自治体DX事例|AI・RPAの活用

長岡市、港区、豊中市、江戸川区のAI・RPAの活用 自治体DX事例
令和2年12月、政府は「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を決定し、目指すべきデジタル社会のビジョンとして「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」が示されました。
また、令和4年6月、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が閣議決定され、このビジョンが目指すべきデジタル社会のビジョンとして改めて位置づけられました。
このビジョンの実現のためには、住民に身近な行政を担う自治体、とりわけ市区町村の役割は極めて重要です。
自治体においては、まずは、今後急速な人口減少が見込まれる中、自治体が持続可能な形で行政サービスを提供していくために、業務の見直しと並行して、自らが担う行政サービスについて、デジタル技術やデータを活用して住民の利便性を向上させるとともに、デジタル技術やAI等の活用により業務効率化を図り、職員の負担軽減とあわせて、人的資源を行政サービスのさらなる向上につなげていくことが求められています。
そこで、総務省が全国の自治体におけるDXの取り組み状況をまとめた「自治体DX推進参考事例集【第3.0版】」より、自治体DX事例を抜粋して紹介します。
今回は、長岡市(100業務・約1.8万時間削減、職員を本来業務へシフト)、港区(AIの積極的な活用による区民サービス向上と業務効率化)、豊中市(80以上の業務にRPA・AI-OCRを活用、年間約1万時間を削減)、江戸川区(児童相談業務にAI活用で相談業務強化・関連業務効率化)の自治体DX事例です。
100業務・約1.8万時間を削減、職員を本来業務へシフト|長岡市
新潟県 長岡市では、全庁的な導入希望調査や職員のレベル別研修を実施し、全庁的にRPA等を活用することにより、窓口対応や企画立案に職員を手厚く配置しています。
事業の概要
RPA・AI-OCRを導入により、平成30年度に25業務で2,000時間が、令和4年度に100業務で約1.8万時間の作業時間を削減しました。
RPA導入ルール(シナリオ作成・管理方法等)策定やレベル別職員研修により、業務担当課職員が自発的にシナリオ作成できる環境を整備。導入対象業務は業務に精通した業務担当職員が選定して効果的に導入し、超勤時間を削減して人的リソースを本来業務(窓口対応、企画立案、分析等)にシフトすることが可能になっています。

職員研修概要
事業効果
RPA・AI-OCRを導入した100業務について、導入前作業時間約2万4,000時間が導入後、作業時間約5,377時間に削減されました。
データが正確であれば、入力作業も正確に行われるため確認作業のストレスが低減し、業務削減により創出した時間を窓口対応や企画立案などの職員でなければできない業務にあてることができています。
AIの積極活用による区民サービス向上と業務効率化|港区
東京都 港区では、「区民サービス向上」と「働きやすい職場づくり」の2つの視点で業務効率化を進めるため、AIの導入を幅広い分野で推進中です。
事業の概要
港区は平成29年7月に「みなとワークスタイル宣言」により、全ての職員が意欲と能力を十分に発揮し、健康的に働くこと(原則定時退庁(20時には全員退庁)、年次有給休暇の計画的取得)で、より質の高い区民サービスを提供することを宣言。平成30年度を「港区AI元年」と位置づけ、AI・RPAの活用による区民サービス向上と働きやすい職場づくりに向け、様々な業務の効率化を推進しています。生成AIの活用により、文書の作成や校正、情報の要約、翻訳等の幅広い業務の効率化も進んでいます。

AI・RPAの活用例
事業の概要
例として、「議事録作成支援システムの活用」により議事録作成に係る所要時間が4時間から30分~1時間程度に短縮。
「保育所AIマッチング」の活用で保育所の入所希望者の申請情報をもとにした振り分け作業をAIが担うようになり、職員15人程度が約1週間程度かけて判定していた業務をAIが数分で完了できるようになるなど職員の作業時間が大幅に短縮しました。
また、子育て支援アプリである「みなと母子手帳アプリ」は、「予防接種スケジューラー」機能で、子どもの誕生日や性別をもとにAIが予防接種のスケジュールを作成してくれるので、保護者が複雑な予防接種スケジュールを立案する必要がなくなり、子育て施設予約や子育てに関する各種検索機能をアプリ上から閲覧できるようになりました。
80以上の業務にRPA・AI-OCRを活用し、年間約1万時間を削減|豊中市
大阪府 豊中市では、 デジタル技術を活用した仕事・働き方を変える取組として、80以上の業務にRPA・AI-OCRを導入し、年間約1万時間を削減しています(令和6年3月時点)。
事業の概要
「とよなかデジタル・ガバメント戦略」において、業務フロー見直し(行政手続オンライン化やキャッシュレス決済)およびAI・RPAの導入等を、より一層推進していくことを決定し、令和元年度からRPAシナリオの作成、効果測定、ルール整備等の試行導入を行い、令和2年度より本格導入。令和6年3月末時点で83業務にRPA・AI-OCRを活用し、年間約10,900時間の削減効果があったほか、業務フロー見直しや電子化・RPA等導入効果により、一人当たりの時間外勤務状況は17.5%削減しました(令和3年度と令和元年度の同期間比、新型コロナウイルス対応等一部業務を除く)。
行政手続等のオンライン化における申請データの基幹システムへの入力作業等にRPA導入を推進しており、AI-OCRの活用では、様式について、RPAでデータが利用しやすいよう姓名記載箇所を分けたり、読み取り精度向上のため数字記載箇所はマス目を設けたり、選択回答箇所はチェックボックスに変更する等工夫しています。
入力項目が少ないと読み取り作業・結果を確認する処理時間の方が手作業よりも時間がかかる場合があるので、導入業務の選定には注意しています。

事業効果
年間約1万時間の業務時間の削減を実現したほか、一人当たりの時間外勤務は17.5%削減を実現しました。
児童相談業務にAI活用で相談業務強化・関連業務効率|江戸川区
東京都 江戸川区では同区の児童相談所「はあとポート」において、 AI技術により、通話内容に応じたマニュアル等の即時参照を可能とするほか、発話内容をリアルタイムで確認し、スーパーバイザーによる即時支援体制を強化しています。
これにより、クレームなどのトラブルへの対応が迅速にできるようになったほか、マニュアル機能を活用することで、経験年数によらず、正確な支援を案内することができています。
また、先輩職員の会話内容を若手職員に聞かせることで職員の育成にも活用しています。
事業の概要
AI技術を活用して電話の通話音声をリアルタイムでテキスト化するとともに、通話内容に応じてマニュアル等を即時に参照できるシステムを導入。通話内容の書き起こし等の機能により通話記録にかかる職員の業務負担の軽減を図るとともに、リアルタイムでの発話内容確認で、スーパーバイザーによる即時支援体制を強化しています。
また、経過記録入力の省力化の他、先輩職員の応対の確認による若手職員の育成にも寄与しています。

事業効果
通話内容から自動でマニュアルや情報が表示でき、的確な情報を得られ、通話時間も短縮できるほか、通話音声を文字表示できるため、通話内容をリアルタイムで周囲の職員と共有でき、対応が難しいケースにおいて上司や周囲の助言が得やすくなるなどスムーズな電話応対を可能にしています。
また、マニュアル機能により経験年数の浅い職員でも的確な案内をすることができ、本システム導入により事務効率化が図られたことで、より子どもや保護者と向き合う時間も生み出しています。

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