デジタル活用で実現する自治体 防災DX　実証実験

　北海道伊達市と日本ビジネスシステムズ株式会社（JBS）が実施した実証実験では、実効性の高い「広域地域連携」の実現を目指し、以下の重要課題について北海道伊達市様を中心に西胆振地域の1市3町協力のもとで検証しました。
　具体的には、災害対策室の迅速な立ち上げから、①クラウド活用、②情報共有、③災害備蓄品管理（広域地域連携）の三点を重点的にチェックしました。
　本検証は、災害の長期化を見据え、スターリンク(※1)を活用したインターネット環境の維持と、クラウド型災害備蓄品管理アプリを利用した広域連携による活用に焦点を当てることで、単なる形式的な訓練に留まらず、より実践的な課題解決と相互理解の深化を促しました。

※1スターリンク　SpaceX社が提供する人工衛星を利用した高速・低遅延のインターネットサービス

平時に活用しているコミュニケーションツールを自治体防災DXでも活用

西胆振地区にある有珠山について

　北海道伊達市のある西胆振地域には約20年～30年周期で噴火している有珠山があります。有珠山は、北海道の洞爺湖の南にそびえる標高733mの活火山であり、常時観測火山に指定されています。その最大の特徴は、非常に活動的である点にあり、20世紀だけでも4回もの噴火が記録され、近年では2000年にも噴火活動を起こしています。この噴火のたびに、昭和新山のような新しい溶岩ドームや地形が形成されてきた、成長を続ける火山です。前回の噴火でも甚大な被害が発生し、避難者の対応や災害物資の管理や融通には広域連携が必要となります。

本実証実験について

　災害対策室の立ち上げだけではなく、自治体が直面する長期化を見据えた災害備蓄品の広域連携による有効活用やインターネット環境の維持を実現しクラウドの有効活用に焦点を当てる事でより実践的な相互理解を深める訓練です。
今後は、クラウド活用を見据えた市民中心の「防災DX」に取り組みを実践することで、平時からの訓練を通じ、地域防災力を高めます。
これにより、災害時の避難元自治体だけでなく、広域自治体が担う「受け入れ後の負担」（物資、人員、長期生活）にも焦点を当て、より実践的で相互理解を深める訓練の実現となりました。
　実効性の高い「広域連携」を検証できる事を背景に、「クラウド活用」「情報共有」「災害備蓄品管理」の3点を1市3町の自治体間連携（伊達市、壮瞥町、洞爺湖町、豊浦町）を介して検証します。

以下３点を実証実験のゴールとしました。

• 災害対策本部機能の検証：庁舎倒壊を想定した臨時災害本部機能設営とデジタルデバイスの利活用習得。
• 災害備蓄品の広域共有の検証：クラウドアプリケーションを活用した近隣自治体間での災害備蓄品状況の確認と共有。
• 地域間情報連携の検証： デジタルツールを活用した情報共有及びコミュニケーション手段の確保。

デジタルの力で災害時のコミュニケーションを維持

想定状況

　有珠山が噴火警戒レベル２に引き上げられており、その間に、胆振西部地方に震度６弱の地震が発生（津波なし）したという複合災害の状況としました。
　なお、この地震の影響により西胆振一帯が停電となり、伊達市においては断水状態が続いており、伊達市の本庁舎は、一部損壊により災害対策本部室が使用できない状態となったために、複数あるタイニーハウスの一部を災害対策本部室として立ち上げて活用するという状況で訓練を開始しました。

ストーリー骨子

実証実験参加企業一覧（順不同）
日本ビジネスシステムズ株式会社：実証実験のご提案、その他物品システム手配など
日本仮設株式会社：TINY HOUSE（タイニーハウス）に設置する太陽光発電設備、水の浄化システムなどのご提供
クレアル工業株式会社：TINY HOUSE（タイニーハウス）のご提供
テルウェル東日本株式会社：防災Stock appのご提供
SB C&S株式会社：スターリンクのご提供
ダイワボウ情報システム株式会社：スターリンクのご提供
Verkada Japan 株式会社：クラウド型遠隔監視カメラ（CP52-EとCB62-E）のご提供
株式会社アイ・オー・データ機器：モニター（LCD-U431DXとLCD-A271D）のご提供
日本AMD株式会社：検証用PCのご提供