主権者教育 自治体事例|大学生との意見交換会、中学生の模擬議会見学会を開催

静岡県議会、鬼北町議会の主権者教育 自治体事例
主権者教育は、国や社会の問題を自分の問題として捉え、自ら考え、自ら判断し、行動していく主権者を育成していくものとして、子どもたちが地域の課題について議論する中で民主主義や地方自治について学ぶ機会にもなっています。
こうした中、議会や議員の重要性が改めて認識されるよう令和5年4月に地方自治法が改正され、地方議会の役割および議員の職務等が明確化されました。
この改正を踏まえ、全国都道府県議会議長会・全国市議会議長会・全国町村議会議長会では、議会への関心・理解を高め、多様な人材の参画を促すために、主権者教育を国民運動として進めており、そのひとつとして、議会が主体的に行う主権者教育の取り組みをまとめた事例集「地方議会が進める主権者教育事例集」を発行しています。
本記事は主権者教育の自治体事例を同事例集より抜粋して紹介します。今回は、静岡県議会、鬼北町議会の主権者教育自治体事例です。
大学生との意見交換会|静岡県議会
静岡県議会は、平成27年6月の公職選挙法の改正により同28年6月から選挙権年齢が18歳に引き下げられることに鑑み、議長から大学との相互連携などについて議会運営等改善検討委員会に諮問したい旨の提案があったことをきっかけに、大学生との意見交換会を実施しています。
本会議の傍聴と併せ意見交換会を実施しているもので、大学の意向を踏まえ、多岐にわたる意見交換のテーマを設定し、本会議の感想や意見についても活発に意見交換しています。
複数の議員と語らう時間を十分に確保し、学生からは素朴な疑問から県政の課題まで積極的に質問できるようにしています。議員が大学に出向き、講義に参加するスタイルでの意見交換も実施しています。
開催内容
●本会議傍聴(一般質問)
●議員との意見交換会(場所:県庁内会議室)
●「県議会の役割」をテーマに学生が議員に質問し、議員が回答
質疑例:「女性議員が増えたことで変わったことは?」→「不妊治療に関すること、性犯罪に関すること等、より多様な視点での質問が増えた」
●「投票率」をテーマに学生が議員に質問し、議員が回答
質疑例:「若者は立候補者のどのような情報を得て選挙に行き、どのような判断基準で投票すべきか」→「SNSの情報が全て正しいわけではない。公平性を考えながら、新聞やラジオ等からも自分で情報を得てほしい。人柄をみて、政策をみて、自分で選んで投票するべき」
(令和5年12月の静岡大学との開催例、抜粋)

静岡県議会が実施した大学生との意見交換会の模様
工夫点・留意点
年度当初に県内の大学に実施希望を調査
年度当初に、各大学へ実施について希望を調査。令和4年度、令和5年度とも5大学7グループと意見交換会を開催しました。
大学の意向を踏まえた意見交換のテーマ設定
意見交換のテーマは、学生がゼミで学んでいるテーマなど、メール等で打ち合わせを行い決定。「少子化・子育て支援」や「観光と地域活性化」など多岐にわたるテーマを議論した実績があり、希望する議員には、事前に執行部からの説明や資料提供を実施しました。
本会議の傍聴と併せた意見交換の実施
学生は意見交換前に本会議を傍聴。その感想や意見についても、学生は議員に積極的に質問しました。
複数の議員と語らう時間を十分に確保
意見交換の時間を十分に確保することで、アットホームな雰囲気のなかで学生はざっくばらんに質問することが可能となり、政治に対する素朴な疑問や議員になろうと思ったきっかけ、県政の課題に関する考えなどさまざまな議論が活発に展開されました。
取り組みの効果
参加した学生からは、対面で話さなければ聞けなかったことをたくさん聞くことができ、こういった機会はとても貴重で大切だと感じたとの感想が寄せられました。
参加した議員からは、若者と交流できる貴重な機会であるとの意見がありました。

中学生の模擬議会見学会を開催|鬼北町議会
愛媛県 鬼北町議会は、令和4年11月に議会への理解・関心を深め、主権者を育成することを目的に「中学生の模擬議会見学会」を開催しました。
同町では平成31年3月から議会の広聴活動の一環として、年1回程度、高校生、町商工会役員、町PTA役員と懇談会(意見交換)を実施し、今後の議会活動につなげてきました。
こうした中、令和4年11月に主権者を育成する目的で町内2中学校の生徒を対象にした「中学生の模擬議会見学会」を開催することとしました。
中学生は、町議会議員および議会のしくみについて、議会事務局から説明を受けた後、本会議さながらの「一般質問」、「条例の制定」および「補正予算」に対する質疑・討論のやりとりを傍聴し、議員の役割や議会が審議して意思決定する「議決」の流れを学びました。
模擬議会では、議員12人が町執行部役と議員役に分かれ、「学校給食費の無償化」の一般質問と回答並びに「鬼北町ネットゲーム依存症対策条例の制定」および「一般会計補正予算」の2議案についての質疑や討論を実施し、採決には代表生徒10人も議員として参加しました。
模擬議会の内容
●一般質問:学校給食費の無償化について
●議案第1号:鬼北町ネットゲーム依存症対策条例の制定について
●議案第2号:令和4年度鬼北町一般会計補正予算について

鬼北町議会が実施した中学生の模擬議会見学会の模様
工夫点・留意点
発達段階に応じた取り組みの実施
当初の計画段階においては、中学生との意見交換会の実施を検討したが、教育委員会との協議の中で、中学生段階では地域の課題に対し自分の意見をまとめて発言する意見交換は難しいと判断。まずは、議員や議会に対する理解、関心を深めてもらうことが効果的であると考え、模擬議会見学会としました。
中学生に身近な問題をテーマとして設定
一般質問では町政課題の中から、生徒が意見交換しやすい「学校給食費」を、議案では中学生が当事者となるような社会問題である「ネットゲーム依存症」をテーマとして設定しました。
運営方法の工夫
議員が教育長など執行部役も務め答弁しているほか、中立性を保てるように事前に多様な意見を情報収集し、模擬議員に資料を提供しました
また、模擬議会終了後に中学生から町に対する要望等の意見をいただく場も設けました。

取り組みの効果
中学生からは議会を身近に感じ、政治・社会について関心をもつことができたとの感想が寄せられたほか「普段自由に使える広場等の遊べる場所が欲しい」や「若者が地域に残れる対策はないか」との意見があり、議会としても貴重な場となりました。




.png)
.png)