計年度任用職員の増加や新たな休暇制度の導入などにより、各種申請手続きが増え、業務は複雑化しています。その結果、定型業務の量が増大し、人事課職員の時間外勤務も増加傾向にあります。ひっ迫する定型業務をこなすと同時に、新たな制度や将来を見据えた課題への対応といった非定型業務を十分に検討していくことは困難でした。また、職員の健康維持の観点からも業務負担の軽減は喫緊の課題であるため、課内で内部事務の委託の検討を重ね、令和6年度途中から委託を実現しました。これが目黒区役所において初めて外部委託した人事定型業務となります。
―検討においては、どういったことを重視しましたか。
中村 個人情報の厳格な管理体制と、業務負担軽減につながる明確な費用対効果です。これらを重視し、公募型プロポーザルを実施した結果、全国の自治体での豊富な実績に加え、「特別区での人事業務経験を持つ社員を責任者に充てる」という提案が決め手となり、アルティウスリンク社を委託先に選定しました。
―成果はいかがですか。
中村 手当の認定や、住民税・社会保険・共済に関する事務、新規採用対応、証明書作成、服務規程についての問い合わせなどを委託しました。給与係では繁忙期の1~4月は電話やチャットなど約700件にのぼる問い合わせ対応を委託対象としました。
佐藤 その結果、定型業務に余力ができ、その分の人的リソースを非定型業務に充てたことで、「育児・介護休業法の改正対応」「障害者雇用の促進」「カスタマーハラスメント対策」などの課題に本格着手できる体制が整いました。また、委託を通じて窓口を一本化したことで、職員の利便性向上につながった取り組みもあります。
複数の窓口を集約し、庁内手続きの利便性も向上
―具体的に教えてください。
佐藤 人事係・給与係・福利健康係の各種申請窓口を「人事課サポートデスク」に集約しました。これにより、申請を行う職員は手続きを1ヵ所で行えるようになりました。今後は業務プロセスそのものの見直しにも着手し、全体最適の視点からアルティウスリンクとの連携のあり方や効率性・正確性の向上に取り組みます。窓口の集約については職員アンケートも実施し、さらなる改善につなげていきます。アルティウスリンクには、他区や企業で培った知見を活かした提案と、業務改革への継続的な協働を期待しています。


―内部事務の委託をめぐる自治体の現状をどう見ていますか。
職員の業務負担が増大するなか、内部事務においてマニュアル化しやすい定型業務の委託を検討する自治体が増えています。一方で、年に数回しか発生しない業務や個別対応が求められる業務も多く、内部事務は属人化しやすい傾向があります。そのため、外部委託に関心はあっても実際には踏み切れない自治体は少なくありません。
―内部事務の外部委託は難しいのでしょうか。
決してそんなことはなく、委託先の選定こそが重要になります。たとえば当社では、ヒアリングや業務量調査、BPR*を通じて業務フローを可視化・標準化し、誰が担当しても同じ品質で遂行できる仕組みを構築します。また、内部事務に求められる高い専門性と正確性に応えるため、法令や制度に関する専門知識に加え、財務会計や各種手当の認定業務に関する実務ノウハウをスタッフ間で共有しています。こうした体制のもと、内部事務における多くの定型業務を受託可能だと考えています。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
人的リソースの提供にとどまらず、デジタル技術を活用したデジタルBPOサービスで職員の業務効率化を総合的に支援します。たとえば、旅費法改正に伴い煩雑化した旅費精算業務には、SaaSと組み合わせたBPOを提案できます。住民の利便性向上を目指すDX推進により「誰一人取り残されない住民サービス」の実現もお手伝いします。お気軽にご相談ください。
*BPR: Business Process Re-engineeringの略。既存の業務プロセスの課題などを明確にし、その解決を図ること
.png)
設立 | 平成8年5月 |
---|---|
資本金 | 1億円 |
売上高 | 2,270億円(連結、令和7年3月期) |
事業内容 | コンタクトセンター事業、バックオフィス事業、ITソリューション事業、その他関連事業 |
URL |