

※下記は自治体通信 Vol.56(2024年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
大がかりな設備を更改する場合、財源の確保が難しいことから実行に踏み切れない自治体は多い。そうしたなか、北本市(埼玉県)では、リース方式を活用した「サブスクサービス」により、市内6施設の老朽化した空調設備を同時に更改できたという。同市の担当者2人に、取り組みを行った経緯や更改後のメリットなどを聞いた。


毎年のように不具合が起こり、職員や住民に負担があった
―北本市が、6施設の空調設備を更改した背景を教えてください。
野嵜 市内にある8つの公民館のうち、6つの施設は竣工より30年から40年近く経過し、空調設備の老朽化が進んでいました。特に直近5年は、頻繁に不具合が起こっており、故障した設備を修理しても、また別の設備が故障するなど、修理対応を繰り返す状況が続いていました。そのため、管轄課の職員の負担が大きく、利用者の住民からも「快適な環境を整備してほしい」という声が届いていました。
藤原 1つの公民館のなかにも、複数の空調設備があり、それらをまとめて更改するとなると、多額の初期費用がかかります。とはいえ、そのままだと修繕費がかさむうえに、古い設備を使い続けているため光熱費も高額でした。そうしたジレンマを抱えているなか、他部署から画期的な更改方法があることを聞いたのです。
―どのような方法でしょう。
藤原 毎月定額料金で利用できるリース方式を活用した「サブスクサービス」で、空調設備を更改できるということでした。一般家庭のエアコンでそのような方法があることは知っていましたが、公民館のような大型施設にも使えるとは思っていませんでした。本件の提案元であるNTT・TCリースに話を聞くと、6施設同時に更改ができるうえに、15年にわたって保守費用も含めた料金が定額であるとのこと。これなら初期費用を大きく抑えられるほか、契約期間中は、突発的な故障修理費用の負担がないため、費用の平準化が図れます。プロポーザル入札の結果、同社のサービスで空調設備を更改することが決定したのです。契約後はコスト面だけでなく、ほかのメリットも感じています。
一斉に設備更改したことで、公平な環境改善を実現
―どのようなメリットですか。
野嵜 NTT・TCリースが窓口となって、メーカーや設計・施工会社との連携を一元化してくれたため、令和5年8月に契約して同年12月には工事を終えられました。当市が個別で発注したら、もっと時間がかかっていたと思います。
藤原 維持管理会社とも連携しているほか、フロンの法定点検への対応や、空調設備に不具合があればシステムで感知して対応してくれるため、確実に管轄課の職員の業務効率化につながったと思います。また、最新設備のためCO₂の削減にも貢献でき、ゼロカーボンシティ宣言をしている当市の方針にマッチした施設に改修できたと思います。なにより、6施設同時に更改したことで、利用者に公平な環境改善を提供できたのが大きな意義だったと感じています。


―北本市のように「サブスクサービス」で設備を更改する自治体は増えているのでしょうか。
はい、増えています。今回の「サブスクサービス」は、設備の保守サービスを含んだリース方式を活用しています。契約形態は「賃貸借契約」のため、途中解約を行わないことが前提となっています。更改時期を迎えても、予算的に一括購入が厳しい自治体は初期費用が抑えられるリース方式を活用する場合が多いですね。また、長期間にわたって予算が平準化でき、万が一設備に不具合が発生したときに突発的な予算がかからないのも、リース方式が選ばれる理由の1つです。
―リース方式を検討する際のポイントはなんでしょう。
実績が豊富な事業者のサービスを選ぶことをおすすめします。当社は30年以上にわたって全国の自治体向けにサービスを提供してきた実績があります。そのため、全国各地にパートナー企業が存在し、自治体ごとのニーズに合わせたサービスの提案および地元企業を活用したサポート体制を構築できます。また、自治体との契約窓口を当社で一元化するため、工事や維持管理など工程ごとの自治体職員の稼働削減にもつながります。
―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。
体育館や庁舎などさまざまな施設の空調設備の新設・更改をはじめ、脱炭素や避難所機能強化となる太陽光発電設備や、GIGAスクールに関連するタブレット端末など、さまざまな商材のサービスを提供していきます。設備導入でお困りの際は、ぜひ当社にお問い合わせください。

設立 | 令和2年2月 |
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資本金 | 100億円 |
従業員数 | 約1,100人 |
事業内容 | 総合リース業など |
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