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先進事例2026.04.01

カーボンニュートラルのまちづくり 自治体事例|再エネを活用したシェア型マルチモビリティの導入を推進、緑化要件を設定し環境と景観に配慮した擬自然雨水管理実践システムを導入

カーボンニュートラルのまちづくり 自治体事例|再エネを活用したシェア型マルチモビリティの導入を推進、緑化要件を設定し環境と景観に配慮した擬自然雨水管理実践システムを導入

さいたま市、シアトル市(米国ワシントン州)のまちづくり自治体事例

近年、豪雨災害や記録的な猛暑など、気候変動に伴う自然災害の激甚化・頻発化が世界的な課題となっており、わが国においても2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、地域の取り組みを推進しています。

そのような中で、都市・地域構造や交通システムは中長期的にCO2排出量に影響を与え続けることから、都市分野においても脱炭素に資する都市・地域づくりが求められています。

そこで、都市行政においてカーボンニュートラルに向けた取り組みを一歩進めるための手引きとなることを目的に国土交通省 都市局 都市政策課 都市環境政策室が作成した「都市行政におけるカーボンニュートラルに向けた取組事例集(第2版)」より、地域脱炭素ロードマップの脱炭素先行地域の自治体事例のほか、海外事例も抜粋して紹介します。

今回は、さいたま市、シアトル市(米国ワシントン州)のカーボンニュートラルのまちづくり自治体事例をお届けします。

再エネを活用したシェア型マルチモビリティの導入を推進|さいたま市

埼玉県 さいたま市では、「市民のウェルビーイングな暮らしを実現する<スマートシティさいたま>」の構築に向け、駅を核としたウォーカブルで誰もが移動しやすい、人中心に最適化された都市空間・環境の形成の取り組みに、脱炭素先行地域の補助を活用し、再エネを活用したシェア型マルチモビリティの導入を進めています。

スマートシティの取り組みとしては、都市・交通部局だけでなく、経済部局や環境部局とも連携して、大宮地区や美園地区で取り組みを推進。関係する団体が10数社いる中でコンソーシアムを組んで実施しています。

脱炭素に係る取り組みとしては、2009年より、さいたま市が民間企業などと連携し、EVなどの次世代自動車の普及を通じて持続可能な低炭素社会の実現を目指すプロジェクト「E-KIZUNA Project」として主に交通分野の脱炭素化を進めてきました。国の2050年カーボンニュートラル宣言に先駆け、同市では2020年7月28日にゼロカーボンシティを表明しています。

将来予測される人口減少・超高齢社会の到来を踏まえ、スマートシティ施策とあわせて、大学や企業と連携した同市独自の「グリーン共創モデル」の実現に向けた取り組みも進めています。

都市の課題と今回のまちづくり(左)と取り組み経過

今回のまちづくり①
スマートシティ実装化の取り組み~スマート・ターミナル・シティさいたま

駅を核としたウォーカブルで誰もが移動しやすい、人中心に最適化された都市空間・環境〈スマート・ターミナル・シティ〉の形成に向け、生活利便性向上・まちの賑わい形成を支えるマルチモーダル・インターモーダルな移動環境・交通サービス体系づくりを軸に、3D都市モデルや各種サービスデータの統合・分析による施策効果の可視化等を通じて、多様な地域プレイヤーを巻き込んだ産官学民連携によるモビリティサービス普及、都市空間・環境整備に向けた合意形成等を推進しました。

「スマート・ターミナル・シティさいたま」の取り組み内容

今回のまちづくり②
シェア型マルチモビリティ導入の取り組み~大宮プロジェクトチーム

「さいたま市スマートシティ推進コンソーシアム・大宮プロジェクトチーム」では、「さいたま市スマートシティ推進事業」の実施を通じた地域再エネを活用したシェア型マルチモビリティサービスを実施しています。脱炭素先行地域の取り組みの中で、再生可能エネルギーの導入によるシェア型マルチモビリティの脱炭素化を図ります。

さいたま市スマートシティ推進コンソーシアムは、公民学連携によりビッグデータやAI、IoT等の先進技術を活用した事業に取り組むことで、市民サービスの向上と持続可能なまちづくりの実現を目指し、令和2年1月28日に設立されました。

