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先進事例2026.05.01

カーボンニュートラルのまちづくり 自治体事例|まちづくりとエネルギー事業を両輪で推進、都心既存ビル群における再エネ導入

カーボンニュートラルのまちづくり 自治体事例|まちづくりとエネルギー事業を両輪で推進、都心既存ビル群における再エネ導入

小田原市、大阪市のカーボンニュートラルのまちづくり自治体事例

近年、豪雨災害や記録的な猛暑など、気候変動に伴う自然災害の激甚化・頻発化が世界的な課題となっており、わが国においても2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、地域の取り組みを推進しています。

そのような中で、都市・地域構造や交通システムは中長期的にCO2排出量に影響を与え続けることから、都市分野においても脱炭素に資する都市・地域づくりが求められています。

そこで、都市行政においてカーボンニュートラルに向けた取り組みを一歩進めるための手引きとなることを目的に国土交通省 都市局 都市政策課 都市環境政策室が作成した「都市行政におけるカーボンニュートラルに向けた取組事例集(第2版)」より、地域脱炭素ロードマップの脱炭素先行地域の自治体事例のほか、海外事例も抜粋して紹介します。

今回は、小田原市、大阪市のカーボンニュートラルのまちづくり自治体事例をお届けします。

まちづくりとエネルギー事業を両輪で推進|小田原市

神奈川県 小田原市では、小田原駅周辺の再開発や公共施設整備、地域資源を活かした取り組みの展開による定住・交流人口の増加や今後の新病院建設による都市機能の強化を背景に、脱炭素先行地域の活用によりEVモビリティやエネルギーシステムの導入等を実施し、さらに快適で賑わいあるコンパクトシティを目指しています。

エネルギーマネジメントシステムの導入により、地域内のエネルギーの地産地消を進めるだけでなく、災害時でも安定的なエネルギー供給につながるほか、小田原駅周辺の観光施策とエネルギー施策を同時に進めることで、交流・定住人口の増加が期待されています。

また、小田原駅東口エリアの商業施設や駅近くの生活拠点エリアで再生可能エネルギーを導入し、観光客向け電気自動車(EV)充電器の設置やEVタクシーの導入を通じて「EV宿場町」として観光客の呼び込みも促進します。

都市の課題と今回のまちづくり(左)と取り組み経過

今回のまちづくり①
歴史的資源を通じた賑わいと交流のコンパクトシティの形成

都市行政では、平成30年度から令和2年度にかけて、歴史的資源を通じた賑わいと交流のコンパクトシティをテーマに、ハード・ソフト両面の事業を展開し、観光消費額の増加や交流人口の増加を図りました(都市再生整備計画 小田原駅周辺地区 第2期、箱根板橋駅・南町周辺地区)。

具体的には、地元企業によるホテル、商業施設、公共施設等のお城通り地区再開発、小田原城天守閣等の整備と地域DMOによる観光PR事業等、多様な文化交流と回遊性を生み出す市民ホールを整備したほか、回遊動線を強化する歩道整備、レンタサイクル、回遊バス事業等により、小田原駅・城を中心とした賑わいを創出。商店街、協議会による歴史的資源を生かしたまちづくり、定住・交流人口増加をテーマに空き家・空き店舗対策など、地域住民等による地域再生活動も支援しました。

小田原市のまちづくりの取り組み内容

今回のまちづくり②
新病院建設事業(小田原市立病院の建て替え)

新病院建設事業(小田原市立病院の建て替え)では、 2050年脱炭素化に向けて全庁的な取り組みが進められており、基本計画、及び要求水準書の中では省エネルギーに関する基準等が示されています(都市再生整備計画 小田原駅周辺地区 第3期)。

小田原市立病院は、昭和59年の全面改築から35年以上が経過し、電気設備等の設備面での老朽化や病室一床当たりの面積が医療法施行基準を下回っていたことから新病院の建設に取り組んでおり、都市構造再編集中支援事業を活用し、令和8年5月に開院予定です。

令和2年に「小田原市新病院建設基本計画」を策定し、地球環境に配慮した施設にするとして省エネ対策を重視しており、病院等では脱炭素先行地域の補助も受け、国内最大規模のZEB-orientedの取得を目指しています。

新病院建設事業(小田原市立病院の建て替え)におけるZEB-oriented取得のための省エネ提案項目と効果

今回のまちづくり③
EV宿場町の取り組み

小田原市では、中心市街地の更なる活性化に向けて、観光と脱炭素を連携した取り組みとして、首都圏からEV車で箱根に訪れる観光客が箱根の山越えに備えて充電する需要(経路充電需要)を見込んで、電気自動車への充電対応と、充電時間を活かした周遊を促す施策に取り組んでいます。

また、小田原駅東口エリアの商業施設や駅近くの生活拠点エリアの住宅に太陽光発電や蓄電池を最大限導入し、観光客向け電気自動車(EV)充電器30台の設置やEVタクシーの導入により「EV宿場町」を目指します。

