【RPA】RPA導入効果の維持・向上へ、ロボット改修の負担「ゼロ」に期待
(BizRobo! / オープン)


※下記は自治体通信 Vol.68(2025年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
PC上の定型作業を自動化し、職員の労力を住民サービスの向上といったコア業務へ振り向ける手段として、多くの自治体が導入しているRPA。しかしその運用においては、外部システムの仕様変更に伴うRPAロボットの改修作業が、職員の負担となっているケースも少なくない。こうしたなか、神戸市(兵庫県)はRPAと外部システムをつなぐ仕組みの開発を進め、RPA活用効果の維持・拡大を目指している。取り組みの詳細を、同市デジタル戦略部の2人に聞いた。


システム機能更新のたびに、ロボットの改修作業が発生
―神戸市におけるRPAの活用状況を聞かせてください。
坂根 当市は業務効率化のため、RPAを現場主導で積極的に活用しています。具体的には、我々デジタル戦略部がサーバやロボットの管理、庁内ユーザーからの問い合わせ対応などを担い、ロボットの作成は各所管の職員が主体的に行っています。
家久 こうした推進体制のもと、税務などの基幹系業務システムのほか、消防や、オンライン申請受付後のバックヤード処理といった幅広い分野で、システム入力などの手作業をロボットで自動化し、令和6年度には職員の作業時間を年間1万8,000時間削減しました。また、住民向けのオンライン申請システム「e-KOBE」では、申請情報や添付書類のダウンロード、システムのステータス変更といったPC操作を自動化。RPAが職員の作業負担軽減と、住民サービス向上を支える重要な役割を担っています。ただ、その運用には課題も感じていました。
―どのような課題ですか。
家久 システム機能が更新され、RPAが操作する画面構成、つまりGUI*に変更が生じると、ロボットに改修作業が発生し、現場職員にとって大きな負担となっていました。職員による改修が難しい場合はSEを交えての対応が必要となり、多くの時間と労力がかかります。そうした課題を感じるなか、当市が利用するRPAツール『BizRobo!』の更新時に、「コネクタ」という機能が新たに実装されると知り、関心を持ちました。
*GUI: Graphical User Interfaceの略。コンピュータへ出す命令や指示を、ユーザーが画面上で視覚的に捉えて行える操作体系
ロボット稼働の安定化も期待
―コネクタとはどのようなものなのですか。
家久 RPAと外部システムを直接連携させる仕組みです。これにより、ロボットはシステムのGUIに左右されずにデータの入出力が行えるようになります。この機能は、まさに私たちが抱えていた課題の解決につながる仕組みだと考え、現在『BizRobo!』のベンダーであるオープン社に開発を進めてもらっています。
―コネクタの活用に対し、どういった成果を期待していますか。
坂根 「ファイルをダウンロードする」といった汎用的な処理を担うコネクタを1つつくるだけで、複数の業務で稼働しているロボットがGUI変更の影響を受けることなく安定して動き続けるようになります。これにより、各課でのロボット改修作業はほぼゼロになると見込んでいます。コネクタの活用は、職員の貴重な時間を確保すると同時に、RPAの安定稼働と効率的な運用を大きく促すでしょう。RPAの導入メリットを維持・向上させるこの取り組みは、当市のDX推進における重要な一歩になると大いに期待しています。


―RPAの運用をめぐる自治体の課題はなんですか。
システムにGUIの変更があるたびにロボットの改修が必要になり、職員の負担が増してしまうことです。自治体では人事異動も多いため、デジタル化の進展で増え続けるロボットの保守・改修に職員が対応しきれないケースもあります。手作業に戻さざるを得ない状況に陥れば、RPAの導入効果そのものも失われかねません。そこで当社は、この課題を解決し、RPA運用の「次の一手」となる手段に「コネクタ」を提案しています。
―どのような効果を期待できますか。
システムのGUI変更に左右されずにロボットの稼働を安定化できるため、職員は頻繁なロボット改修が不要となり、運用負担を削減できます。また、コネクタは複雑なAPI操作を簡単に行えるようにするものなので、プログラミングや通信などの専門知識がなくても、RPAのオリジナルの「ステップ*」として使用できます。コネクタはシステムのデータベースに直接アクセスするので、GUIを介した操作と比べて処理が速くなる効果も期待できるでしょう。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
当社は、約100の自治体に対する『BizRobo!』の提供で培った業務効率化の知見が強みです。現在は、神戸市と取り組んでいるコネクタの開発経験を活かし、RPAの運用支援を強化しています。これによりRPAの安定かつ高速な動作を実現し、自治体のさらなる業務効率化とDXに貢献していきます。
*ステップ: RPAにおいて、ロボットが実行する一連の処理を構成する要素。「アクティビティ」や「アクション」とも

設立 | 平成25年7月 |
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資本金 | 3,000万円(令和6年6月1日現在) |
従業員数 | 167人(令和7年6月1日現在) |
事業内容 | スマートロボット(RPA、AI)を活用した情報処理サービス、コンサルタント事業など |
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