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先進事例2025.10.17

スポーツ・健康を通じたまちづくり 自治体事例|3歳から取り組む運動習慣づくり、「モルック」を通じたスポーツ交流人口拡大、プロ野球球団と密に連携したスポーツまちづくり

スポーツ・健康を通じたまちづくり 自治体事例|3歳から取り組む運動習慣づくり、「モルック」を通じたスポーツ交流人口拡大、プロ野球球団と密に連携したスポーツまちづくり

女川町、御殿場市、筑後市のスポーツ・健康を通じたまちづくり自治体事例

国は第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(令和元年12月20日閣議決定)に従い、東京大会等の「スポーツ・レガシー」としてのスポーツによる地方創生、まちづくり(第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」においては、「スポーツ・健康まちづくり」と呼称)の各地のさらなる取り組みを促進するための推進体制を強化するとともに、全国で活用されている地方創生推進交付金、企業版ふるさと納税、地域おこし協力隊など国の施策の活用事例の周知を図りながら、スポーツ庁の主導の下、関係府省庁と連携・協力して、地域により特色ある「スポーツ・健康まちづくり」の創出を全国で加速化させています。

スポーツ庁では、令和3年度からスポーツによる「地方創生・まちづくり」に積極的に取り組もうとする自治体の取組計画を表彰する「『スポーツ・健康まちづくり』優良自治体表彰」(スポまち! 表彰)を実施しています。

「スポーツ・健康まちづくり」とは、スポーツや運動を通じて、交流人口の拡大や、誰でも日常的に出歩き、体を動かし、スポーツができる環境整備等に取り組むことによって、スポーツを活かして他の分野における地域課題の解決、多様性を尊重する社会づくりや地域経済の活性化等を図っていく取組を指します。

ここではスポーツ庁「スポまち! 表彰」を受賞した自治体の取り組みを紹介します。今回は、女川町、御殿場市、筑後市のスポーツ・健康を通じたまちづくり自治体事例です。

3歳から取り組む運動習慣づくり|女川町

宮城県 女川町では、保育所から小学校まで継続して運動機会を提供する等の「3歳から取り組む運動習慣づくりプロジェクト~ONAGAWAモデル~」を推進しています。

総合型クラブ民間事業等と連携・業務委託し、それぞれの事業主体が連携してプログラムを作成。年間を通してさまざまなスポーツや体を動かす遊びを体験できるもので、承認の声がけを徹底する等、運動が好きになり自分から体を動かす機会の増加を促進し、運動習慣の定着・体力向上・生活習慣改善を働きかけます。

生活様式の変化で外で遊ぶ機会が減少し、子どもたちの体力が低下。肥満傾向も増加していることからこの取り組みがスタートしました。保育所では年間を通じた運動教室を開催し、子どもたちの体力がアップしたことから、より効果的な取り組みとするため、保育所~小学校まで継続したプログラムを提供することになりました。

総合的な取り組み内容

保育所では町健康福祉課が月2回の運動教室「キッズスポーツ」を、小学校低学年では町教育委員会が月2回の運動教室「アクティブクラブ」をそれぞれ実施しています。小学校高学年では町と連携・業務委託している総合型クラブが週1回の運動教室「アクティブネクスト」を実施しています。

目標とポイント

目標
幼少期からスポーツに触れる機会をつくり、運動習慣の定着化(運動実施率70%以上)、体力向上(体力テストの結果、全国平均以上)を図ります。

ポイント
1.非認知能力アップ:「できた・できない」の結果だけを評価するのではなく、前の自分と比べてできるようになったことを「ほめる」。さらにプログラム中の動画を保護者に限定公開で配信することで、家庭でも「ほめる」機会が増え、自己肯定感の向上につながり、運動が好きになる。
2.運動習慣⇒生活習慣の改善:年間を通じた活動で運動習慣を身に着けることで生活習慣を改善

「モルック」を通じたスポーツ交流人口拡大|御殿場市

静岡県 御殿場市は年齢や健康状態にかかわらず楽しめるスポーツ「モルック」を通じたスポーツ交流人口拡大を推進し、御殿場市を国内における「モルックの聖地」にすることを目指しています。