さらに、脱炭素先行地域の指定に先立ち小田原市では、エネルギーマネジメントと連動したEVシェアリングの取り組みを始めており、地域交通の脱炭素化を進めるとともに、EV搭載蓄電池は「動く蓄電池」と捉え、エネルギーを無駄なく利用する地域エネルギーマネジメントに利用されています。

小田原市が推進する地域エネルギーマネジメント事業の概念図

今回のまちづくり④
地域需給バランス・取引システムの構築

今回の取り組みでは、市内で発電した再エネ電力を活用し、エネルギーの地産地消も進めています。

その際、再エネ電力を活かし、需要と供給を調整する仕組みとして、「地域需給バランス・取引システム」の構築を行っています。これにより、再エネ電力の受入がより効率的になり、地域の再エネ率を高めて、都市のカーボンニュートラルにつなげます。

再エネの地域需給バランス・取引システムは、再エネが大量に導入された際にも出力制御を回避できるとともに、安定した電源確保により市場調達依存度の低減につながるなど、再エネ発電事業者、小売電気事業者、需要家などさまざまな関係者に効果のある取り組みです。

今後の展望

コンパクトシティの推進
都市の集約化による交流・定住人口の増加とそれに伴うエネルギー需要が今後の脱炭素施策をより効率的・効果的なものにすることから、既存ストックの活用や公民連携施策などエリア価値の向上に資する取り組みを進めます。

都市機能整備における脱炭素施策の活用
市立病院のZEB化や商業施設への発電設備導入などを先行事業とし、今後、公民の市街地整備事業についてより効果的なエネルギー設備の導入を図ることで、安全で快適な質の高い都市機能整備による交流人口・定住人口の増加を図ります。

対象地区周辺への回遊性・経済活性化の波及
EVカーシェアや電動シェアサイクルなどを対象地区周辺に広げ、交流空間の拡大を図るとともに、地域全体の回遊性の向上と地域経済の活性化を図ります。

都心既存ビル群における再エネ導入|大阪市

大阪府 大阪市では、オフィスビルが集積する御堂筋沿道地区において、エリア価値向上を目的に活動するエリアマネジメント団体が、御堂筋の課題と改善策を検討し、行政や経済団体等とのパートナーシップを図りながら活性化の取り組みを展開してきており、近年では市と連携し道路空間再編による賑わい創出に向けた取り組み等を実施しています。

さらに、エリアマネジメント活動の一環として、再エネ・省エネの取り組みも推進することで、大都市中心部におけるエリア単位の脱炭素化と、企業・地域のブランド力向上を目指します。

対象地域は市のメインストリート「御堂筋」を軸としたエリアであり、大阪一の業務集積地区として、エリアマネジメント団体を立ち上げ、これまでにも道路空間を活用した都市魅力の向上や防災力の強化を図る取り組みが公民連携で進められてきました。

平成31年3月に策定された「御堂筋将来ビジョン」が重要施策として位置づけられるなど、市にとって特別なエリアであり、今回脱炭素先行地域に応募するにあたっても、庁内の横断的連携、官民連携を図りやすい環境がありました。

市では、平成28年7月より市長をトップに据えた大阪市地球温暖化対策推進本部を設置。全庁的に地球温暖化対策に取り組む体制があり、今回脱炭素先行地域に応募する際にも、推進本部を通して全庁的な協力体制構築が図られています。

都市の課題と今回のまちづくり(左)と取り組み経過

今回のまちづくり①
御堂筋エリアのエリアマネジメントの取り組み

御堂筋エリアでは、不動産オーナー等43社を正会員とするエリアマネジメント団体「一般社団法人 御堂筋まちづくりネットワーク」を立ち上げ、賑わい創出・エリア防災力向上等の取り組みや「道路空間再編事業」等の市のまちづくりとの連携により「活力と風格あるビジネスエリア」としてエリアの価値向上に取り組んでおり、その取り組みの一環として、エリア内での脱炭素化に取り組むこととしました。

御堂筋まちづくりネットワーク活動エリアおよび主な活動と大阪市のまちづくりとの連携

今回のまちづくり②
都心既存ビル群における脱炭素化

再エネ設備の立地が非常に困難な都心の既存オフィスビルが立ち並ぶ御堂筋エリアにおいて、エリアマネジメント団体のネットワークを活かして、関連事業者と共に需要家のさまざまなニーズに合わせた複数パターンの再エネメニューを構築し、エリマネ会員企業に普及啓発することにより、再エネ活用の促進によるエリア単位での脱炭素化を目指します。

取り組みの概要

カーボンニュートラルを進める利点

都市のイメージ向上
今後、車の交通量の減少が予想される中で、都市行政の施策も脱炭素に寄与する方向に進み、ウォーカブルだけでなく脱炭素のまちとしてアピールできるようになります。

都市のレジリエンス向上
既存ビルの建替更新の機会を捉え、自立・分散型電源の導入やエネルギーの面的利用の確保を誘導することで、防災性の向上が図られ、業務集積地区における災害時の安全確保や業務継続が可能となります。

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