自治体通信ONLINE
  1. HOME
  2. 先進事例
  3. ICT人材を活用したDX推進で、職員が自走する環境づくりを目指す
先進事例2022.09.08
帳票のデータ化を皮切りとしたDX①

ICT人材を活用したDX推進で、職員が自走する環境づくりを目指す

[提供] 東日本電信電話株式会社
ICT人材を活用したDX推進で、職員が自走する環境づくりを目指す
この記事の配信元
東日本電信電話株式会社
東日本電信電話株式会社

北海道上士幌町の取り組み

帳票のデータ化を皮切りとしたDX①

ICT人材を活用したDX推進で、職員が自走する環境づくりを目指す

上士幌町
企画財政課 主査 山本 敦志
デジタル推進課 主幹 菊地 充一
[提供] 東日本電信電話株式会社

※下記は自治体通信 Vol.42(2022年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

各自治体がDXに取り組むなか、ICTツールを導入するだけでなく、民間企業からデジタル専門人材を受け入れ、さらなるICT推進を目指す自治体が増えている。上士幌町(北海道)もそうした自治体のひとつで、ふるさと納税の処理業務をデジタル化する際に、その効果を発揮したという。企画財政課の山本氏に、詳細を聞いた。

[上士幌町] ■人口:4,931人(令和4年7月末日現在) ■世帯数:2,611世帯(令和4年7月末日現在) ■予算規模:106億9,326万円(令和4年度当初) ■総面積:694.23km2 ■概要:十勝地方の北部、大雪山国立公園の東山麓に位置している。町内の約76%が森林地帯であり、大自然の恩恵を受けた畑作、酪農などの農業や林業などの第一次産業や公共育成牧場のナイタイ高原牧場、北海道遺産旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群などの観光業も盛ん。スロータウンの理念のもと、それらの地域資源を活用しながら、健康・環境・観光と子育て・教育をコンセプトにしたまちづくりを進めている。
上士幌町
企画財政課 主査
山本 敦志 やまもと あつし

繁忙期の年末には、10人体制でも追いつかず

―上士幌町がふるさと納税の処理業務で抱えていた課題を教えてください。

 ワンストップ特例申請書類の処理に、時間がかかっていました。当町では、ありがたいことに全国から多くのふるさと納税寄附金をいただいており、申請書の処理件数は年々増加。具体的には、令和2年度では3万4889件の処理が必要で、それが11~12月に集中していたのです。そのため、多いときでは1日に約800件の申請書が当町に届いていました。通常は5人体制、繁忙期はパートも含め10人体制で処理していたのですが、それでも追いつかない状況に。また、処理数が増えると手入力の打ち間違いも増え、さらに最終チェックに時間がかかるという悪循環が続いていました。

―それをどのように解決しようとしたのでしょう。

 まずは、ICTの専門家にアドバイスをいただきました。そもそも当町においては、「Society 5.0」を見すえたまちづくりを行っていくために、令和2年4月からICT推進室を新たに設置。そのタイミングで、内閣府の「デジタル専門人材派遣制度」を活用し、NTT東日本からICTの専門知識をもつ人材に1人着任してもらっています。町全体のICT活用推進をお願いしていたのですが、その人物の意見を参考にして、新型コロナワクチンの申込処理にて、同社のAI-OCR『AIよみと~る』とRPA『おまかせRPA』を先んじて導入。業務効率化につながったという報告を聞き、ワンストップ特例申請書類の処理でも令和3年度から導入することになったのです。

現場にあわせた運用最適化が、ツールの潜在能力を高める

―導入後の効果はありましたか。

 平均のデータをとったのですが、500枚の申請書類を処理するのに、通常510分かかるところを400分に短縮できました。AI-OCRの識字率も100%に近く、手入力による打ち間違いがなくなったため、最終チェックの時間短縮にもつながっています。また、NTT東日本の専門人材と相談し、寄附者にも理解いただいたうえで、添付書類を申請書に貼り付ける様式から、それぞれ分けて提出する様式に変えました。様式変更に伴って、書類の審査手順が一部簡素化されることもわかり、単純にツール導入だけでなく、現場にあわせて運用を最適化するアイデアが、ICTツールの潜在能力を引き出すことにつながったと実感しています。そのぶん空いた時間を、ほかの業務にあてるなどの相乗効果が生まれていますね。

―今後におけるDX推進の方針を聞かせてください。

 簡易的な問い合わせに応対するAIチャットボットを新たに導入するなど、さらなる業務効率化を図っていきます。今回のAI-OCRとRPAの導入では、NTT東日本の専門人材に本庁へ着任してもらった効果は大きいと考えています。職員だけではICTの専門的な知識がないため、今回のように短期導入はできなかったでしょう。近くに専門家がいると、気軽に相談できますし、大変助かっています。ゆくゆくは職員が自走してDXを推進していくことを見すえ、まち全体のICT活用に取り組んでいきたいですね。


デジタル専門人材の声

少しずつ成功体験を積み重ね、ICT化への意欲醸成につなげる

上士幌町
デジタル推進課 主幹
菊地 充一 きくち じゅういち

 私は、前任担当者の任期満了に伴い、NTT東日本から出向し、令和4年4月より上士幌町にて勤務しています。現在、町では「Society 5.0」を見すえ、さまざまなICTを駆使しながらよりよいまちづくりを進めようとしています。私が着任したタイミングでICT推進室に代わってデジタル推進課が新設。AI-OCRやRPAの横断的な利活用も含め、専門家の立場としてさらなるICTを浸透させる活動をしています。重要なのは、ICTを導入することで「こんな課題解決につながるんだ」といった成功体験を少しずつ積み重ね、職員のICT化への意欲を醸成していくこと。そしてゆくゆくは、当社の人材がいなくても自力でDXを推進していける環境を整えていくのが、私のミッションだと考えています。まだ着任して間もないですが、ICTによって町民がより暮らしやすくなる支援を行っていきたいですね。

