自治体通信ONLINE
  1. HOME
  2. 先進事例
  3. 農園誘致で障がい者がイキイキと働ける場を広げていく【豊明市の取組事例】
先進事例2020.06.29

農園誘致で障がい者がイキイキと働ける場を広げていく【豊明市の取組事例】

農園誘致で障がい者がイキイキと働ける場を広げていく【豊明市の取組事例】

愛知県豊明市 の取り組み

農園誘致で障がい者がイキイキと働ける場を広げていく【豊明市の取組事例】

豊明市長 小浮 正典
社会福祉課長 中村 泰正

豊明市(愛知県)は昨年、障がい者雇用を目的とした民間運営の農園を誘致した。これは、障がい者雇用を法的に義務づけられているものの、適した職場を提供できない企業と障がい者を「農園就労」でマッチングするもの。この仕組みを提供する民間企業は、6年間で約550人の障がい者に一般就労の場を提供している。自治体としては全国初となる、誘致の経緯や反響について、同市の小浮市長と担当課長に話を聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.10(2017年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

愛知県豊明市データ

人口: 6万8,810人(平成29年8月1日現在) 世帯数: 2万9,361世帯(平成29年8月1日現在) 予算規模: 342億4,960万円(平成29 年度当初) 面積: 23.22km² 概要: 愛知県のほぼ中央部に位置し、名古屋市南部に隣接。昭和47年8月1日に県内で30番目の市として誕生した。緑豊かな自然環境と古い歴史に育まれながら、快適な居住環境を備えた名古屋都市圏の住宅都市として発展。

―なぜ、障がい者雇用を目的とした農園を誘致したのですか。

当市は社会福祉法人やNPO法人の協力のもと、就労訓練や働く場を提供していますが、生活できるほどの給与の雇用ではないため、障がい者の経済的自立につながっているわけではありません。どの自治体関係者も、障がい者の自立を強く願っています。ただ、そのためには企業雇用が必要なのです。

そんななか、平成27年12月の市議会で、「千葉県に、多くの障がい者が一般就労で働く農園がある」と報告があったので、さっそく視察へ。農園を運営する民間企業から話を聞き、障がい者の法定雇用率(※)を達成したい企業と障がい者の就労ニーズを、みごとにマッチさせる事業だと理解しました。障がい者に対し、事前にしっかり農業研修している点も評価。そしてなにより、イキイキと働くみなさんの姿が印象的でした。同社に、「当市にも同じ農園をぜひつくってほしい」とお願いし、市役所内に誘致のためのプロジェクトチームを発足しました。

※障がい者の法定雇用率 : 障害者雇用促進法によって一定規模以上の民間企業、地方公共団体などに義務づけられているもの。民間企業の場合は対象労働者数の2.0%。今後は段階的な引き上げが決まっており、平成30年4月には2.2%、平成33年3月末までには2.3%になる。

―その後の経緯を教えてください。

平成28年11月に約3000坪の農園がオープンし、現在ほぼ定員の60人の障がい者が、農園を利用する企業に所属し就労。同社の働きかけで、雇用先である企業は市内外から広く集まりました。「企業に勤められるようになって本当にありがたい。ようやく、わたしたち親も安心できる」など、障がい者の親御さんからも喜びの声が多数。この農園誘致が地域の障がい者雇用の受け皿となり、そして自立へとつながる。当市のほか、全国の自治体の課題を解決するひとつの大きな方法だと考えます。

―農園誘致に向けてどのような取り組みをしましたか。

サービスを提供している民間企業に対し農園用地の紹介、就労説明会の開催、社会福祉法人に対する農園事業の説明・協力要請を行いました。市長が発足したプロジェクトチームのもと、社会福祉、建設・都市計画、地域活性化の3つの部門が協働。早期に開園できるようにスピード感をもって取り組みました。用地については適切な市の保有地がなかったので、地主を同社に紹介。説明会は、当市在住の障がい者と親御さん向けに3回実施しました。その結果、多くの障がい者の農園就労へとつながりました。今後もわれわれ自治体が積極的に情報発信して、障がい者がどんどん外に出て自立できる社会をつくっていけたらいいですね。

電子印鑑ならGMOサイン 導入自治体数No.1 電子契約で自治体DXを支援します
自治体通信 事例ライブラリー