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先進事例2025.06.17

自治体EBPM 優良事例|企業立地促進 人口戦略 データ連携基盤整備

自治体EBPM 優良事例|企業立地促進 人口戦略 データ連携基盤整備

「大阪府 豊中市」「兵庫県 神戸市」「長崎県」の自治体EBPM事例

EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)とは、「政策手段と目的の論理的なつながりを明確にし、このつながりの裏付けとなるようなデータ等の根拠(エビデンス)を可能な限り求め、『政策の基本的な枠組み』を明確にする」取り組みのことで、EBPMの推進には政策手段と目的の論理的なつながりを捉えることに加え、その裏付けとなるエビデンスにも焦点を当て、EBPMが実際の政策の質の向上に結び付いていかなければならないとされています。

近年、経験や直感ではなくデータや合理的根拠をもとに政策を立案することで政策をより効果的・効率的なものにするため、EBPMの推進に積極的に取り組む自治体が増えています。

そこで、総務省が実施している、統計データを利活用した優れた取組を進める地方公共団体に対する表彰「Data StaRt Award ~地方公共団体における統計データ利活用表彰~」(以下、Data StaRt Award)を受賞した自治体EBPMの取組事例を紹介します。

Data StaRt Awardは客観的な統計データに基づく的確かつ効率的な行政運営を促進する観点から、地方公共団体における統計データの利活用を推進することを目的としており、地方公共団体のためのデータ利活用支援サイト「Data StaRt」と連携し、実施されています。

今回紹介するのは、令和5年に実施された第8回Data StaRt Awardで特別賞を受賞した大阪府 豊中市、兵庫県 神戸市、長崎県の取り組みです。

大阪府 豊中市|市政データ利活用で企業立地促進施策の効果検証を可視化

地域や年代ごとにクロス集計した市民意識調査結果をBIツール(Business Intelligence ツールの略称で、データの可視化等意思決定のためのアプリケーションソフトウェアの総称)の活用により可視化するとともに、事業所が特定できないように税データを加工したうえで、本市における固定資産税額などの推移を地区ごと、産業分類ごとに可視化しました。

実施した内容

土地・家屋の賦課情報を過去10年分使用して、所在地大字で集約し、法人税情報を事業所が特定できないように加工したうえで、市における固定資産税額推移を地区ごと及び産業分類ごとに可視化しました。
また、市民意識調査を「高齢者目線」「子育て目線」「住民目線」等でダッシュボード3種類に分け、地域ごとや年代ごとにクロス集計した結果をBIツールTableauで可視化・分析しました。

市政データのオープン化・ビジュアル化

兵庫県 神戸市|EBPMで創る人口戦略

人口減少社会の中で、効果的な政策を立案するためには、データに基づく人口戦略の策定が必要と考え、人口減少の「抑制」と「適用」の観点から、プログラミング言語「R」による65歳未満人口の増減要因分析や、神戸市独自に小学校区別の1歳階級別将来推計人口を算出しました。
また、EBPMを推進するために国内外の学術論文(先行研究)の活用や、「R」を使用した政策効果の分析研修などを実施しました。

実施内容

①人口減少の抑制対策
65歳未満について4区分のライフステージに分け、5歳階級別転入超過率を説明変数とし、重回帰分析を実施して人口増への寄与度合を明らかにしました(職員が「R」を活用して実施)。
さらに、その4つのライフステージの移動に何が重視されるのかを、アンケート調査結果に基づき選定した指標を使い重回帰分析を実施して、各指標の寄与度を明らかにし、先行論文や「R」を使ったデータ分析により個別政策の評価・効果の検証を行いました。

65歳未満人口増加率に与える各ライフステージの影響度分析

②人口減少への適応
住基データを使って小学校区別1歳階級別将来人口推計を独自に算定し、ダッシュボードで共有することで、エリアごとの予測に基づく政策議論や計画策定に活用しやすい環境を整備しました。
また、人口データと公共サービスデータを重ねたダッシュボードを分野別(公共施設、健康・福祉サービスなど)に作成し、庁内で共有することで、人口規模に応じた行政サービスを俯瞰的にみて議論できるようにしました。

③データ利活用人材育成
各局が所管するデータを使って自らダッシュボードを作成し、分析できる人材を育成しました。
また、政策効果に関する分析は「R」を使ったハンズオン研修を取り入れ、各局政策立案部門を中心にコア人材の育成を推進しました。

長崎県|「つながる長崎」データ連携基盤整備事業

これは、長崎県と県内全21市町が一体となり、地域課題の解決やサービスの創出を目指し、データ連携基盤事業を進めている取り組みです。
交通・福祉など様々な分野における行政・民間データの拡充を行い、住民・観光客・企業の役立つ情報を提供し、県と市町、民間が連携し、県内の多種多様なデータを利活用することにより、地域課題の解決やサービスの創出等を図り、住民の豊かで質の高い生活の実現及び県内各地における産業振興を目指しています。
これまで、防災・観光分野のデータについて整備してきました。

提供内容

データ連携基盤を活用し、以下の3つのサービスを提供しています。

①ながさきデータマップ(ダッシュボード)
「地域住民向けに防災分野(避難所情報、ハザードマップ、雨量・河川水位等)」と「観光分野(観光施設情報等)」のデータをダッシュボード(地図)上に表示し公開

②ながさきAPIカタログサイト
連携したデータをAPIとして主に民間事業者向けに公開

③Tableau(分析ツール)
データ連携基盤に連携したデータ(一部)を可視化・分析しやすいデータとしてインターネット上の分析ツール環境に公開

〈参照〉
「Data StaRt Award ~第8回地方公共団体における統計データ利活用表彰~受賞団体及び受賞取組」(総務省統計局)
https://www.stat.go.jp/guide/public/rikatsuyou/pdf/ho231018_ref.pdf

Data StaRt「先進事例:市政データ利活用で企業立地促進施策の効果検証を可視化」(総務省 統計データ利活用センター)
https://www.stat.go.jp/dstart/case/63.html

Data StaRt「先進事例:EBPMで創る人口戦略」(総務省 統計データ利活用センター)
https://www.stat.go.jp/dstart/case/64.html

Data StaRt「先進事例:「つながる長崎」データ連携基盤整備事業」(総務省 統計データ利活用センター)
https://www.stat.go.jp/dstart/case/65.html

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