菊地 充一 (きくち じゅういち) プロフィール
昭和50年、北海道生まれ。平成11年に日本電信電話株式会社に入社。地域が抱える課題解決を目指すバリュークリエイト業務に携わり、令和4年4月から上士幌町のデジタル推進課に派遣され、同町のDX推進に取り組んでいる。

支援企業の視点

帳票のデータ化を皮切りとしたDX②

ICTツールと人材の組み合わせで、さらなるDX推進が望める

東日本電信電話株式会社 ビジネス開発本部 第三部門 北森 雅雄
[提供] 東日本電信電話株式会社

これまでは、上士幌町におけるデジタル専門人材の活用も含めたDX推進の取り組みを紹介した。このページでは、同町をツールと人材面から支援したNTT東日本を取材。担当の北森氏に、自治体がDXを推進していくうえでのポイントなどを聞いた。

東日本電信電話株式会社
ビジネス開発本部 第三部門
北森 雅雄 きたもり まさお

現場で有効活用されなければ、ICTの導入に意味はない

―自治体においてDXの推進は進んでいるのでしょうか。

 徐々に進んでいると感じています。当社では、手書きの紙帳票をシステムに手入力する業務が多い自治体に向けて、約3年前からAI-OCRツール『AIよみと~る』とRPAツール『おまかせRPA』の提供を開始。当初は、「AI-OCRとRPAってなに?」というような職員の反応でしたが、現在は60自治体以上で導入されています。こうした身近で単純な業務をICTによって効率化させることで、職員が利便性を実感し、DXに対する意欲も向上していると思います。

 ただ、さらなるDX推進のためには、ICTツールの導入プラスアルファの一手が必要です。

―それはなんでしょう。

 ICTの知識をもった人材の登用です。いくら高性能なICTツールを導入しても、現場で有効に活用できなければ意味がありませんから。そのため当社では、ICTツールの提供にくわえて、ICT人材派遣によってツールの利用定着を支えています。普段から専門家が身近にいる環境なら、細かな相談もできるうえに、自治体内でのDX推進に対する意識の醸成や人材育成を図っていくことが可能です。自治体ごとの状況にあわせて、ICTツールと人材をうまく組み合わせていくことがDX推進の鍵と捉えているのです。

―自治体に提供している人材サービスにはどのような特色があるのですか。

 当社は、インターネットが普及し始めたころから、個人・法人向けや自治体向けに、光回線の導入やオフィスソフトの使い方など、地域に根差したICTに関する支援を長年にわたってコツコツと行ってきた実績があります。そうしたノウハウの活用により、ICTの知識の豊富さはもちろん、現場の困りごとに寄り添った支援や利用者の自走に向けた育成まで支えていく特色があります。

 また、NTT東日本グループでは「業務をまるごと委託したい」といったニーズに対しても、BPO支援サービスを提供しています。たとえば、大量にある書類の電子化やコールセンターなどの業務も請け負うことが可能です。

電子契約を活用すれば、地域全体のDXも進む

―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。

 引き続き、ICTツールと人材を自治体ニーズごとにミックスさせた支援をしていくことで、自治体の業務効率化と住民サービスの向上に貢献していきたいと考えています。また当社では、さらなる自治体支援のため、今年の6月から新しいサービスを開始しました。

―どのようなサービスですか。

 Webサイトへの契約書のアップロードとメール送信のみで契約締結が完了できる、クラウド型かつLGWAN内でも使用が可能な電子契約サービス『クラウドサイン for おまかせ はたラクサポート』です。これを自治体が活用すれば、取引のある地元の事業者は来庁せずとも契約処理できるようになるほか、デジタル化による効率化体験を地域に広げられます。この体験を広めることで、自治体が旗振り役となって、地域を巻き込んだDXを推進していくビジョンを当社は描いているのです。自治体とその先の地域にまで広げた支援を行い、住民や事業者がさらなるDXの恩恵が受けられるような環境の構築をサポートしていきたいですね。

北森 雅雄 (きたもり まさお) プロフィール
日本電信電話株式会社(NTT東日本)に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングを担当。平成28年から現職にて、AI関連のサービス開発に従事。

東日本電信電話株式会社
設立 平成11年7月
資本金 3,350億円
従業員数 4,900人(令和4年3月31日現在)
事業内容 東日本地域*1における地域電気通信業務*2およびこれに附帯する業務、目的達成業務、活用業務
URL https://www.ntt-east.co.jp/
お問い合わせ電話番号 NTT東日本 ICTコンサルティングセンタ
0120-765-000 (平日 9:00~17:00 (年末年始を除く))
この記事で支援企業が提供している
ソリューションの資料をダウンロードする
\ たった1分で完了! /
 資料ダウンロードフォーム

*1:北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県および長野県

*2:県内通話にかかる電話、専用、総合デジタル通信などの電気通信サービス

東日本電信電話株式会社
東日本電信電話株式会社
電子印鑑ならGMOサイン 導入自治体数No.1 電子契約で自治体DXを支援します
自治体通信 事例ライブラリー