さいたま市スマートシティ推進コンソーシアムのページ(https://www.city.saitama.lg.jp/001/010/018/015/002/p086611.html

今回のまちづくり③
AIオンデマンド交通サービスの取り組み~美園地区プロジェクトチーム

「さいたま市スマートシティ推進コンソーシアム・美園地区プロジェクトチーム」では、既存交通を補完し、多様な地域ニーズに柔軟に応えながら、脱クルマ依存型生活行動を支える移動手段として、AIシステムによりスマートフォンアプリを介した利用者の乗降予約に応じて最適な運行ルート設定や配車をリアルタイムで行う相乗り輸送サービスで、待ち時間も少なくスムーズに利用することが可能なオンデマンド交通サービスの実証運行を進めました(「スマートシティ実装化支援事業」等を活用)。

今後の展望

駅を核としたウォーカブルで誰もが移動しやすい、人中心に最適化された都市空間・環境の形成をコンセプトに、「大宮駅周辺・さいたま新都心周辺地区」、「美園地区」を市内における先行モデル地区として取り組みを推進し、得られた成果を市内他地区等に展開していきます。

《海外事例》緑化要件を設定し環境と景観に配慮した擬自然雨水管理実践システムを導入|シアトル市(米国ワシントン州)

米国ワシントン州のシアトル市議会は、カーボンニュートラルな都市づくりに向けて、雨水を資源として捉えた自然排水を行う雨水管理実践システム(GSI=Green Stormwater Infrastructure)を導入。市街地の不浸透舗装を減らし、自然界の雨水量調整プロセスを模倣したレインガーデンを道路空間に設けました。

レインガーデンの植物の生育や雨水貯留と散水は、ヒートアイランド現象の緩和や気温上昇の低減に寄与し、自然界に与える影響と雨水管理のコストを軽減したほか、街並みの景観向上や、都市の生物の生育環境に恩恵を与えるなど、複数の効果をもたらしました。

同市はレイニーシティと呼ばれるほど雨が多い気候で、下水管の老朽化により、都市型洪水や下水逆流のリスクが高まっていました。また、従来の都市計画では、都市化に伴う市街地の舗装化により雨水の浸透率が低下。その結果、排出された雨水がガソリンやゴミの混入により汚染され、排水先であるピュージェット湾の自然環境が脅かされていました。

同市は2050年のカーボンニュートラル達成目標を2011年に採択、「シアトル気候行動計画」を2013年に策定。2018年に発表した「シアトル気候戦略」では、特に温室効果ガスの主な原因である交通機関や建築・都市開発に対する行動を促進するとしています。

シアトル市のGSIの一例。特別な土壌や植物を使って雨水を捕捉・浄化し、流れを遅くして地中に浸透させる

具体的な取り組み内容

多様な世帯が混在する地域として再構築された34区画の住宅地であるハイポイント地区で、高密度な地域全体で自然排水システムプロジェクトを実施。2007年に再開発第1フェーズ、2009年に第2フェーズが完了しました。

①レインガーデンとバイオリテンションシステムの設置
屋根からの流出水を、樋を通じて自然排水システムであるレインガーデンや透水性舗装へ排水する水路システムを構築。雨水の流れが緩やかになり総浮遊物質を8割除去でき、生物生息地の保護にも貢献します。

②多様な街並みの形成
レインガーデンによりコミュニティの緑が増加。また、自然排水が行われる多様な舗装により、子供用エリアやオープンスペースなど多様な街並みが形成されました。

③ワークショップの実施
住民のまちづくりの参加促進に向け、雨水管理に関する施策・取り組み説明と指導だけでなく、学生や住民を巻き込んだワークショップを開催し、行政と住民の連携を強化。ワークショップは多様な居住者を考慮し、12以上の言語で開催。積極的に地域との話し合いの場を設けました。

日本の自治体・企業への脱炭素化の推進に関するヒント

既存インフラを活用し、自然界を模倣したシステムでコストを抑えて相乗効果を生み出す
既存の雨水管理施設と自然環境を活用することで、イニシャルコストと維持管理コストを軽減します。
また、二酸化炭素を吸収するだけでなく、都市景観やコミュニティに貢献するレインガーデンなど、ひとつの取り組みから相乗効果を生み出します。

シアトル市ハイポイント地区の街並み

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