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先進事例2025.11.17

防災・減災 自治体事例|老朽化した公営住宅建替えで住民の安全を確保、治山ダム設置で下流域の土砂流出を防止、学校への空調設置で安全・安心な教育環境を実現

防災・減災 自治体事例|老朽化した公営住宅建替えで住民の安全を確保、治山ダム設置で下流域の土砂流出を防止、学校への空調設置で安全・安心な教育環境を実現

神戸市、静岡県、南足柄市の防災・減災自治体事例

近年、気候変動の影響により気象災害が激甚化・頻発化し、南海トラフ地震等の大規模地震は切迫しています。また、高度成長期以降に集中的に整備されたインフラは老朽化しており、適切な対応をしなければ負担の増大のみならず、社会経済システムが機能不全に陥るおそれがあります。
このような危機に打ち勝ち、国民の生命・財産を守り、社会の重要な機能を維持するため、防災・減災、国土強靭化の取組の加速化・深化を図る必要があります。

そこで、内閣官房 国土強靭化推進室が5か年加速化対策全123項目について、災害時に効果を発揮した事例等を幅広く調査し、関係府省庁より報告があったものを取りまとめた「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策による取組事例集」より、自治体が実施した事業を抜粋して紹介します。

今回は、神戸市、静岡県、南足柄市の防災・減災自治体事例です。

老朽化した公営住宅建替えで住民の安全を確保|神戸市

兵庫県 神戸市は老朽化した公営住宅の建替による防災・減災対策として桜の宮周辺地区地域居住機能再生推進事業を実施しました。
同事業は築40年を超える高経年公営住宅の建替えを実施したもので、地震発生時における住民の安全確保を図るものです。

地域の概要・課題

本地区は昭和44年から47年にかけて建設された市内最大の公営住宅団地ですが、築40年を経て建物や設備の老朽化が進んでいました。

また、地区内および周辺は起伏が大きい地形であり、敷地内通路についても階段が多いなど、バリアフリーへの対応が必要となっていました。

事業の概要

神戸市強靭化計画、第2次市営住宅マネジメント計画に基づいて、老朽化が進む階段室型5階建て耐火構造の市営住宅60棟を、中~高層耐火構造の市営住宅へと集約建替を実施。建替えにあたっては、地区内の高低差を団地内を貫くバリアフリーや非常時の避難行動がより安全なものになるように整備しています。

また、各棟の屋上には太陽光発電システムを設置し、非常時においても一時的に共用部コンセントからの電力供給が可能となっています。

見込まれる効果

老朽化した公営住宅を現行の耐震・耐火基準に適合させることにより、地震発生時の建物被害を防止し住民の安全を確保するとともに、団地内にバリアフリーな通路を整備することで、非常時の避難行動がより安全なものとなります。

治山ダム設置で下流域の土砂流出を防止|静岡県

静岡県は山地災害危険地区等における治山対策として緊急予防治山事業(久保田地区)を実施しました。
土石流等の発生リスクが高い箇所に治山ダムを設置するもので、令和4年台風第15号時に治山ダムが流出土砂を捕捉したほか、天竜区全体の山地災害被害額が平成30年7月豪雨時に比べて低減しました。

地域の概要・課題

静岡県浜松市天竜区の久保田地区には、土石流等の発生リスクが高い渓流があり、不安定土砂や倒木等が堆積している状況でした。
このため、大雨等の発生時には、大量の土砂や流木が流出し、下流域に被害を与えるおそれが高い状況でした。

事業の概要

土石流等による下流の集落等への被害を未然に防止・軽減するため、静岡県において治山ダムを設置しました。

平成30年7月豪雨と令和4年台風第15号における降水量と山地災害被害額の比較

効果

令和4年台風第15号では天竜区において山地災害が複数発生しましたが、治山ダムを設置した久保田地区においては、治山ダムが流出土砂を捕捉し、下流域への被害を未然に防止しました。

また、天竜区全体では、山地災害が発生した平成30年7月豪雨と比較し、令和4年台風第15号の方が当時よりも降水量が大きかったにも関わらず、山地災害による被害額を抑えることができました。

学校への空調設置で安全・安心な教育環境を実現|南足柄市

神奈川県 南足柄市は公立小中学校施設の防災機能強化対策として特別教室空調設備実施事業を実施しました。
劣悪な避難生活環境、不十分な健康管理がもたらす、多数の被災者の健康・心理状態の悪化による死者の発生を防止するため、公立小学校の特別教室の空調設置を実施したものです。

地域の概要・課題

学校施設は、児童生徒の学習・生活の場であるとともに、災害発生時には避難所として活用されることからも、空調設備の整備は重要な課題となっています。

事業の概要

令和3年度に南足柄市立小学校4校の優先度の高い特別教室24教室において、空調設備を設置しました。
なお、令和5年度に南足柄市立小・中学校の特別教室における空調設備の設置が完了しました。

見込まれる効果

どのような気象条件においても、すべての児童等が安全・安心な教育環境で学校生活を送ることができます。また、災害時には避難所として活用される可能性があることから、空調を整備することによって、避難所の環境改善にもつながります。

〈参照〉
内閣官房 国土強靭化推進室「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策による取り組み事例集」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/kouhou/5kanen/pdf/jirei-all.pdf

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