モルックは木製の棒を投げて、12本あるピンの倒れ方で採点する投擲スポーツで、近年、競技人気が上昇しているとされ、一般社団法人日本モルック協会が2025年1月に実施した調査(Webアンケート)では国内の競技人口は274万人に達しています。2024年に函館市で開催されたアジア初のモルック世界大会には15の国・地域より643チーム、3,200人以上が参加しました。御殿場市は2027年モルック世界大会を同市に誘致する取り組みも進めています。

誰もが楽しめるモルックを通じて、普段スポーツに親しむ機会が少ない市民も気軽にアクセスできるスポーツを提供し、スポーツを通じた新たな人と人との交流を促進。また世界モルックの世界最大規模の大会に携わった日本モルック公認団体で御殿場市にある「 NAKA-Mol Gotemba」と市民の交流を進めることで、「生きがい」「新たな交流(域内外)」「シビックプライド」の創出を図ります。

総合的な取り組み内容

モルックを知る機会や、モルックを通じた交流機会を創出するため地元団体等による市民向け大会・体験会を実施しています。また、子どもたちの憧れや目標の創出、競技力向上を図るため世界で活躍するモルックのトップアスリートによるモルック教室も開催しています。さらに、小~大規模大会誘致およびモルッカー来訪施策を推進し、御殿場市を全国のモルックチームがまた来たいと思えるまちにすることも目指しています。

目標とポイント

目標
・「市民ひとり1スポーツ」の実現。モルックでスポーツに誰もがアクセスできる(モルックによる市民の運動機会の創出)。
・世界中から「モルックをしに来たい!」と思えるまちへ(スポーツツーリズムによる文化・経済活性化)。
・モルックを通じて地域・世代間を超えた交流の実現(域内外の人との交流を育み、豊かな生活を創出)。

ポイント
1.市内スポーツ団体・地元モルックチームが一丸となりモルック普及に積極的に取り組んでいる
2.2024モルック世界大会4位の選手を輩出。子ども向けのモルック教室の実施経験有
3.世界最大規模の大会が複数回開催され、多くの市民が大会に携わった

プロ野球球団と密に連携したスポーツまちづくり|筑後市

福岡県 筑後市は、平成28年1月にプロ野球球団・福岡ソフトバンクホークスと締結した「地域包括連携協定」に基づいた多種多様な取り組み「若鷹のまちスポーツ・健康まちづくりプロジェクト」を展開しています。

若鷹とは福岡ソフトバンクホークスのファームチームの選手たちを指す愛称で、筑後市には同球団のファーム球場があります。

包括協定は、スポーツ振興および健康増進、青少年の教育および育成、観光振興、地域活性化、相互の情報発信といった5つの柱があります。球団の絶対的な知名度を生かしたシティプロモーションなどを展開し、観光入込客数の更なる増加や定住人口減少への歯止めなどに活かすことで、筑後市が「『若鷹のまち』として知名度が向上し、観光入込客にあふれ、市民満足度も高い、魅力的な市」となることを目指しています。

総合的な取り組み内容

「スポーツ振興および健康増進」として、市民と選手の交流会や現役選手参加の野球教室などを開催しています。
「青少年の教育および育成」として、選手の学校訪問、選手と触れ合えるイベントなどを実施しています。
「地域活性化」としては、無料券の配布や市から球団へ地元産米の提供などが行われています。
「相互の情報発信」では、市の広報紙で市民に向けて球団関連の情報を発信しているほか、特定健診などのポスターに選手を起用しています。
「観光振興」では、年間約10万人が球団のファーム球場に来場しています。

目標とポイント

目標
・観光入込客数の増加(現状:83.6万人→目標:令和10年3月までに108万人)
・運動、スポーツを行う市民の割合の増加(現状:36.1%→目標:令和10年3月までに50%)

ポイント
1.プロ野球球団である「福岡ソフトバンクホークス」と密に連携したスポーツのまちづくり(ファーム球場・若鷹選手を活用した施策の推進による、スポーツへの意識の醸成)
2.球団が持つブランド力・発信力を十分に生かしたシティプロモーション(常勝軍団が有する絶対的な知名度により、「筑後」の名が数多のメディアに露出)
3.若鷹選手と市内児童のふれあいを通じての青少年健全育成(選手たちが市内小学校を訪問し、自作の人生グラフ説明や実技披露を通じて交流)

〈参照〉
文部科学省 スポーツ庁「『スポーツ・健康まちづくり』優良自治体表彰2024」
https://www.mext.go.jp/sports/content/20250129-spt_stiiki-000039992_22.pdf


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